ボリビア内政・外交(9月)
令和3年10月9日
1 内政
(1)リマ法務大臣による司法改革案
9月1日,リマ法務大臣は,今後着手する6つの司法改革案について発表した。今後の予定として,9月1日から30日以内に,全ての団体及びセクターに対して,司法改革の実施を周知(Socializacion)する。9月1日から90日以内に,国内全県で,司法改革案策定のための意見聴取を開始する。意見聴取はオルロ県及びタリハ県から開始し,司法改革プロセスに提案のある国民・機関・政党及び教会を招待する。
その後,改革にかかる費用及び具体的な日程を定める。現時点においては,総額2億ボリビアーノス(約2,900万米ドル)以上を要すると見込んでいる。
(2)アニェス前暫定大統領の弾劾裁判手続き等
9月1日,ALP司法合同委員会は,サンチェス・デ・ロサーダ元大統領(米国在住),メサ元大統領(現党CC代表)及びラダ(Alfredo Rada)元内務大臣(メキシコ在住)に関する弾劾裁判議案を承認した。9月1日,アルセ(Patricia Arce)ALP司法合同委員会委員長は「同委員会において,これまで累積していた20の弾劾裁判議案を承認した。同委員会は,アニェスに関連する4つの弾劾裁判議案の送付を受けている。」旨述べた。
(当館注:ALP司法合同委員会において新たな弾劾裁判議案の審議に際しては,累積議案があっては開始できないとされ,20あるとされた累積議案の審議が終了するかが注目されていた。)
9月2日,メサCC党代表は「サカバ及びセンカタの事件にかかるアニェス前暫定大統領に対する弾劾裁判について,CCは賛成しない。」旨述べた。
9月2日,ロドリゲス上院議長は,9月中旬にはアニェスに対する弾劾裁判にかかる審議が行える見通しである旨述べた。
9月8日,議会(ALP)司法合同委員会は,アニェス前暫定大統領への弾劾裁判にかかる審議の無期限延期を発表した。
9月9日,リマ法務大臣は,「もしCC党とCreemos党が,弾劾裁判を承認しないのであれば,それは正義を否定することを意味する。(その場合)我々は,被害者の正義のために,国際裁判も検討する」旨述べた。
2 外交
(1)アルセ大統領のCELAC首脳会合出席
9月18日,アルセ大統領は,第6回ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)首脳会合出席のため,メキシコを訪問した。アルセ大統領は,演説に際し,米州機構への批判,平等なコロナワクチンアクセスの確保,債務軽減の提案等述べた。(2)アルセ大統領による第76回国連総会一般討論演説
9月24日午後、第76回国連総会一般討論演説においてアルセ大統領が演説(スクリプト別添)を行った。アルセ大統領は,演説序盤にワクチンへの平等なアクセスや特許開放の必要性を訴え,中盤,米州機構の批判及び対外債務の軽減について提言した。終盤は,気候変動への提言,米国批判,2019年「クーデタ」へのOAS関与などについて述べた。(3)チリ国境におけるボリビア人の捕縛
8日,チリ警察は,ボリビア・チリ国境付近でボリビア国軍兵3名を自動車強盗容疑で逮捕した。ボリビア政府は外交上の措置を講じる旨発表したが,チリ政府は裁判を開始する見込み。(4)麻薬撲滅にかかるホワイトハウス年次報告書
15日,ボリビア及びベネズエラは,ホワイトハウスによる「麻薬撲滅に関する年次報告書」でマイナス評価を下された。右評価の事由は,ボリビアのコカ栽培面積の拡大であり,アルセ政権やモラレス元大統領らは,アニェス政権にその責任を求めている。なお,ボリビア外務省は,ホワイトハウスの報道を否定する声明を発表している。
3 コロナワクチン関係
4日及び19日,スプートニクVが合計40万ドーズ到着。6日,シノファームが330万ドーズ到着。
12日及び18日,アストラゼネカ製ワクチンが合計約83万ドーズ到着(うち,58.3万ドーズをスペイン,9.7万ドーズをフランスが寄贈(COVAX))。
26日,ファイザーが約18.8万ドーズ到着(COVAXを通じた米国からの寄贈)。
これにより,9月末までに受領したワクチンは,累計13,698,920ドーズとなった。