ボリビア内政・外交(7月)

令和3年8月9日

1 内政

(1)アルゼンチンからの武器供与

7月8日,マイタ外務大臣は記者会見において,2019年10月-11月の政治紛争の際,アルゼンチンがボリビアに対する武器供与を行っていた旨発表した。
 同大臣によれば,現在拘留されているテルセロス(Jorge Terceros)空軍将校は,2019年11月13日付でガルシア(Normando Alvarez Garcia)駐ボリビア・アルゼンチン大使(当時)へ書簡を発出し,催涙手榴弾及び催涙砲弾を受領した旨通報している。
 しかし,報道監査機関(ボリビア・ベリフィカ(Bolivia Verifica))は「書簡は,11月13日に署名されているが,テルセロス将軍は11月12日付けで辞任していることから信憑性については疑念が残る。」旨の声明を発出しており,更なる調査の必要性を指摘している。
 

(2)アニェス前暫定大統領拘留及びその裁判の動向

7月5日,検察庁は,センカタ及びサカバの虐殺を責任追及(弾劾)裁判の事案として承認した。しかし,右事案が刑事責任でなくなったわけではなく,検察側は弾劾裁判及び刑事裁判の双方で同事案に裁判を実施しようとしている。
 これによりアニェス前暫定大統領は,EBA社総裁の不正指名を含め,計5つの容疑にて弾劾裁判に訴追されることとなった。検察庁はすでに,法務省より受けた(1)IMF借款の違憲承認,(2)隔離措置(cuarentena)中の表現の自由にかかる侵害,(3)Fundaempresaにおける企業登記(Concesion)の違法延長及び(4)チリ在住ボリビア人に対する祖国帰還の不許可の4件のうち,(4)以外を受理し,最高司法裁判所(TSJ)へ送付している。
7月12日,7月6日の審議(Audiencia Virtual)の結果(予防拘禁中止請求の棄却)を受け,裁判所はアニェス前暫定大統領による釈放請求を棄却した。
7月13日,アニェス前暫定大統領に対するラパス市ミラフローレス地区における予防拘禁が4ヶ月を経過した(当初,第9裁判所の第一次判決は4ヶ月の予防拘禁であったが,ラパス県憲法裁判所による第二次判決の結果,検察の要求した6ヶ月の予防拘禁を認められ,9月20日まで延長されている。)。
 同日,同前暫定大統領の親族は,同前暫定大統領のフェイスブックにて「クーデタの筋書きは,アニェスに対する証拠が不十分で,アニェスがそれを支持することも実行することも不可能であった。ボリビアで起こったことはクーデタではなく,選挙不正である」旨投稿した。
7月14日,裁判所はアニェス前暫定大統領による釈放請求を棄却した。
7月26日,アニェス前暫定大統領に対する予防拘禁延長されたことを受け,弁護側は再度予防拘禁の停止を請願した。請願に際しては,テロリズム,共謀罪,国家転覆罪が無かったことを訴えるため921頁に及ぶ書類が提出された。
7月27日,コパ・エルアルト市長は,エルアルト市センカタ及びコチャバンバ県サカバにおける虐殺に関し,市民共同体(CC)及び私たちは信じる(Creemos)に対し,弾劾裁判への支持を求めた。
 

2 外交

(1)米州ボリバル同盟人民貿易協定(ALBA-TCP)環境ハイレベル会合

7月7日,米州ボリバル同盟人民貿易協定(ALBA-TCP)環境ハイレベル会合がオンラインで開催された。右会合では,本年11月に英国グラスゴーにて開催される気候変動枠組条約第26回締約国会合(COP26)に向けた次の7項目からなるルート・マップに合意した。
  • 7月第2週,ALBA諸国の専門家会合を開催。
  • COP26のアジェンダにALBAの共通ポジションにて参画。
  • 8月5日以前に,青年チームを創設。
  • 8月,ALBA諸国の学識者及び専門家による意見交換を実施。
  • 9月,ALBA諸国のCOP26政府代表による会合を実施。
  • 8月,ベネズエラ・カラカスにおいて,第二回「母なる大地」との再会国際フォーラムを開催。
  • 10月,当国コチャバンバ県チキパヤにおいて,第三回人民会合を開催。
 

(2)ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)外相会合

7月24日,マイタ外相は,メキシコ市において開催されたラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)外相会合に参加した。また同外相は,23日,パラグアイ,アルゼンチン,チリ,コスタリカ,キューバ及びメキシコの各国外相と二国間会談を実施した。
 ボリビア及びメキシコはリチウム探査,製造及び抽出の開発のための協力プロジェクトをデザインするために,協力の意図表明書簡に署名した。
 

(3)プエブラ・グループ2周年に際するアルセ大統領ツイート

7月30日,アルセ大統領は,プエブラ・グループ2周年に際してツイートした。右ツイートでは,「プエブラ・グループ2周年に祝意を表する。最近明らかになったが,2019年のクーデタは,右派がラテンアメリカにおいて協調して行動していることを示している。それゆえ,我々は共同,団結及び協調して遂行するべきである。」旨ツイートした。
 

(4)静岡県熱海土砂災害に関する声明

7月6日,ボリビア外務省は,静岡県で発生した土砂災害について,日本政府および日本国民に連帯の意を表明する声明を発表した。
 

(5)GIEIレポートの提出

23日,米州人権委員会学際・独立専門家グループ(GIEI)が,2019年9月から12月の出来事に関するレポートをボリビア政府に提出した。
 

3 コロナワクチン関係

 9日,スプートニクVが52.7万ドーズ到着。
 11日,シノファームが50万ドーズ到着,同日,J&J製ワクチン108万ドーズが到着。
 17日,23日,30日にそれぞれシノファームが50万ドーズずつ到着。
 これにより,7月末までのワクチン受領数は,累計7,551,050ドーズに達した。