ボリビア内政・外交(2021年5月)

令和3年6月9日

1 概況

(1)世論調査(4月20日~5月11日)によれば,アルセ大統領に対する信頼度(非常に信頼できる及びある程度信頼できる)は52%超,アルセ政権の経済政策に対する肯定的評価(非常に良い,良い及びまあ良い)は46%超,アルセ政権のパンデミック対応に対する肯定的評価(非常に良い,良い及びまあ良い)は38%超に上る
(2)13日,アニェス前大統領拘禁から2か月が経過した。なお,拘留期間を6か月に延長されている。
(3)政府は,14日,中国からシノファーム社製334,400ドーズを,17日,同じく331,200ドーズを受領した。また,15日,ロシアからスプートニクV40万ドーズを受領した。
 

2 内政

(1)世論調査

14日,ラ・ラソン紙は,CELAGがアルセ大統領発足6か月に際して4月20日~5月11日,2,000名に対して電話で行った世論調査の結果を掲載したところ,同概要以下のとおり。
 アルセ大統領の印象
良い:49.1%
悪い:42.5%
無回答:4.5%
誰かわからない:3.9%
 アルセ大統領に対する信頼度
非常に信頼できる:23.1%
ある程度信頼できる:29.3%
あまり信頼できない:13.5%
全く信頼できない:31.5%
 チョケワンカ副大統領の印象
良い:41.7%
悪い:34.7%
誰かわからない:19%
無回答:4.6%
 各組織の印象
(ア)医師団体
良い:60.4%
悪い:33.6%
わからない・無回答:6.0%
(イ)カトリック教会
良い:54.3%
悪い:38.3%
わからない・無回答:7.4%
(ウ)国軍
良い:52.6%
悪い:39.9%
わからない・無回答:7.5%
(エ)銀行
良い:51.0%
悪い:42.0%
わからない・無回答:7.0%
(オ)国会
良い:35.8%
悪い:53.2%
わからない・無回答:11.0%
(カ)国家警察
良い:38.2%
悪い:56.3%
わからない・無回答:5.5%
(キ)司法府
良い:23.7%
悪い:68.7%
わからない・無回答:7.5%
 国が抱える主要な問題
汚職:24.1%
経済/雇用:21.9%
女性に対する暴力:12%
政治的紛争:10.9%
貧困:9.1%
医療危機:8.6%
機能していない司法府:5.8%
治安:4.3%
わからない・無回答:3.2%
 アルセ政権の経済政策
非常に良い:1.9%
良い:13.6%
まあ良い:30.8%
まあ悪い:19.5%
悪い:19.5%
非常に悪い:10.2%
わからない・無回答:4.5%
 アルセ政権の経済政策の見通し(今年の第二四半期,アルセ政権はボリビア経済を良化させられるか)
できる:51.4%
できない:39.1%
わからない・無回答:9.5%
 アルセ政権のパンデミック対応
非常に良い:1.8%
良い:12.1%
まあ良い:24.3%
まあ悪い:17.8%
悪い:26.9%
非常に悪い:15.5%

(2)アニェス前暫定大統領ほかの逮捕関連

 欧州議会の訴訟取り下げを求める決議につき,5日,上院は,欧州議会決議を拒否する決議をMAS党議員の賛成多数にて可決した。同決議は,EU加盟国に対し,ボリビアにおける各国代表の役割を調査,評価,方向転換すべきと指摘している。
 11日,検察庁は,4月27日付けにてロドリゲス上院議長から請求されていたアニェスに対する2019年11月12日の上院議長職及び大統領職任期不正延長の容疑にかかる告訴を受理した。これにより,通常裁判においては,テロ・扇動・陰謀の容疑による告訴に加え,二つ目の告訴が審議されることとなる。アニェス弁護団は「当国においては同じ事案により同一人物が裁かれることはあり得ない。」と非難した。
 13日,アニェス前大統領拘禁から2か月が経過した。これまでに,司法府は,二つの罪状による告訴(通常裁判)及び四つの罪状による責任追及(弾劾裁判)を受理する一方,アニェス前大統領による病院治療のための外出要求を三度却下するとともに,3月20日にはラパス地方裁判所第二刑事法廷が釈放要求を却下するのみならず拘留期間を6か月に延長した。

(3)ムリージョ前内務大臣の米国における逮捕関連

 21日,FBIは,ムリージョ前内務大臣の秘書官を務めていたメンデス氏を,催涙弾やゴム弾等の米国会社からの購入にあたって賄賂最低58万2千米ドルを受け取っていたことを理由に逮捕した。
 26日,ムリージョ前内務大臣は米フロリダ州において,2019年11月~2020年4月の間に行った不正取引等を理由として逮捕された。
 28日,デル・カスティージョ内務大臣は,同前大臣のボリビアへの引き渡しを米国に要求する旨発表した。専門家らは,米国は同国内における裁判が終了するまで引き渡しには応じない可能性が高く,引き渡しにはある程度の時間がかかると分析している。国家警察は,ラパス,コチャバンバ及びサンタクルスにおける大規模捜査を実施し,ムリージョ前内務大臣の兄弟を含む関係者約20名を逮捕した。デル・カスティージョ内務大臣は,捜査中に,催涙弾購入の書類が発見され,ムリージョ前内務大臣の家からは武器が発見されたことを発表している。

(4)新型コロナウイルス関連

 24日,アルセ大統領は,エルアルト市の南病院に赴き,スプートニクVの接種を受けた。
 

3 外交

(1)新型コロナウイルスワクチン関連

 14日,政府は,シノファーム社製334,400ドーズを,17日,331,200ドーズを受領した。
 15日,政府は,スプートニクV40万ドーズを受領した。
 28日,ブラジルからボリビアへの医療用酸素320トンの輸出が許可された。
 29日,政府はチリから酸素34トン,30日,85トンを受領した

(2)対ロシア

8日,マイタ外務大臣は,ボリビア・ロシア間に政府横断委員会を設置すると発表した。

(3)その他

 7日,外務省は,「チリ及びボリビアは2021年ルートマップを定義」と題する声明を発出し,4月30日に実施された両国間で取り決められたルートマップが公表された。
 11日,外務省は,「ガザ地区に対するイスラエル軍攻撃に対する非難及び和平の呼びかけ」と題する声明を発出した。
 15日,アルセ大統領は「パレスチナ国民に対する深い連帯の意を表する。国連に対して,今次攻撃を停止させ,パレスチナの自立権を尊重するよう呼びかける。子供達が自由に生き,平和に成長するよう努力を結集するべきである。」とツイートした。17日,外務省は,「ガザ地区攻撃に対する非難」と題する声明を発出した。
 18日,法務・透明性省は,プレスリリースを以て,リマ法務・透明性大臣は,アルセ政権の方針に従い,19日に開催される米州法務大臣会合2日目には,アルマグロOAS事務局長が出席することを理由に,出席しない旨表明した。
 18日,国連においてジェノサイド,戦争犯罪,民族浄化及び人道に反する罪の予防にかかる決議が賛成多数で可決されたが,反対票を投じた15カ国の中にボリビアも含まれていた。19日,ジュネーブに所在するNGO「UN Watch」は,「恥ずべきリスト(List of Shame)」を公表し,ボリビアも同リストに含まれていたことから,野党が強く批判した。
 19日,オレジャナ文化・脱植民地化・脱家父長化大臣は,報道陣に対し,アメリカとの関係断絶をすべきと訴えた。同大臣は,上記の自身の姿勢を示した上で,外交関係については外務省の管轄であると明言した。
 24日のラッソ・エクアドル大統領の就任式に出席したマイタ外務大臣は,ニカラグア,チリ,アルゼンチン及びウルグアイ外相と会談し,スプリンチャン駐エクアドル・ロシア大使(元駐ボリビア大使)と会合した。
(了)