ボリビア内政・外交(2021年2月)
令和3年3月9日
1 概況
(1)衛生緊急事態法を巡り,医療セクターと政府間で論争が展開され,ボリビア医師会は同法が公布されれば無期限ストライキを展開すると発表した。(2)14日,ボリビア外務省は福島における地震に対して連帯の意を表明する声明を発出した。
(3)24日,ボリビアはシノファーム社製ワクチン50万ドーズを受領した。
2 内政
(1)衛生緊急事態法を巡る論争
ア 1日,アウサ保健・スポーツ大臣(ボリビア医師連盟(MAS派))及びカセレス・ボリビア医師団体代表(反政府派)は,同法の一部文言を変更すること(第17条,第19条及び第28条の修正・削除)で合意に至り,合意書に署名した。イ 4日,上院は上記合意を反映した法案に修正・可決,下院も再可決した。同日,ボリビア医師会は,修正が不十分であるとして,公布された場合には無期限ストライキを実施する旨発表した。
ウ 7日,国家医療委員会(CONASA,ボリビア医師連盟を除くすべての医療従事者社会団体(ボリビア医師会を含む)によって構成される)は,同法案が公布された場合にストライキを実施する旨発表した。
エ 8日,テラサス保健省衛生システム管理次官は,ボリビア医師会は同法案に合意したことを強調しつつ,同法案に反対しているラパス県医師会は2020年総選挙においてメサ候補(CC)を,サンタクルス県医師会はカマチョ候補(Creemos)を支持したことを指摘し,両医師会は政治的な意思で動いていると発言した。
オ 9日,サンタクルス県医師会は,厳格な外出禁止令の発令を要求し48時間のストライキを開始した。
カ 10日,アウサ保健・スポーツ大臣はボリビア労働総連合(COB)(MAS派)及び統一協定(Pacto de Unidad)(2019年11月の政変後に発足したMAS派の社会団体の集合体)に法案の説明を行う会合を行った。
キ 11日,コルテス・ボリビア医師会会長は,10日の会合にはMAS派社会団体だけが招待され,CONASAが話し合いに呼ばれなかったこと,衛生緊急事態法による医療従事者に対するストライキの禁止が実体的になくなっていないこと等を理由に,同法が公布された場合は無期限ストライキを実施すると宣言した。
(2)新型コロナウイルス関連
ボリビア政府は,最高政令第4464号(2月10日付)により,欧州からの渡航者又は過去14日の間に英国に滞在したボリビア在留資格を持つ外国籍者に対する入国管理措置及び過去14日の間に英国に滞在したボリビア在留資格を持たない外国籍者に対する入国制限にかかる政府決定を3月15日23:59まで延長することを決定した。3 外交
(1)新型コロナウイルスワクチン関連
24日,ボリビアはシノファーム社製ワクチン50万ドーズを受領した。(2)対日本
ア 14日,外務省は福島における地震に対して連帯の意を表明する声明を発出した。イ 18日,伯耆田駐ボリビア日本大使はママニ政務筆頭外務次官と会合した。
(3)対米国
3日,外務省は,チュキミア外務省領事担当次官が来訪したフィリップス米大臨代と会合し,二国間のアジェンダについて議論した旨プレスリリースを発出した。(4)対チリ
14日,チリによるアントファガスタ占領(1879年)記念日に際し,アルセ大統領は,「1879年,アントファガスタがチリにより占領された日に際して,国家主権を守り,我らのトリコロールを守るために命を危険にさらしたリオス少女を始めとする我々の英雄たちを追悼する。「海への出口」を決してあきらめない。」とツイートした。(5)対エクアドル
ア 8日,アルセ大統領は,エクアドル大統領選挙においてアラウス候補が第一位で決選投票に進む見通しであることを踏まえ,「兄弟アラウス及びエクアドル国民に対し,投票所における民主的な参加を祝福する。国民が政治を動かすことは,自由と我らの国家の前進のための唯一の道である。」とツイートした。イ 25日,アルセ大統領は「エクアドルにおける民主主義の継続を保証し,2019年のボリビアにおいて生じたような米州機構(OAS)による介入を避けるべきとする,メキシコ及びアルゼンチンの両国大統領が発出した共同声明にボリビアも同意する」旨ツイートした。
(6)対イラン
ア 8日,外務省は,駐ボリビア・イラン大使は,パロメケ外務省二国間関係局長と会談した旨ツイートした。イ 12日,ボリビア外務省は「イラン革命記念日を祝福する」と題する声明を発出した。
(7)その他
ア 1日,外務省は,ミャンマー情勢について,同国が直面している暴力的事態及び政治的指導者の違法な拘束に対する深い懸念を表明する声明を発出した。イ 8日,ママニ外務次官は,駐ボリビア・イタリア大使と会談し,国連安保理等の両国が関心のあるテーマにつき議論した旨ツイートした。
ウ 12日,ブランコ外務省通商・統合次官は,ボリビア及びキューバは二国間の経済・通商・政治アジェンダを再開することで合意した旨述べた。
エ 12日,外務省は,ママニ外務次官が駐ボリビア・ベネズエラ大使(注:マドゥーロ政権側)と会談した旨ツイートした。
オ 12日,ママニ外務次官は,駐ボリビア中国大使と会談し,国際的な平和及び安全保障の維持が両国の優先事項であることで一致した旨ツイートした。
カ 12日,マイタ外相は,駐ボリビア・スイス大使と会談し,再生エネルギー,水及び気候変動関連プロジェクトへの支援等二国間協力にかかるテーマについて議論した旨ツイートした。
キ 12日,マイタ外相は,駐ボリビア・コロンビア大使と会談し,経済,環境及び科学文化等の二国間アジェンダの再活性化について議論した旨ツイートした。
ク 12日,マイタ外相は,駐ボリビア・ブラジル大使と会談し,二国間の友好関係強化について議論した旨ツイートした。
ケ 13日,外務省は,マイタ外相がマース独外相と電話会談を行い,ボリビアのメルコスール加盟,協力案件,パンデミック等について議論した旨ツイートした。
コ 24日,アンデス共同体第153期特別会合がバーチャルにて開催され,ブランコ外務省通商・統合担当次官がボリビアを代表して出席した。
サ 26日,外務省は,25日にシリアに発生した爆撃を踏まえ,シリア国民に対する連帯の意思を表明する声明を発出した。
(了)