2019年10月 ボリビア経済情勢
令和元年11月6日
1 マクロ経済
(1)極貧率(6日付報道)
ECLACは,ボリビア,ブラジル,エクアドルの極貧率が上昇していると発表し,ボリビアについては,2014年時点で14.9%だったのに対し,2017年時点では16.4%に上昇したと指摘した(ボリビア政府の公式データによれば,2018年に15.2%に減少したと発表)。(2)対外債務(7日付報道)
アルセ経済財政大臣は,本年8月までの対外債務額が107億4,700万米ドルに達し,GDPの24.9%を占めると発表した。(3)海外送金(10日付報道)
ボリビア中央銀行によれば,本年1月~7月までにボリビアが受け取った海外送金額は7億7,570万米ドルであり,前年同期の8億920万米ドルより4.1%減少した。特に,アルゼンチンからの海外送金額は9,870万米ドルから5,830万米ドルまで41%減少し,ブラジルからも6.1%,スペインからも6.5%減少した。一方,米国,チリ,イタリアからの海外送金額は増加した。(4)GDP成長率予測(11日及び16日付報道)
ア 世銀は,「貿易統合は開発への道か」と題する報告書において,ボリビアの本年のGDP成長率予測を,6月時点の4%から3.9%に下方修正した(中南米諸国の同成長率予測は,1.7%から0%に下方修正)。イ IMFは,ボリビアについて,本年のGDP成長率予測を4%から3.9%に下方修正し,本年のインフレ率は1.7%,経常赤字は5%,失業率は4%と見通した。また,2020年のGDP成長率を3.8%と予測した(中南米のGDP成長率については,本年0.2%,2020年1.8%と予測)。
(5)貿易赤字(19日付報道)
国家統計局(INE)のデータによれば,本年1月~8月の貿易赤字は7億2,200万米ドルで,前年同期の2億1,000万米ドルに比し244%増加した。(6)クリスマス・ボーナスの2倍支給(31日付報道)
30日,ファルハト国家統計局(INE)長官は,本年1月~6月のGDP成長率が3.13%にとどまり, 2018年7月~2019年6月までの同成長率が3.38%となったことを受け,4.5%以上の成長率を条件とする「クリスマス・ボーナスの2倍支給」は実施されないと発表した。同長官はまた,対アルゼンチン及び対ブラジルの天然ガス需要が低く,本年第2四半期までの天然ガス輸出量が,前年同期比で対アルゼンチン28%減,対ブラジル31%減であったと述べた(炭化水素分野のGDP成長率はマイナス20.11%)。2 リチウム・天然ガス等
(1)リチウム(13日及び14日付報道)
ア 11日,キンタナ大統領府大臣とインド当局代表団は,鉱業分野及びリチウム開発に関する会合を行った。イ 13日,パリ外務大臣は,リチウム・バッテリー製造のためのリチウム産業化プロジェクトにおいて,ドイツ,中国,インドがボリビアを支える経済大国であると述べた。
ウ 13日,モラレス大統領は,コチャバンバにおいて,11月にボリビアのミッションがリチウム及びガス輸出に関する合意を具体化・交渉するため,インドを訪問する予定であると述べた。
(2)天然ガス(16日付報道)
15日,ボリビア石油公社(YPFB)は,モラレス大統領及びサンチェス炭化水素大臣同席の下,ロシアのACRON社と2021年以降20年間にわたり1日当たり220万立方メートルの天然ガス売買契約を締結した。同契約には,ブラジルにおける尿素販売を目的としたACRON社との合弁企業を設立することが条件となっている(当館注:同天然ガスの契約輸出量は,現時点での対ブラジル・対アルゼンチンの合計輸出量の平均値の約10分の1に相当)。(3)バイオ燃料(19日付報道)
19日,サンタクルス県パイロン市において,ソルガムの生産者は,モラレス大統領出席の下,当国初となるバイオ燃料製造プラントの落成式を行った。同プラントは,当地グラノソル社が1,400万米ドルを投資して建設された。同日,同プラントで生産が予定される年間500万リットルの無水アルコールを,ボリビア石油公社(YPFB)へ販売する契約も締結された。3 その他
ブッシュ港の開発(11日付報道)
10日,モラレス大統領は,サンタクルス市において,「ブッシュ港総合開発法」という,大西洋への出口までのロジスティックを開発するための投資促進を目的とする法律を公布した。同法律の下,ブッシュ港の建設は民間部門が担当し,政府は同港までのアクセス(道路)の工事,コンビナートの開発を担当する予定である(当館注: 2018年12月31日に,政府と民間企業との間で,同港開発のための戦略的提携に関する覚書に署名済)。 (了)