2019年8月 ボリビア経済情勢

令和元年9月5日

1 マクロ経済

(1)ECLACによるGDP成長率予測(1日付報道)

 ECLACは,第2四半期報告書において,ボリビアの本年のGDP成長率を4%と予測し,第1四半期(4月時点)の予測4.3%から下方修正された。
 

(2)ボリビア中央銀行(BCB)によるGDP成長率等の変更(9日付報道)

 ボリビア中央銀行(BCB)は,本年のGDP成長率を4.5%,物価上昇率を3.5%に下方修正した。
 

(3)海外送金(14日付報道)

 ボリビア中央銀行(BCB)のデータによれば,本年1~5月までの海外送金額は5億5,200万米ドルであった(前年同期は5億8,110万米ドル)。主な送金元国は,スペイン41.5%,米国17.6%,チリ12.4%,ブラジル7.8%,アルゼンチン7.3%であり,送金先はサンタクルス県41.3%,コチャバンバ県33.3%,ラパス県12.8%であった。
 

(4)農業関連の最高政令(15日付報道)

 14日,モラレス大統領は,コチャバンバ県サンベニート市において,公布された農業関連の以下四つの最高政令に関し,食料輸入量の減少及び2025年に向けた農牧業分野の輸出促進等を目的としていると述べた。
 第3919号:約1億900万米ドルの投資による小麦生産促進のためのマルチセクタープログラムの創設(当館注:2019年5月29日に公布済であり,改めて公表された。)
 第4001号:約1,000万米ドルの投資による牧畜業者の定住及び再定住の信託基金の設立
 第4002号:約2,400万米ドルの投資による果物生産支援の全国プログラムの創設
 第4003号:約1,300万米ドルの投資によるアマゾン地域の果物の生産収集支援プログラムの創設及び約2,200万米ドルの投資によるカカオの生産収集支援プログラムの創設
 

(5)外国投資(15日付報道)

 経済財政省によれば,本年第1四半期における対ボリビア直接外国投資額は5,300万米ドルであり,前年同期とほぼ同額であった。
 

(6)ECLACの直接外国投資に関する報告書(16日付報道)

 ECLACが発表した直接外国投資に関する報告書によれば,対ボリビア直接外国投資額は,2017年の7億1,200万米ドルから2018年の3億1,600万米ドルまで約55.7%減少した。
 

(7)貿易(20日付報道)

 ボリビア貿易機関(IBCE)が国家統計局(INE)のデータを基に分析したところ,本年1~6月の輸出総額は41億2,500万米ドルで,主な輸出先国はブラジル及びアルゼンチン(各16%),インド(11%),日本(9%)であった。一方,輸入総額は49億1,400万米ドルであり,貿易赤字は7億8,900万米ドルに達した。二国間貿易の貿易赤字で最も高いのは,対中国で8億8,600万米ドルである。二国間の貿易黒字は,対インドが3億9,900万米ドル,対日が2億5,900万米ドル,対アラブ首長国連邦が1億5,100万米ドルであった。
 

(8)マユク・コタ鉱山の仲裁(30日付報道)

29日,メナチョ国家利益擁護庁長官は,ポトシ県のマユク・コタ鉱山鉱脈の国営化に関するカナダ企業South American Silver社との仲裁について,ボリビア政府が同社に対し,2億5,500万米ドルの賠償金を支払う裁定が決定されたと述べた。同社の請求賠償額は,38億5,700万米ドルであった。

2 鉱物資源,電力及びリチウム関連

(1)鉱物生産量(2日付報道)

 鉱業冶金省のデータによると,本年1~3月の鉱物生産量は22万6,256トンであった(2018年同期は21万3,060トン,2017年同期は22万2,300トン)。主に亜鉛及びウレキサイトが総生産量の74%を占めており,そのうち亜鉛の生産量は13万3,000トンであった。
 

(2)電力関連(9日及び10日付報道)

 8日,タリハ県ヤクイバ市において,モラレス大統領出席の下,南部火力発電所の引渡し式が行われた。同発電所建設のための投資額は約4億6,366万米ドル(ボリビア中央銀行の融資)であり,ボリビア電力公社(ENDE)によれば,全国送電網への送電量は480メガワットである。また,アラルコン・エネルギー大臣は,国内の電力需要は現時点で1,600メガワットであるが,全国送電網の送電力量は2,500メガワットにまで達していると述べた。
 

(3)リチウム関連(14日付報道)

 13日,モンテネグロ・ボリビア・リチウム公社(YLB)総裁は,ウユニ塩湖の炭酸リチウム製造プラント建設の進捗が20%であり,2020年下半期に操業開始を見込んでいると述べた。

3 その他

(1)ビルビル空港ハブ化拡張計画に関する民間投資公募(13日付報道)

 12日,スビエタ開発企画省開発担当次官は,サンタクルス県のビルビル空港ハブ化拡張計画に関し,設計,建設,運営,維持管理を含めた民間企業による投資の公募が開始した。今後の日程としては,9月9日までに投資提案を受け,10~12日に評価,13日に有力企業3社の公表,17~18日に上記3社に対する質疑応答,19日に投資実施企業の発表,21日に趣意書への署名という予定となっている。
 

(2)尿素(15日付報道)

 本年1~6月,ボリビア産の尿素に関し,アルゼンチンが59%,ブラジルが20%を輸入し,その他パラグアイ,ウルグアイ,ペルーが輸入した。輸出総額は2,780万米ドルに達した。
 

(3)対中牛肉輸出の開始(29日付報道)

 28日,サンタクルス牧畜業者連盟施設において,モラレス大統領,リアン・ユー在ボリビア中国大使及びボリビア牧畜業者連合当局の同席の下,初の対中牛肉輸出として48トンの輸出を祝す式典が開催された。モラレス大統領は,「決して忘れられない日になるだろう」「(牛肉輸出が)我々の経済を改善し続ける」と述べた。
(了)