2019年5月 ボリビア経済情勢

令和元年6月5日

1 マクロ経済

(1)税務当局への滞納に対する金利・罰金引下げ措置に関する時限立法(2日付報道)

 1日,国会において税務当局への滞納に対する金利及び罰金の引下げ措置に関する時限立法が採択された。4月30日で延長期限が切れた同法(第1105号)から更に60日間延長することを決定
 

(2)外貨準備高の運用(7日付報道)

 6日,ボリビア中央銀行のラウル・メンドーサ・パティーニョ経済政策第一顧問は,2010~18年の間に行った外貨準備高の運用により,合計9億4,170万米ドルの利益が得られたと発表した。ボリビア政府の投資先国は,仏28%,英14%,米11%,独10%,韓国9%,中国8%である。
 

(3)労働者の怠業及び労働の自由に対する侵害に関する刑法改正法案(18日付報道)

 17日,同法案が下院を通過したものの,まだ上院で審議中である(当館注:本法案に関しては,民間企業側の反対が非常に強いため,法案に多くの修正が加えられているものと見られる)。
 

(4)失業率(21日付報道)

 2018年の失業率は4.27%であったが,本年は,開発企画省及びボリビア商工会議所との間で合意した5万人雇用創出計画に基づき,政府は3.27%まで減少すると見通した。
 

(5)国際仲裁手続の開始(21日付報道)

 20日,国家利益擁護局は,パリの国際商工会議所において,多国籍企業のグレンコア・ファイナンス(バミューダ)社がサンチェス・デ・ロサダ政権時に購入・操業した錫及びアンチモンを扱うビント製錬所(オルロ県)及びコルキリ鉱山社(オルロ県)の収用に関し,ボリビア政府に対する国際仲裁手続が開始された(当館注:モラレス政権は,2007年2月にビント製錬所を国営化,2012年6月にコルキリ鉱山社を国営化した)。
 

(6)対外債務(24日付報道)

 経済財政省によれば,本年4月までの対外債務額は102億8,700万米ドルで,GDPの23.5%を占める。
 

(7)格付(24日付報道)

 23日,スタンダード・アンド・プア社は,ボリビアの格付を「BBマイナス」で維持する旨発表し,また,2019~22年の期間,ボリビアの経済成長率は各年約4%となる見通しを示した。

2 鉱物資源等

(1)塩化カリウム(カリ肥料)の輸出(18日付報道)

 国立統計局(INE)のデータによると,本年第1四半期の塩化カリウムの輸出量は約6,772.4トンで,輸出額は約147万米ドルであった。主たる輸出先国は,ブラジル(4376.1トン,約95万米ドル)及びチリ(約2396.3トン,約52万米ドル)であった。
 

(2)鉱物資源採掘のロイヤリティ収入(25日付報道)

 24日,マルドナド全国鉱物金属商品化登録管理サービス局(SENARECOM)局長は,2018年のロイヤリティ収入総額が12億5,600万ボリビアーノス(約1億8,300万米ドル)であり,主たる収入はポトシ県で,8億1,700万ボリビアーノス(約1億1,900万米ドル)で65%を占めると発表した。

3 その他

(1)大豆(30日付報道)

 29日,政府は,大豆の輸出量を生産量の60%まで許可する最高政令を発出した。今後細則が採択される予定で,その後輸出が可能になる見通し
 

(2)パラナ川・パラグアイ川水運関連(31日付報道)

 30日,サンタクルスにおいて「ブュッシュ港及びパラナ川・パラグアイ川水運を通じたボリビアから大西洋への統合」と題する会議が行われ,コカ公共事業大臣は,本年9月にブッシュ港の投資及び運営に関心を有する企業に向けた入札を実施する予定であり,ブッシュ港建設に向け5億米ドルの投資を予定していると述べた。また,ダブドブ・サンタクルス経団連代表は,現時点で同プロジェクトに非常に高い関心を有する企業が27社あると述べた。
(了)