2018年12月 ボリビア経済情勢
平成31年1月5日
1 マクロ経済
(1)IMFの報告
ア 7日付報道によれば,IMFは,農業生産量の増加や,クリスマス・ボーナス2倍支給による消費増等を踏まえ,2018年のGDP成長率を4.3%から4.5%に引き上げた。2019年の予測成長率は,4.2%と公表した。イ 8日付報道によれば,IMFはボリビア政府に対し,財政赤字を削減するための政府の施策を評価したが,公的支出を調整し,中期的には規模の大きな負債を減少又はなくすための措置を実施するよう勧告した。これに対し,ガルシア・リネラ副大統領は,政府はIMFの勧告には従わないと述べた。
(2)物価上昇率
7日付報道は, 国家統計局(INE)によれば,2018年1月~11月の期間における物価上昇率は1.16%であったと報じた。(3)公務員数
9日付報道は,政府の公式データに基づき,2017年時点の公務員数(保健,教育,大学,市町村,独立行政法人,社会保障,警察,軍隊関係者を含む)が402,763名に達し,2005年に比し約70%増加したと報じた。また,経済財政省によれば,公務員の給与支出は2005年には約10億6,000万米ドルであったが,2017年には51億8,000万米ドルまで上昇した。(4)貿易収支
12日付報道は,国家統計局(INE)のデータによれば,2018年1月~10月のボリビアの貿易赤字が3億7,150万米ドルであり,前年同期の7億3,670万米ドルに比し,約半額まで減少したと報じた。(5)GDP総額
19日付報道は,国家統計局(INE)のデータによれば,2018年のGDP総額は約405億米ドルに達し,前年の377億8,200万米ドルに比し,約6.7%増加したと報じた。(6)GDP成長率の見通し
21日及び22日付報道によれば,国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は,2019年のボリビアのGDP予測成長率は4.3%であり,右は南米地域で第1位,次いでパラグアイ4.2%,ペルー3.6%,チリ及びコロンビア3.3%,ブラジル2%であると公表した(中南米地域の平均予測成長率は1.7%)。(7)対外債務額
21日,ボリビア中央銀行(BCB)は, 2018年11月30日時点の対外債務額が99億4,490万米ドルであったと発表した。2 リチウム及び天然ガス
(1)リチウム
12日,ベルリンにおいて,ボリビア・リチウム公社(YLB)とドイツのACIシステム社の間で,リチウム産業化のための合弁企業設立に係る署名が行われた。同署名式には,パリ外務大臣,アラルコン・エネルギー大臣,アルトマイヤー・ドイツ連邦経済エネルギー大臣,シュミッツACIシステム社CEOが同席した。同合弁企業設立の目的は,ウユニ塩湖かん水の残留塩水から水酸化リチウム及び水酸化マグネシウムを生産し,国内外の市場に向けて商品化することである。(2)天然ガス
ア 19日,ボリビア石油公社(YPFB)は,ブラジルの下記3企業との間で,それぞれ発電,天然ガス供給及び尿素に関するプロジェクト実施のための協定に署名した。(ア)カマサリRJ社(発電会社):2025年から天然ガス購入を予定
(イ)MSガス社:マットグロッソ・スル州向けのガス販売を担当予定
(ウ)イノヴィ農業科学社:10万トンの尿素購入及び今後8年間に110万トンの購入量に増加する可能性有り。
イ 20日,サンチェス炭化水素大臣,バリガYPFB総裁及びセルケイラ・レシェル・ブラジル天然ガス事業開発公社総裁との間で,天然ガス輸出に関する覚書が署名された。2019年からの輸出量は1日当たり400万立方メートル,2022年には1日当たり最大1,000万立方メートルの輸出を見込んでいる。
3 南米大陸横断鉄道プロジェクト
10日,クラロス公共事業大臣は,20を越える企業で構成されるスイス及びドイツの合弁企業が,正式にボリビア政府に対し,南米大陸横断鉄道建設のための融資額を提案した(提案額は未公表)。また,同大臣はスペイン企業からも融資の提案を受け取っており,各提案を評価中であると述べた。
4 その他
(1)
20日,ボリビア政府(農村開発・土地省)及び中国税関管理局は,中国への大豆輸出のための植物検疫に関する議定書に署名した。油脂小麦生産者協会(ANAPO)によると,2018年の大豆生産量は約270万トンであり,全生産量のうち,国内市場向けは80万トン,残り(豆及び粉・油等の加工品)は輸出用となる。(2)サンタクルス県の農業生産量
20日付報道によれば,スアレス東部農牧業会議所(CAO)会頭は,2018年のサンタクルス県における農業生産量は1,360万トンであり(2012年と同レベル),前年比で8.14%増加したと述べた。(了)