2018年10月 ボリビア経済情勢

平成30年11月5日

1 マクロ経済

(1)外国直接投資

 5日付報道によれば,ボリビア中央銀行(BCB)は,2018年上半期の外国直接投資額が4億5,770万米ドルであり,昨年同期の5億4,910万米ドルに比し16.6%減少したと公表した。
 

(2)GDP成長率

 3日,IMFは, 本年4月に公表したボリビアの本年のGDP成長率を4%から4.5%に引き上げた。

 5日,世銀は,本年6月に公表したボリビアのGDP成長率を3.9%から4.5%に引き上げた。これは南米最高の成長率であり,また,中南米地域ではドミニカ共和国(5.8%)に次ぐ。また,2019年の予測成長率を,当初の3.6%から4.3%に引き上げた。

 18日付報道によれば,ECLACは,ボリビアの本年末までのGDP成長率を4.3%と見通した。
 

(3)IDBの報告書

 16日付報道によれば,BBC放送で公表されたIDBの報告書において,中南米地域ではこの20年間の公的支出で「浪費」が見られ,ボリビアについては,アルゼンチン及びエルサルバドルと共に,政府の調達及び汚職による公費の浪費国として類別された。IDBの推定では,ボリビア政府の浪費は2017年のGDP比6.3%を占める(GDP総額約370億ドルのうち23億3,100万米ドルに相当)。
 

(4)企業ランキング

 18日付当地「ラ・ラソン」紙は,国内の大企業300社を対象に,本年の企業ランキングを発表した(2017年のデータを使用)。販売額ベースでは,第1位がボリビア石油公社(YPFB)(約51億8,800万米ドル)で,次いでミネラ・サンクリストバル(MSC)社(約8億1,200万米ドル),YPFB精錬社,ENTEL社であった。収益ベースでは,第1位がボリビア・ビール公社(CBN)(約2億350万米ドル),次いでボリビア電力公社(ENDE)(約2億100万米ドル),MSC社(1約1億9,200万米ドル)であった。
 

2 リチウム

 6日,ボリビア・リチウム公社(YLB)及びドイツ企業のACIシステムズ社は,10月から開始予定のリチウム産業化第3フェーズにおける三つのプラント建設に関するミニッツに署名した。同建設の投資額は約12億米ドルで,2021年までに完工する予定。また,同合弁企業提携に関する最高政令は,本年12月に発出される予定である。

3 南米大陸横断鉄道プロジェクト

 30日,スイス及びドイツの合弁企業代表が,ボリビア政府との会合結果に関し記者会見を行い,同プロジェクトは順調に進展しており,「プランB」(ボルソナーロ次期ブラジル大統領とピニェラ・チリ大統領が考える,ブラジルの大西洋側とチリの太平洋を結ぶ別の南米大陸横断鉄道計画)については,検討する余地はないと述べた。

4 その他

(1)対中国貿易

 14日付報道によれば,2006~17年の12年間で,中国からの輸入額は2億2,700万米ドルから20億2,700万米ドルに増加し,中国への輸出額は3,600万米ドルから4億5,200万米ドルに増加した。ボリビア全国商工会議所(CNC)は,ボリビアに輸入される中国産品の全てが合法的であるとはいえず, 国内市場において国産品との不公正な競争が存在すると述べた。
 

(2)ペルー・イロ港関連

 13日,モラレス大統領は,ペルー・イロ港を訪問し,同日に到着した約13,000トンのボリビア貨物を視察した(12日,同港においてビスカラ大統領との会談が予定されていたが実現しなかった)。同大統領は,ボリビア経済を促進するため,また,チリの港湾を使用しなくても済むよう,2017年からイロ港の使用を推進してきた旨,更に,今後ガス輸出の港湾として利用する上で,イロ港はボリビアから近い旨述べた。
 

(3)パラグアイ・パラナ川水運

 30日,モラレス大統領は,パラグアイ・パラナ川水運につながるサンタクルス県の三つの民間港湾(アギレ港,グラベタル港及びジェニファー港)に対し,輸出入に関する必要な税関や検疫等の規則に基づき,国際港湾として使用できることを証明する国際証明書の引き渡しを行った。
(了)