2018年9月 ボリビア経済情勢

平成30年10月5日

1 マクロ経済

(1)貿易

 自動車輸入
 1日付報道は,ボリビア貿易研究所(IBCE)によれば,2017年の対ボリビア自動車輸出国は,中国が第1位(2億6,200万米ドル)で全体の24%を占め,次に日本が19%,米国及びブラジルが各7%,タイ及びインドが各6%であったと報じた。

 燃料輸入
(ア) 16日付報道は,国家統計局(INE)の情報によれば,本年1~7月の間に燃料(ガソリン及びディーゼル等)の輸入額が5億5,760万米ドルに達し,昨年同期の4億3,320万米ドルに比し約29%上昇した。

(イ) 25日付報道によれば,ボリビア貿易研究所(IBCE)は,国家統計局(INE)のデータに基づき,ボリビアがガソリン,ディーゼル等の燃料を24か国から輸入していると発表した。主な輸入元国は,第1位がアルゼンチン(38%),第2位がチリ(26%),第3位がシンガポール(16%)となっており,その他,トルコ,米国,オランダ,ペルー等からも輸入している。

  ボリビア貨物
 28日及び30日付報道は,ボリビア貿易研究所(IBCE)によれば,2017年のボリビアの海上経由の貨物全体(約510万トン)の約75%(約380万トン)がアリカ,イキケ,アントファガスタのチリ港湾を経由しており,太平洋ルートを使用する貨物が約410万トン,大西洋ルートを使用するのが約100万トンであったと報じた
 

(2)インフレ率

ア  7日付報道は,国家統計局(INE)によれば,本年8月のインフレ率が0.17%であり,本年1~8月の累計インフレ率が0.8%であったと報じた。

 12日,ラモス・ボリビア中央銀行(BCB)総裁は,本年の累計インフレ率の見通しを当初の4.5%から3.5%に引き下げた。
 

(3)外貨準備高及び公的対外債務

 11日付報道は,ボリビア中央銀行(BCB)のデータによれば,本年8月31日時点での外貨準備高が90億8,000万米ドル,本年7月31日時点の公的対外債務額が97億4,600万米ドル(GDPの23.5%)であったと報じた。

 
(4)FAOの飢餓ランキング

 18日付報道は,FAOの「世界の食糧安全及び栄養」と題する報告書によれば,ボリビアにおける人口の18.9%が栄養失調であり,中南米地域の飢餓ランキングでボリビアが第1位(第2位はニカラグアで16.2%,第3位はグアテマラで15.8%)であるが,過去20年間で飢餓の割合を最も減少させた国でもあると報じた。
 

(5)NGOによるボリビア政府予算に関する分析

 20日付報道によれば,ボリビアのNGO「農業及び労働開発研究センター」の報告書では,政府一般予算において,2016年には32社分の公社の予算が加算され,2011~16年までの累積予算の配分率は,公社に32%,市町村レベルの自治体に9%,県庁に5%,国公立大学に2%,その他分野に3%であり,中央政府に49%となっている。また,公社への予算配分率32%中,ボリビア石油公社(YPFB)に21%,ボリビア国営電力公社(ENDE)に4.8%,その他公社に6.2%割り当てられた。
 

(6)公共投資の執行率

 28日付報道は,開発企画省によれば,本年7月までの公共投資の執行額が22億4,100万米ドルに達し,本年の公共投資予算総額(62億1,000万米ドル)の約36.1%を執行したと報じた。
 

2 鉱物資源・天然ガス

(1)鉱物資源のロイヤリティ収入

 30日付報道は,国立金属・鉱物資源商業化管理登録サービス局(SEBARECOM)のデータによれば,本年8月までのロイヤリティ収入が8億4,268万ボリビアーノス(約1億2,284万米ドル)で,ポトシ県での同収入が全体の約68%を占めたと報じた(13%がラパス県,8%がオルロ県)。
 

(2)天然ガス

 10日付報道によれば,本年8月までの天然ガス生産量は1日当たり平均5,428万立方メートルで,近年で最も低いレベルであった。同生産が最も多かったのは2014年で,1日当たり平均5.937万立方メートルであった。
 

3 南米大陸横断鉄道プロジェクト

 20日,クラロス公共事業大臣は,南米大陸横断鉄道プロジェクトに関心を有するスイス及びドイツの合弁企業が,同プロジェクトの投資に関する詳細決定のため,ボリビアへの専門家派遣を本年10~11月に行う予定であると述べた。
 

4 その他

(1)「エタノール法」の成立

ア 15日,モラレス大統領は,「エタノール及び植物由来添加剤法」を公布した。

 26日,「エタノール法」の細則に関する最高政令第1098号が採択された。同令で,「スーパー・エタノール92」の生産において,エタノールの混合率が最大12%までと定められた。
 

(2)家畜盗難取締のための全国評議会に関する法律

 25日,ガルシア・リネラ副大統領は,家畜盗難取締りのための全国評議会に関する法律を公布した。同法の細則は,公布後90日以内に農村開発土地省が作成する予定である。農牧業セクターによれば,2012~17年まで,家畜盗難による損害は約1,000万米ドル以上にのぼり,また,ベニ県の報告によれば,同県での盗難が80%,サンタクルス県での盗難が20%であり,1年当たり約4,000頭の損失がある。
 

(3)砂糖の輸出

 26日,在ボリビア米国大使館は,サンタクルス県の3つの精糖工場(グアビラ社,ウナグロ社及びアグアイ社)から米国への砂糖の輸出量は約7,500トンであるが,ボリビアへの関税優遇措置の割当ては8,428トンとなっていると発表した。過去7年間,ボリビアは国内需要を優先してきたため,同優遇措置を活用してこなかった。米国が同優遇措置をとる国は世界で約40か国ある。
 
(了)