2018年7月 ボリビア経済情勢

1 マクロ経済

(1)年金

 3日付報道によれば,年金金融サービス担当次官室は,年金基金管理局(AFP)の収益は中南米地域において最下位であり,2017年の平均収益率は3.03%であったと発表した。一方,ペルーの同年平均収益率は12.69%と最も高く,続いてコロンビア9.69%,チリ7.7%,ウルグアイ5.07%であった。
 

(2)雇用・失業率

 12日付報道によれば,イノホサ労働大臣は,2017年の失業率(都市部)が4.5%であり,2005年の8.1%から大幅に減少したと発表した。

イ  23日,国家統計局(INE)は,継続雇用調査(全国17,784世帯対象,そのうち14,700世帯が都市部,3,084世帯が農村地域)の報告書において,2017年の10~12月(第4四半期)に給与を受け取った労働者が約41%,個人事業主が約48.9%,定期的報酬がない労働者が約10.1%であると発表した。また,同期における男性の失業率は4.2%,女性の失業率は4.9%であった。
 

(3)外貨準備高

 14日付報道によれば,本年第1四半期(4月6日時点)で,外貨準備高は96億8,400米ドルであり,2017年12月31日時点から5億米ドル以上も減少したことになる(2017年12月31日時点:102億6,100万米ドルから5億7,700万米ドル減。また,2018年6月30日時点では外貨準備高が更に減少し,95億2,200万米ドル)。これは,外貨準備高を用いて公的企業に融資していることが原因であり,将来的に外貨準備高及び公的資金の維持が懸念される。
 

(4)外国直接投資額

 16日付報道は,ボリビア中央銀行(BCB)の報告書によれば,本年第1四半期の外国直接投資純額が2億5,720万米ドルに達し,前年同期比(1億5,060万米ドル)で約70.8%上昇したと報じた。最も伸びたのは炭化水素部門の投資額(1億930万米ドル)で,昨年同期比で6.2%上昇した。続いて,製造業では9,180万米ドル,貿易部門で1,460万米ドル,建築部門で990万米ドル。鉱物資源部門の投資額は,350万米ドルにしか達しなかった。
 

(5)IMFの当国経済分析

ア  25日及び26日付報道は,本年1月に発表されたIMFの報告書「世界の日陰の経済―この20年間何を学んだか―」(1991~2015年)において,158か国のうち,ボリビアのGNPに占めるインフォーマル経済の割合が62.3%(ワースト1位)と,最も高い割合を有していると報じた(ワースト2位はジンバブエで,同割合が60.6%)。IMFの分析によれば,インフォーマル経済が継続する主な理由は脆弱な法の支配であり,同経済の下では税金の支払や社会保障への貢献を常に回避しようとするとの由

 29日,経済財政省は,先日報道されたIMFの報告とは異なり,ボリビアのGNPに占めるインフォーマル経済は,1991年の68.09%から,2015年には45.98%まで減少し,南米地域ではパラグアイに次ぎ改善した,と発表した。
 

(6)本年第1四半期の経済成長率

 31日,ギジェン経済財政大臣は,国家統計局(INE)のデータに基づき,本年第1四半期のGNP成長率が4.4%に達したと述べた。また,部門別の同成長率は,農業6.6%,金融6.4%,石油・ガス輸出6%,建築5.5%,その他の産業5.1%であり,鉱物資源はマイナス2.2%となった。また,同大臣は,南米域内ではボリビアの成長率が最も高く,続いてチリ4.2%,パラグアイ4.1%,アルゼンチン3.6%,ペルー3.2%,コロンビア2.8%,ウルグアイ2.2%,南米全体2.0%,エクアドル1.9%,ブラジル1.2%であったと述べた。

 

2 リチウム・鉱物資源・天然ガス

(1)リチウム


 17日,カナダのプラトー・エネルギー社関連企業のマクサニ・イエローケーク社は,APF通信に対し,ペルー・プーノ市内に位置する先史時代の湖底に,リチウム(及びウラン)の鉱脈があると発表した。同社のソリス社長は,本鉱脈のリチウム埋蔵量は世界一であり,アルゼンチン,チリ,ボリビアの総量よりも大きく,炭酸リチウムの生産を2020年末には開始し,ペルーは年間約5億米ドルに相当する輸出ができる見通しを述べた。

 19日,モンテネグロ・ボリビア・リチウム公社(YLB)総裁は,当国のリチウム埋蔵量について,ある米国企業が確認している最中であり,本年末には明らかになる見通しである旨,また,本埋蔵量調査の報告書により,ボリビアのリチウム埋蔵量が世界一であると証明されるだろう旨と述べた。先日ペルー・プーノで公表されたリチウムの新鉱脈には,約250万トンのリチウムがあり,世界で最も多い埋蔵量と言われたが,同総裁によれば,面積1万平方キロメートルのウユニ塩湖のリチウムは,世界の埋蔵量の60%以上が存在するとの由

 31日付報道によれば,モンテネグロ(YLB)総裁は,塩化カリウム製造プラントが8月末に落成する予定であると述べた。同プラント(面積:約2,500平方メートル)の建設,設置及び始動については,中国企業のカムセ・エンジニアリング社(CAMC Engineering.Co.Ltd.)社が請負い,投資額は約1億7,800万米ドルである。カリ肥料の生産について,本年は約3~4万トン,2019年は約10万トン,それ以降は1年当たり約35万トンを見込んでおり,同生産の90%は外国市場向けとなる。既に伯企業との間で買取り契約に署名したが,ほかにも中国や日本からカリ肥料の買取りの提案が寄せられ,YLBとしてはアジア向け輸送コストについても調査中である。一方,同総裁によれば,炭酸リチウム製造プラントは,2社の中国企業マイソン・エンジニアリング社(Maison Engineering Corporation)及びマシナリー・エンジリニアリング社(Machinary Engineering Corporation)が提携し工事を請負い,8月第1週目に着工予定である(工期:約14か月,投資額:約9,630万米ドル)。同プラントが完成すれば,年間約15,000トンの炭酸リチウムを製造できる見込。
 

(2)鉱物資源

ア  18日付報道によれば,鉱業冶金省は,本年第1四半期の鉱物資源(亜鉛,金,アンチモン,鉛,鉄マンガン重石)の輸出総額が9億8,600万米ドルに達し,前年同期比で約24%上昇したと発表した。また,輸出先は全43か国で,全輸出の67.8%がアジア地域の14か国であった。第1位は韓国(輸出額1億3,980万米ドル,18.7%),第2位がインド,第3位が日本,第4位が中国,第5位がアラブ首長国連邦であった。更に,ポトシ県からの輸出額が最大であり,全体の57%を占めた。

 29日付報道によれば,「2017年鉱山企業アンケート」(カナダのNGO団体・FRASER)において,投資分野に非積極的な国・地域では,ボリビアは91か国のうち第86位であった(ワースト10位は,グアテマラ,ケニア,メンドーサ州(アルゼンチン),チュブ州(アルゼンチン),モザンピーク,ベネズエラ,ルーマニア,中国,ニカラグア)。
 

(3)天然ガス

 14日,モラレス大統領はロシアのガスプロム社を訪問し,12億2,000万ドルの対ボリビア投資を保証する合意書に署名した。同社は,チュキサカ県に所在するビティアクア(Vitiacua)ガス田(73,875ヘクタール)の採掘作業を開始する予定である。同大統領は,同合意書がボリビア国会で採択された後,契約書が署名される予定であり,また,ガスプロム社は,南米におけるエネルギー販売のため,ボリビアにおける合弁企業の設立に関心を有している旨述べた。

  14日,モラレス大統領出席の下, YPFBポマ副総裁(契約財政管理担当)及びロシアのアクロン社クニツキー社長兼CEOは,2022年から20年間の,1日当たり200~400万立方メートルのガス売買交渉に関する覚書に署名した。サンチェス炭化水素大臣は,今後数か月の間にガスの販売価格及び量につき交渉する予定であると述べた。
 

3 南米大陸横断鉄道

 5日,当地コチャバンバ市で開催されたボリビア・ペルー二国間部門別当局会合において署名された,ペルー・イロ港に関する協定に関し,公共事業・サービス・住宅省のプレスリリース及び7日付報道の概要は以下のとおり。

(1) ボリビア港湾サービス局(ASPB)とペルー国営港湾会社(ENAPU)は,ペルー・イロ港におけるボリビア輸出貨物の通過を容易にするための協定に署名した。

(2) トゥルヒージョ・ペルー運輸通信大臣は,イロ港の近代化・強化のために,1,600万米ドルの投資を行うことを承認した旨,イロ市の空港の強化のために300万米ドルを投入する旨述べた。

(3) 同協定において,ボリビア向け貨物がイロ港に到着した際の操業価格を30%値引きすることが決定された。

(4) 両国は,運転免許証の認可に関する協定案の詳細を詰めており,同協定は9月3日の二国間閣議において発表される予定。
 

 

4 その他:建築部門の成長率

 13日付報道によれば,建築会議所は,2017年の同部門の成長率が4.99%で,2016年の7.84%の成長率より下がっている旨,また,政府が公共工事に当てる公的投資の大部分について,外国企業,主に中国企業が受注し,ボリビア企業には15%程しか割り当てられない旨述べた。

(了)