2018年6月 ボリビア経済情勢

平成30年7月5日

1 マクロ経済

(1)貿易

 経済財政省は,国家統計局(INE)のデータに基づき,本年1月から5月までに1億2,400万米ドルの貿易黒字を達成し(前年同期は1億3,100万米ドルの貿易赤字),輸出額で23.9%,輸出量で5.1%増加したと発表した。また,輸出額の伸びた分野は,鉱物資源25.3%,炭化水素24.3%,製造業23.8%,農業14.3%であった。
 

(2)経済成長率

 13日,国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会 (ECLAC)は,ボリビアの本年のGDP経済成長率を4%と見通した。また,中南米諸国において,より高い経済成長率が見込まれる国として,パラグアイ(4%),ペルー(3.5%),ウルグアイ(3.2%)を挙げた。
 

(3)外国送金

 19日付報道は,ボリビア中央銀行(BCB)のデータによれば,本年1月~4月のボリビアへの外国送金額が4億3,360万米ドルに達し,前年同期の3億9,230万米ドルに比べ,約10.5%増加したと報じた。
 

2 鉱物資源・天然ガス

(1)天然ガス・石油

ア  ロシアのガスプロム社との契約
14日,モラレス大統領(以下,「モ」大統領)はガスプロム社を訪問し,12億2000万ドルの対ボリビア投資を保証する合意書に署名した。同社は,チュキサカ県に所在するビティアクア(Vitiacua)ガス田(73,875ヘクタール)の採掘作業を開始する予定である。「モ」大統領は,同合意書がボリビア国会で採択された後,契約書が署名される予定であり,また,ガスプロム社は,南米におけるエネルギー販売のため,ボリビアにおける合弁企業の設立に関心を有している旨述べた。

イ  ロシアのアクロン社とのガス売買契約等
14日,「モ」大統領出席の下, ボリビア石油公社(YPFB)のポマ副総裁(契約財政管理担当)及びアクロン社クニツキー社長兼CEOは,2022年から20年間の,1日当たり200~400万立方メートルのガス売買交渉に関する覚書に署名した。サンチェス炭化水素大臣は,今後数か月の間にガスの販売価格及び量につき交渉する予定であると述べた。
また,コチャバンバ県ブロブロ市で生産される尿素の商業化に向け,YPFBとアクロン社の合弁企業を創設する可能性もある。
 

(2)鉱物資源

ア  11日付報道は,鉱業冶金省の報告書によれば,本年1~3月の鉱物資源の生産量が21万3,056トンとなり,前年同期の22万2,300トンに比べ4.2%減少したものの,収益は8億9,580万米ドルに達し,前年同期の7億8,500万米ドルに比べ,14.1%上昇したと報じた。これは,主に,銅,金,亜鉛,鉛及びすずの国際価格の上昇に起因する。また,主たる生産県はポトシ県で,収益が34.7%増加した。

イ  12日,ホッチコフレール鉱業冶金省・鉱業政策・規制管理担当次官は,本年1~3月の鉱物資源のロイヤリティ収入が約6,268万米ドルとなり,前年同期の約4,592万米ドルに比し22.5%上昇し,また,ポトシ県で徴収されたロイヤリティ収入が,全ロイヤリティ収入の68%であったと述べた。
 

3 南米大陸横断鉄道

 15日,ペルー・リマ市で開催された本プロジェクトに関する会合で,両洋間作業部会(Grupo Operativo Bioceánico:GOB)の構成国(ボリビア,ブラジル,ペルー,パラグアイ,ウルグアイ)は,GOBの内部規則に関する覚書に署名した。また,今後の三つの作業軸として,GOB構成国による包括的なフィージビリティ調査の促進,調査レベルでの合意形成,資金調達のための官民パートナーシップの推進が決定された。

4 中国関連

(1) 

 18日~19日のモラレス大統領の訪中において, 対中輸出に関し下記の2議定書が締結された。
ア チアシード及びキヌアの対中輸出に係る中国国家品質監督検査検疫庁(AQSIC)との植物検疫議定書
イ コーヒーの対中輸出に係るAQSICとの植物検疫議定書
 

(2)対中債務残高

 ボリビア中央銀行(BCB)によれば,2017年12月までの対中債務残高は,7億1,260万米ドルであり,融資契約ベースでは,8億9,690万米ドルである。
 

(3) 

 ボリビアに対する直接外国民間投資に関し,現時点で中国は第8位の投資国となっている。第1位はスウェーデン(34%)で,以下,スペイン(13%),フランス(11%),オーストリア(8%),アメリカ(5%),イギリス(5%),ケイマン諸島(4%),中国(4%),ブラジル(4%)と続き,その他諸国の合計が12%となっている。
 
(了)