2017年4月 ボリビア経済情勢

平成29年4月30日

1 マクロ経済

(1)経済成長率

 12日,ボリビア中央銀行(BCB)は金融政策報告書を公表し,本年の経済成長率は4.7%,インフレ率は5%との見通しを示した。

 

 14日付当地紙報道によると,国立統計局(INE)は,2016年の経済成長率が4.3%と, 2000年以降最低の成長率であったことを公表した。比較的高い成長率を示した部門は,建設,金融(いずれも7.8%)及び製造業(6%)であった。

 

(2)

 17日付当地紙報道によると,経済・財政省は,2016年の失業率が4.1%と,この8年間で最も高くなったことを公表した。

 

(3)

 23日付当地紙報道によると,ボリビア中央銀行(BCB)は,2016 年の外国直接投資額が4億1,000万米ドル(2015年比で26%減額)で,特に炭化水素部門で45%,鉱業部門で77%減額したと公表

 

(4)

 27日,政府と全国労働総連(COB)は,本年の最低賃金を10.8%引上げて2,000ボリビアーノス(約287米ドル)とし,基本給を7%引上げることで合意

 

 ボリビア経団連(CEPB)は,上記の引上げにより企業側には約3億1,900万米ドル以上の臨時出費が発生すると報告

 

(5)

 ハイメ・ドゥラン経済・財政省予算次官は,2016年の国営企業全体の純利益が9億4,100万ボリビアーノス(約1億3,500万米ドル)で,この2年間で87%の減額となったと報告し(2014年の純利益は73億7,100万ボリビアーノス(約10億5,900万米ドル)),主に石油・天然ガス価格の下落によるボリビア石油公社(YPFB)の純利益の減少が影響したと述べた。また,国営企業の支払った税額は2016年に70億290万ボリビアーノス(約10億100万米ドル)であったが,2015年比で48%減,2014年比で61%減となったと公表した。

 

(6)

 国立統計局(INE)によると,2017年第1四半期の輸出総額は16億9,470万米ドルとなり 昨年同期(16億4,380万米ドル)と比し3.1%上回った。一方,同輸入総額は22億810万米ドル(昨年同期20億850万米ドル)であり,貿易赤字は5億1,340万米ドルとなった(昨年同期3億6,470万米ドル)。
 

輸出部門 2017年第1四半期 2016年第1四半期
炭化水素 5億3,610万米ドル 6億 810万米ドル
鉱物資源 5億2,180万米ドル 3億8,660万米ドル
製造業 5億4,400万米ドル 5億4,150万米ドル
農産品 7,540万米ドル 8,090万米ドル

2 鉱物資源・石油・天然ガス

(1)リチウム関連

 10日付報道によれば,モンテネグロ・ボリビア・リチウム公社(YLB)総裁は,ウユニ塩湖のパイロット・プラントで生産する炭酸リチウムの露に対する販売を強化すると述べた。炭酸リチウムは,既に中国に対し40トン販売されている。


 23日,モラレス大統領は,ポトシ県パルカの電池陰極材料製造パイロット・プラントの落成式を行った。同プラントは,ボリビア中央銀行(BCB)からの融資約2,600万米ドルにより,仏企業が建設したものである。


(2)天然ガス関連

 18日付報道によれば,国立炭化水素庁(ANH)は,国内産業で使用する天然ガス価格を,1千立方フィート当たり1.7米ドルから2.5米ドルに値上げした(47%の値上げ)。


 27日,サンチェス炭化水素大臣は,2019年以降1日当たり1,500万立方メートルのガス輸出契約に署名するため,ブラジル国営企業PETROBRASと交渉中と説明した。また,同大臣は,シェル・ブラジルが1日当たり1,200万立方メートルのガス購入に関心を表明しており,さらに,6州(マト・グロッソ州,マト・グロッソ・ド・ソル州,リオ・グレンデ・ド・ソル州,パラナ州,サンパウロ州,サンタ・カタリーナ州)が合同で, 1日当たり1,200万立方メートルのガス購入に関心を表明していると述べた。


(3)尿素

 11日,モラレス大統領は,9月から尿素を輸出する予定であると述べた。バリガ・ボリビア石油公社(YPFB)総裁は,伯が主な輸出先で全生産量の80%を割り当て,残りを亜,パラグアイ,ペルー及びボリビア国内に割り当てる予定であると述べた。


3 南米大陸横断鉄道建設プロジェクト

 26 日,クラロス公共事業相は,ブラジルが本件プロジェクトの覚書に署名して正式加盟することを期待しているが,ブラジリアにおける5月18日の会議で具体化される見込であると述べた。


4 その他

 19日付当地紙報道によると,マルコ・アントニオ・サリナス全国商工会議所(CNC)会頭は,5月4日に「ボリビア貿易のための代替港」と題するフォーラムを開催する予定であり,国外からはアルゼンチン,チリ,ペルー,パラグアイ,ウルグアイの関係者が参加する見込であると述べた。


(了)