2017年1月 ボリビア経済情勢(主な出来事)

平成29年1月31日

1 マクロ経済

(1)海外送金

 12日付報道によれば,ボリビア中央銀行(BCB)は,本年6月までの半年間の海外送金額が6億460万米ドルとなり,前年同期比で5.1%増加した旨発表した。また,送金元の割合は,西30.9%,米17.5%,亜14.7%,伯11.8%,チリ9.7%であり,送金先の割合は,サンタクルス県40.9%,コチャバンバ県31.9%,ラパス県14%である。


(2)外国直接投資

 9日付報道によれば,ボリビア中央銀行(BCB)は,2017年第1四半期の外国直接投資額が2億3,270万米ドルで,前年同期比で24%減少し,特に石油・天然ガスの炭化水素部門で42%減少したと発表した。


 11日付報道によれば, 国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)の報告で,中南米地域全体の2016年の外国直接投資額は,合計1,670億4,300万米ドルであり,ボリビアはそのうちの0.2%の4億1,000万米ドルで,対前年比で26.1%の減少となった。


 30日付報道によれば,国連貿易開発会議(UNCTAD)及び国立統計局(INE)のデータを基に民間の貿易研究所(IBCE)が分析した結果,2016年のボリビアにおける外国直接投資額は,約200か国中109位であった。南米地域では,1位が伯,次いでコロンビア,チリ,ペルー,亜の順で,ボリビアは9位であった。


(3)政府一般予算

 20日付報道によれば,本年の政府一般予算の修正を経て,補正予算は合計約3億800万米ドルとなった(補正後の予算総額は約303億5,600万米ドルで,当初予算から約1%増加)。本補正予算は,地方自治体及び大学等の公的部門に配分される。


(4)公的部門の赤字

 29日付報道によれば,経済財政省・国庫公的融資次官室のデータに基づき,本年1月~4月(四か月間)の国営企業全体の赤字は,約2億6,500万米ドルとなった(前年同期は,約1億8,600万米ドルの黒字であった)。


 30日付報道によれば,同国庫公的融資次官室のデータに基づき,公的部門(省庁,地方自治体,国営企業,大学等を指す。ただし金融部門を除く)の赤字は,約3億4,400万米ドル(GDPの7.8%に相当)となった(前年同期は,5億7,700万米ドルの黒字であった)。


(5)GDP成長率

 23日,ギジェン経済財政大臣は,ボリビアの本年第1四半期のGDP成長率が3.34%であり,2010年以降最も低い成長率となったと発表した。


(6)パラナ川水運による貿易

 17日付報道によれば,国立統計局(INE)のデータに基づくパラナ川水運による貿易額は,2014年が7億1,400万米ドル,15年が7億9,100万米ドル,2016年が6億6,900万米ドルであった。 ロドリゲスIBCE所長は,同水運による貿易がボリビア全体の貿易の約23%を占め,残りの約77%はチリ北部(イキケ,アリカ,メヒジョネス港)及びペルー南部(イロ港)経由であると述べた。


2 鉱物資源・石油・天然ガス

(1)リチウム関連

 10日付報道によれば,モンテネグロ・ボリビア・リチウム公社(YLB)総裁は,ウユニ塩湖のパイロット・プラントで生産する炭酸リチウムの露に対する販売を強化すると述べた。炭酸リチウムは,既に中国に対し40トン販売されている。


 23日,モラレス大統領は,ポトシ県パルカの電池陰極材料製造パイロット・プラントの落成式を行った。同プラントは,ボリビア中央銀行(BCB)からの融資約2,600万米ドルにより,仏企業が建設したものである。


(2)天然ガス関連

 18日付報道によれば,国立炭化水素庁(ANH)は,国内産業で使用する天然ガス価格を,1千立方フィート当たり1.7米ドルから2.5米ドルに値上げした(47%の値上げ)。


 27日,サンチェス炭化水素大臣は,2019年以降1日当たり1,500万立方メートルのガス輸出契約に署名するため,ブラジル国営企業PETROBRASと交渉中と説明した。また,同大臣は,シェル・ブラジルが1日当たり1,200万立方メートルのガス購入に関心を表明しており,さらに,6州(マト・グロッソ州,マト・グロッソ・ド・ソル州,リオ・グレンデ・ド・ソル州,パラナ州,サンパウロ州,サンタ・カタリーナ州)が合同で, 1日当たり1,200万立方メートルのガス購入に関心を表明していると述べた。


(3)尿素

 11日,モラレス大統領は,9月から尿素を輸出する予定であると述べた。バリガ・ボリビア石油公社(YPFB)総裁は,伯が主な輸出先で全生産量の80%を割り当て,残りを亜,パラグアイ,ペルー及びボリビア国内に割り当てる予定であると述べた。


3 大型プロジェクト

 30日,クラロス公共事業大臣は,9月14~15日にコチャバンバ市で,南米大陸横断鉄道計画の進捗について評価するため,ボリビア,ペルー,伯,パラグアイ及びウルグアイの代表が技術会合を行う予定であると公表した。


4 その他

(1)

 6日、軽自動車の中古車輸入に関し、2015年までは使用3年以内の中古車輸入が可能であったが、2016年以降は1年以内の中古車の輸入のみが可能となり、2017年も引き続き、1年以内の中古車の輸入のみが可能であることが発表された。なお、本措置は、最高政令第2232号(2014年12月31日制定)に基づくが、今後、変更の予定はない模様。


(2)

 17日、政府は中小規模生産者に対する小規模貸付用の投資基金(150万米ドル)設立のために、年金基金管理機構(AFP)の資金を充てることを決定した。


(3)

 26日、ガーリー・ロドリゲスボリビア貿易機関(IBCE)総裁ほかは、米国大統領による保護主義政策が当国及び地域にマイナスの影響を与えることになると警告した。

(了)