2021年1月 ボリビア経済情勢
令和3年2月9日
1 マクロ経済
(1)世界銀行による経済成長予測
世界銀行は,ボリビアの経済成長予測に関し,2021年度は3.9%,2022年度は3.5%の見通しを立てた。2021年のラテンアメリカ全体に関しては,3.5%の成長率を見込んでいる。一方で,実際の経済成長は,パンデミック,ワクチン接種の拡大及び各国の経済再活性化政策に依存していると述べた。また,ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(CEPAL)は,ボリビアの経済成長予測に関し,5.1%の見通しを立てており,アルゼンチンとブラジルの経済回復が重要であるとの見方を示している。
(2)インフレ率
国立統計局(INE)によれば,2020年1月から同年12月にかけての消費者物価指数は,0.67%であった。同局は,指数微増の要因を保健衛生用品及び教育関連機材の値上がりによるものと分析している。2 天然資源
(1)アルゼンチンへのガス輸出
2日,ボリビアYPFB社とアルゼンチンIEASE社は,第5次ガス売買契約を締結した。冬期は一日あたり1400万立方フィート,夏期は一日あたり800万立方フィートの取引量で,価格は100万BTUあたり6米ドルを下回る見込み。(2)ブラジルへのガス輸出
21日,ボリビアYPFB社とブラジルPetrobras社は,一時的特別売買契約を締結した。有効期限は,2021年2月28日までで,取引量は,一日あたり1400万立方フィートから2000立方フィートで,価格は100万BTUあたり6.5米ドルを見込んでいる。なお,今般の特別契約とは別に,第8次契約(2020年3月6日契約)も引き続き有効である。第8次契約は2026年までの契約となっており,6年間で40億米ドルから60億米ドルの歳入を見込んでいる。(3)天然ガス売買に関する分析
ラテンアメリカ・カリブ経済委員会によれば,2021年度のブラジルとアルゼンチンの経済回復がボリビアに大きな影響を与えるとみている。また,当地フビレオ財団はボリビアの天然ガス埋蔵量の減少を危惧しており,埋蔵量の増加を試みない限り,第6次契約ではさらに取引量が減少すると分析している。同財団は,取引量の減少に伴い炭化水素直接税(IDH)からの歳入が減少し,中央政府,自治体,大学及び国庫金への分配に影響を与えると指摘している。
(4)リチウム産業化の再活性化
11日,モリナ炭化水素大臣は,ボリビアリチウム公社(YLB)を通じ,ウユニ,コイパサ及びパストス・グランデス塩湖におけるリチウム関連の産業プラントを建設する旨述べた。3 その他
(1) 対外債務軽減の交渉
25日,チョケワンカ副大統領は,国連貿易開発会議(UNCTAD)第4期会合において,「パンデミックによる経済危機にかかる世界フォーラムを国連事務総長が招集することを提案したい」旨述べ,「対外債務の支払い,免除,再編,経済回復等を議題としたい」旨発言した。なお,パリー(Diego Pary)ボリビア国連常駐代表やリクテル(Jorge Lichter)大統領スポークスマンらも同様の趣旨のコメントを発表している。(2)ソブリン債の発行
当地経済アナリスト(Jose Gabriel Espinoza)は,アルセ政権が検討する30億米ドル分のソブリン債発行が困難であるとの分析を述べた。ペルー,パナマ及びコスタリカがソブリン債を発行したが,ボリビアの場合は,高リスク国として支払う利子が増大すると見込んでいる。なお,2020年9月,フィッチレーティングス社は,ボリビアのランキングをB+からBへと格下げし,ムーディーズ社のランキングもB1からB2へとランクダウンしている。