2021年5月 ボリビア経済情勢
令和3年6月9日
1 マクロ経済
(1)経済成長率
国立統計局(INE)によれば,2021年1月から4月にかけてのグローバル経済活動指数(IGAE(GDPの予備指標))は5.3%であった。同局は,パンデミックからのリバウンド効果が大きかったと分析している。(2)貿易収支
INEによれば,2021年4月までの貿易収支は,約4億5300万米ドルで黒字となった。輸出は前年と比べ34%増加し,輸入は16%増加した。(3)海外送金
ボリビア中央銀行(BCB)によれば,1月から3月までの海外送金額は,3億3800万米ドルに達し,前年度の同時期と比べると18.5%増加した。(4)失業率
INEによれば,2021年3月の都市部失業率は8.1%であった。IMFは,2021年ボリビアの失業率が4%まで低下すると見込んでいる。2 天然資源
(1) リチウム抽出法の方針転換
30日,アルセ大統領は,「リチウム直接抽出(EDL)」にかかる国際招集を開始する旨発表した。右発表は,ボリビアリチウム公社(YLB)の主導で開催されたフォーラム内で行われ,アルセ大統領,モリナ炭化水素大臣,ウラニウム1G社(ロシア)代表,ガンフォンリチウム社(中国)代表,エナジーX社(米国)代表らが出席した。なお,EDL法にかかる技術協力募集には,12の外国企業が参加意思を表明している。
(2) リチウム産業化の進捗
26日,YLBは,レポート「リチウムの開発経験―ボリビア誕生200周年に向けて―」を発表した。右レポートによれば,2021年,炭酸リチウムの生産量は600トンに達する見込みで,既に530トンを中国ガンフォンリチウム社に販売した。一方,塩化カリウム生産に関しても,2021年3月からの生産量が17,000トンに達しており,前年度の生産量と販売量を上回っている。3 その他
(1) チリーボリビア間鉄道再開にかかる議論
8日,アンデス鉄道社(FCA)は,2006年から停止していたビアチャ(ラパス県)―アリカ港(チリ)鉄道路線再稼働のための試験運転を実施した。一方,右試験運転を受け,鉄道再稼働に反対する貨物輸送セクターのトラック運転手らが道路封鎖などを実施し抗議した。12日,モンターニョ(Edgar Montano)公共事業大臣は,ボリビア運転手組合代表らとの会合を設け,試験稼働の注視に合意した。
(2) 労働者の日におけるアルセ大統領の演説
1日,アルセ大統領は,サンタクルス市内において,労働者の日を記念して行われた行事にて演説を行った。右演説に際して同大統領は,2019年政治紛争について触れ,労働者による組織が抵抗の基盤である旨強調した。なお,同式典に際しては,ボリビア労働総連合による行進も実施され,アルセ大統領,モリナ炭化水素大臣らが参加した。