2021年3月 ボリビア経済情勢
令和3年4月9日
1 マクロ経済
(1)外貨準備高
ボリビア中央銀行(BCB)発表のデータによれば,2月23日時点の外貨準備高は,48億9000万米ドルで,2020年12月から約3億8000万米ドル減少した。BCBは,輸入額の7カ月分をカバーできている旨強調する一方,アナリストらは,外貨準備の調達法が未だ不透明である点を懸念しており,外貨準備がさらに減少していくと見込んでいる。(2)経済成長率
4日,ロハス(Edwin Rojas)BCB総裁は,BCBが実施した経済有識者へのアンケート(Encuesta de Expectativas Económicas(EEE))の結果を公表し,2021年の経済成長率について,約3.3%の見通しであると発表した。一方,パンデミックの存在が,未だ経済再活性化における最大の懸念であるとの認識についても語った。(3)固定為替レートの維持
BCBは,EEEにおける為替レートに関する回答の大部分が,6.96ボリビアーノスの維持を支持している旨公表した。BCBによれば,2011年11月以降,為替レートは,売値6.96,買値6.86を維持しており,それにより国内経済のボリビアーノス化が促進され続けている。(4)海外送金額
2020年12月の海外送金額は,同年11月と比べ28.3%増加した。モリナ(German Molina)経済アナリストによれば,スペインを中心とする各国経済の回復が海外送金額増加を後押ししているが,依然として安定的ではない旨述べた。(5)2021年財政・金融計画
18日,政府は,2021年財政・金融計画を公表した。右計画では,経済成長率を4.4%,インフレ率を2.6%と見込んでいる。なお,ボリビアの経済成長率に関しては,ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(CEPAL)が5.1%,IMFが5.6%と見込んでいる。
2 天然資源
(1)金密輸
ラパス県は,同県所在のカタリ・ゴールド社による金密輸が,約3トンに上り,想定されるロイヤリティ損失が2億5400万米ドルに達すると発表した。同社は,ラパス市に事務所を構えるが,すでに事務所は機能していないとされる。同社をはじめ,ラパス県北部における金密輸は,100年以上未解決の課題であり,中国人やコロンビア人らによる違法採掘の存在も指摘されている。
(2)バイオディーゼルプラントの建設
ボリビア石油公社(YPFB)は,2億5000万米ドルを投じ,2024年までにバイオディーゼルプラントを建設する旨発表した。モリナ(Frankiln Molina)炭化水素大臣は,2021年までに,契約企業の公募を実施する旨述べた。3 その他
インフォーマルセクターの拡大農業・労働研究センター(CEDLA)は,パンデミック下で国内のインフォーマルセクターが拡大した可能性を指摘している。ロハス(Bruno Rojas)CEDLA研究員は「インフォーマルセクターにおける雇用の質と労働環境の悪化,そして社会的保護の欠如を懸念している。」旨述べた。