海外安全対策情報 (2020年10月~12月)

令和3年1月19日

1 社会・治安情勢

(1) これまでもボリビア国内各地では、政治的要求等に基づく各職業団体、労働組合、市民団体、学生による行進、集会、道路封鎖等の抗議活動が頻繁に行われている。
(2) 2020年10月18日、総選挙が実施され、MAS党のアルセ候補が過半数以上の得票を得て大統領に選出された。2019年時の選挙後と同様の事態になることが懸念されていたものの、大規模な抗議活動等の社会騒擾は発生せず、選挙プロセスは平穏裏に推移した。11月8日に大統領・副大統領の就任式が挙行され、アルセ政権が発足した。大統領就任式前後には、一部の反MAS派による平和的な抗議活動等が行われたが、大きな混乱はなく政権交代が行われた。
(3) 新政権発足から間もないこと及び2020年7月頃の第一波到来時と比較して新型コロナウイルス感染が減少していることから社会情勢は比較的落ち着いているが、今後、新型コロナウイルスの感染状況の変化や労働組合等による政治的要求等により社会・治安情勢が変化する可能性もあることから、引き続き政治・社会・治安情勢に十分注意する必要がある。

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向

(1) 犯罪の傾向

 現在、感染防止対策による外出制限などの影響を受け、一時的に街頭における犯罪は減少している。しかし、今後、経済情勢の悪化の影響を受け犯罪が増加し治安が悪化する可能性も考えられ、またCOVID-19に関連したサイバー犯罪や詐欺事件等の発生が増加していることから、十分注意が必要である。

イ ラパス市及びエルアルト市では、COVID-19の影響により観光客が減少したため、主に観光客を対象とした偽警察官による詐欺事件などの発生は減少している。ラパス市ソナスル地区では、弁護士のふりをして民家に電話を掛け、家族が逮捕されたので弁護士費用を支払うように申し向け現金をだまし取る「振り込め詐欺」が発生している。

 サンタクルス市では、犯罪件数は減少傾向にあるものの、依然として、強盗、傷害、盗難等が多発しており、他に脅迫事件、武装強盗及び振り込み詐欺も発生している。オートバイを使った犯罪も頻発しており、特にヘルメット着用の男性二人組のオートバイは強盗やひったくりを犯す可能性が高いとされている。

 一般的な対策としては、繁華街・市場等に行く際には多額の現金を持たない、貴重品はリュックサックなど目の届かないところには入れず、自分の目の届く場所に携帯する等の注意が必要である。
 万が一、犯罪に遭遇した場合は、犯人が拳銃を所持している場合もあるので、無理に抵抗せず、可能な限り速やかに警察へ被害の届け出を行う。
 自宅等から外出する際は、施錠確認を徹底し、夜間であれば屋内照明をつけたまま外出することが望ましい。
 偽札が市中に出回っており、知らずに偽札を使用すると犯罪になるので注意する必要がある。
 

(2) 邦人被害事案

なし
 

(3) 邦人以外の被害事案等

 10月5日、エルアルト市において、刃物で刺されたような傷がある30歳代の男性3名の遺体が別々の場所で発見された。同一人物による犯行と見られる。

 10月7日、オルロ県チャジャパタ市において、金融機関が、拳銃及び散弾銃で武装し目出し帽を被った四人組に襲撃された。犯人は金庫をこじ開けられず、職員を脅し12,000ボリビアーノス(約1,740米ドル)を奪って逃走した。
 また翌8日同市から陸路で約2時間離れた料金所が上記強盗事件と類似する手口により襲撃され11,000ボリビアーノス(約1,600米ドル)が強奪された。

 10月15日、サンタクルス市マクドナルド地区において、通勤途中の女性が、バイクに乗った男二人組から、携帯電話及び所持品を奪われた。

 10月26日、エルアルト市において、パーティー参加者の飲食物に睡眠薬を混入させ所持品を盗んだ27歳の女性が逮捕された。

 11月1日午後3時頃,エルアルト市の民家に5~7人が強盗に入った。犯人たちは現場に駆けつけた警察官に発砲し逃走した。その際警察官2名が負傷した。

 11月4日、サンタクルス市内において家屋に侵入し、偽の拳銃で脅した上で家財道具や貴重品、自動車を盗んでいた強盗5名が逮捕された。

 11月16日、コチャバンバ市において60歳代の夫婦が刃物で襲われ殺害された。警察によれば、被害場所である自宅には荒らされた痕がないことから怨恨等による可能性がある。
  
 11月16日、サンタクルス市内の商店に客を装った二人組の強盗が入った。犯人たちは拳銃で店員を脅し、レジから現金を強奪後、逃走した。

 11月27日、サンタクルス市内でバイク乗車の拳銃を所持した男二人組によるひったくり及び強盗事件が連続発生し、被害者の女性はそれぞれ所持していたバッグを奪われた。
  
 12月2日、コチャバンバ市南地区において、バイクに乗った男二人組が、抵抗する女性のバッグを無理矢理奪い逃走した。
  
 12月3日、警察は、ラパス市内で路上強盗を繰り返していた男3名及び女2名の犯罪グループのうち、リーダーを除く4名を逮捕したと発表した。
 
 12月22日午後3時過ぎ、ラパス市南地区において目出し帽を被った男三人組が精肉店に強盗に押し入り現金を奪い逃走した。逃走する犯人を追跡しようとした被害者の家族が銃で胸部を打たれて死亡した。

 コチャバンバ市において、銀行で現金を引き出した直後の50歳代の男性が、バイクに乗った男二人組に銃で撃たれ35,000ボリビアーノス(約5千米ドル)を強奪された。その際通りかかり被害者を助けようとしたタクシーの運転手も銃弾を受け負傷した。 

3 テロ・爆弾事件発生状況  

  11月6日、MAS党関係者は、5日深夜、大統領選挙に当選したアルセ候補がラパス市ソポカチ地区にあるMAS党選挙本部に滞在していた際に、同本部がダイナマイトで襲われたと発表した。

4 誘拐・脅迫事件発生状況

(1) 10月14日、エルアルト市において家具製造工場の経営者及び従業員1名が、交通事故の弁償をするためラパス市南地区に向かっている途中で誘拐された。従業員は手を縛られた状態で先に解放されたが、犯人は経営者家族に200万ボリビアーノス(約29万米ドル)を要求した。犯人2名は現金取引の現場で警察に逮捕され、被害者は無事救出された。
(2) 12月16日、ラパス市において、誘拐され2か月以上身柄を拘束されていた80歳代の女性が救出された。犯人は、同女性の所有する土地を奪い取るため、書類に無理矢理署名させるために誘拐した。
 

5 日本企業の安全に係わる諸問題

  なし