2020年9月 ボリビア経済情勢

令和2年9月20日

1 マクロ経済

(1)対中債務(11日付報道)

ボリビア中央銀行の発表によれば,ボリビアの対中債務は2020年5月末時点で10億ドルに達した。なお,対外債務(116億2,500万ドル)に占める対中債務の割合は9%となっており,主な貸付元機関は中国輸出入銀行(EXIMBANK)である。
国内ではインフラへの借款が52%を占め,サンタクルス県ムトゥン製鉄工場,各県の幹線道路及び通信衛星プロジェクトなどが対象の案件となっている。

(2)財政赤字(14日付報道)

政府は,パンデミックの影響により,今年度のGDP成長率をマイナス6.2%と試算しており,財政赤字は46億ドル(対GDP比12.1%)に達する見込み。


(3)GDPにおける農業分野の成長(15日付報道)

ミレニオ財団の発表によれば,2019年度,最も成長した部門は農業であった。同財団によれば,農業部門が2017年のGDPに占める割合は11.6%であったのに対して。2019年度は12.2%まで増加した。主要品目は大豆とサトウキビで,生産量の65%を占める。
しかし2020年度は,パンデミックの影響を受け,1月から5月の大豆輸出量が10.6%減少している。
 

2 炭化水素資源

(1)アルゼンチンへの輸出(31日付報道)

アルゼンチン政府は,2020年から2024年の天然ガス取引について,炭化水素の輸出強化と輸入先の見直しを行う旨発表した。アルゼンチンは,ボリビア,トリニダード・トバゴ,ナイジェリア,カタール及びオーストラリアから天然ガスを輸入しているが,新たな輸入構造を模索する。

(2)外国投資(20日)

ミレニオ財団によれば,2014年から2019年度にかけて,炭化水素分野における投資額は82%減少した。同分野への外国投資額は,2014年時点で13億5,100万ドルであったのに対して,2019年には2億4,000ドルまで減少した。
同財団は,投資における法的枠組みの不足が,直接外国投資を遅延させていると分析している。

3 その他

(1)ヤパカニにおけるディーゼル供給不足(16日付報道)

サンタクルス県ヤパカニ市では,ディーゼルの供給が不足している。同地域には,1500を超える米農家がおり,農業機材の運用などに影響を与えている。
なお,同市は日系移住地(サンフアン・デ・ヤパカニ)と隣接しており,同移住地の住人らも自動車給油等のために訪れる。しかし移住地では,日系人のための給油スタンドを独自に備えており,また多くの農家らは,供給不足に備えてディーゼル燃料を自宅に蓄えているため営農に大きな影響はない。


(2)リスク指標(23日付報道)

22日,ムーディーズ社(Moody’s)は最新の格付けを発表した。ボリビアは,炭化水素収入減による財政状況の悪化や政治的不安定などが影響し,B1評価からB2評価へとランクダウンした。