2020年8月 ボリビア経済情勢
令和2年8月20日
1 マクロ経済
(1)外貨準備高(19日付報道)
ボリビア中央銀行によれば,今年3月時点で約60億ドルだった外貨準備高は,金価格の高騰などにより6億ドル増加し,8月第一週目で約66億ドルに達した。なお,金保有によって担保されている額は,第一四半期で22億ドルであったのに対し,現在は28億ドルとなっている。(2)貿易(20日付報道)
国立統計局(INE)によれば,今年1月から7月までの輸出額は約37億5,700万ドルとなり,輸入額は37億6,700万ドルとなった。輸出については,中国の需要低下や,パンデミックが民間企業の操業に影響を与えたことにより,鉱業部門が落ち込みを見せた。(3)対外債務(26日付報道)
2019年12月から2020年6月にかけて,ボリビアの対外債務額は112億6,800万ドルから113億ドルに増加した。これはGDPの28.4%を占める。経済分析家によれば,対外債務の増大は,パンデミック対策と経済の再活性化のために不可避であり,増大し続けていると指摘している。これに対し,ボリビア中央銀行は,世界銀行やIMFが定める基準値(対GDP比40%)にはまだ達していないため,借款の余地が残されていると述べた。
2 COVID-19関連
(1)ミネラ・サンクリストバル社操業停止(25日付報道)
社内でCOVID-19感染者が増加したことに伴い,ミネラ・サンクリストバル社は,今年三度目の操業停止措置をとる。一度目は,2月に計画されていた設備管理のための停止,二度目は,6月に二名のCOVID-19感染者が確認されたことによるものであった。エスピノッサ前鉱業・冶金大臣によれば,同社はボリビア史上最大の鉱山であり,いかなる操業停止措置もポトシ県とボリビア経済全体へ大きな影響を与えると指摘した。
なお,ポトシ県の収入の60%は,同社のロイヤリティ収入であり,同社の支払う税金やロイヤリティの総額はGDPの2.5%に相当する。
(2)ローン支払い延期(26日付報道)
25日,ローン支払いを12月末まで延期する法律第720号が上院で可決された。一方,経済専門家らは,ローンの支払い延期は,中小規模の銀行の財務状況を圧迫し,倒産に追い込む可能性があると指摘している。
(3)失業率(28日付報道)
国立統計局によれば,7月の失業率は11.8%に達した。また,同局によれば,過去30年の間の失業率は1989年が9.6%,2002年が8.7%,2019年は4.8%であり,パンデミックが発生しなければ,2020年度の失業率は3.9%であったと述べた。ボリビアで直接的にパンデミックの影響を受けた労働者は28万人に上り,間接的には43万人が影響を受けたと指摘している。なお,最も影響を受けた部門は,建設業,飲食業及び販売業であった。