2020年7月 ボリビア経済情勢

令和2年7月20日

1 マクロ経済

(1)外貨準備高(9日付報道)

ボリビア中央銀行によれば,輸入の減少と,金価格の高騰により,6月末時点での外貨準備高を62億9,800万ドルで維持している。これは前年度GDPの約16%を占めている。
外貨準備高は,3月時点で60億ドル,4月時点では65億ドルであった。しかし,5月に入り64億ドルに減少し,6月末に約63億ドルまで減少した。
ボリビアは外貨準備高の20%を金で保有しており,金価格の高騰が外貨準備高維持の要因となっている。これにより,今後数ヶ月は,輸出入の減少で経済が大きく変動する可能性が低く,懸念されていた6.96の為替レートも安定する。

(2)貿易(4日付報道)

国立統計局(INE)によれば,1月から5月までの輸出額は約26億ドルであった。2019年の同時期は34億ドルを記録しており,約24パーセント減少した。鉱物資源の輸出額は4億8千万ドルで,2019年度の9億ドルに比して,約47%落ち込んだ。
最も輸出が落ち込んだ鉱物資源は亜鉛(52%減),銀(37%減),鉛(48%減)であった。なお,鉱物資源は総輸出額の19%を占めている。
 

2 ムトゥン製鉄工場(11日報道)

ムトゥン製鉄社(ESM)によれば,サンタクルス県,ムトゥン製鉄工場建設計画は,モラレス政権時代に約1億ドルを中国企業に支払っているにもかかわらず,工事の進行率が3%程度と全く進んでいない。また,中国側からは建設計画の最終案が未提出の状態である。同計画には,約5億4,600万ドルの予算が充てられている。
 

3 その他

(1)ミネラ・サンクリストバル社の給与未払い問題(17日報道)

17日,ボリビア最高憲法裁判所は,ミネラ・サンクリストバル社の日曜日手当及び時間外労働手当未払い問題について,労働省による仲裁裁定が不正であるとの判決を下した。
本件は,2018年8月に,同社の労働組合員らが,日曜日手当及び時間外労働手当が未払いであるとして,約5500万ドルの支払いを打診したことに端を発する。これに対し,労働省は,同社の同意無く一方的な仲裁裁定を下し,同社に手当の支払いを命じた。同社は,仲裁裁定には不備があるとして,ラパス地方裁判所に異議を申し立てた。ラパス地方裁判所は,同社の主張を受け,労働省に対して裁定の発出を禁止したが,右判決は無視されていた。
今般,スクレの最高憲法裁判所は,ラパス地方裁判所の判決を正当であると認め,労働省による仲裁裁定が不正であると判決した。

(2)貧困率(16日付報道)

カリブ・ラテンアメリカ経済委員会(CEPAL)は,パンデミックにより,ボリビアの絶対的貧困率が16.8%に達すると見込んでいる。これにより,約4,200万人の国民が貧困の状態に陥ると算出している。なお,国立統計局によれば,2019年度の絶対的貧困率は12.9%であった。


(3)会社登記のデジタル化(2日付報道)

2日,オルティス生産開発・複合経済大臣は,会社登記を管理する非営利機関であるフンデンプレサ(Fundempresa)において,起業手続きがオンライン化される旨発言した。これにより手続きは簡素化され。ボリビアにおいて,新たな企業を立ち上げることが容易になる。