2020年6月 ボリビア経済情勢

令和2年6月20日

1 マクロ経済(ボリビア中央銀行総裁及び経済学者発言)

(1)固定為替相場制(29日付報道)

ギレルモ・アポンテボリビア中央銀行総裁は,ドルに対するボリビアーノスの価値を確保するためにも,為替相場を固定し続ける意向を示した。また,固定為替相場制により,インフレーションのレベルが低く抑えられたと指摘している。
同総裁によれば,1月から5月までのインフレ率は1.23%を記録しており,コントロール可能な範囲である。

(2)外貨準備高(29日付報道)

同総裁は,外貨準備高については,GDPの16%に相当する水準を維持できると発言しており,国際機関が定める基準値(年間の輸入額3ヶ月分相当)を超える値(7ヶ月分相当)を確保できている旨述べた。

(3)ボリビア経済の見通し(3日付報道)

経済学者フアン・アントニオ・モラレス教授は,COVID-19の感染拡大により,ボリビア経済が最悪の場合で7%のマイナス成長を記録すると指摘した。同教授は,最も良いシナリオでも5%のマイナス成長になると見込んでいる。
また,同教授はボリビア経済の回復が,国際機関の見通しよりも更に長い時間を要するとしている。
同教授によれば,現時点で予想される経済への影響は炭化水素直接税の減収及び危機対応のための支出増大である。

 

2 炭化水素直接税の減収(16日付報道)

経済分析家らは,2020年度は,炭化水素の国際価格下落や輸出減などにより,ロイヤリティや税収による収益が減少すると見込んでいる。これにより,県や自治体及び公立大学が受け取る炭化水素直接税は約53%減少する。
また,炭化水素資源の専門家によれば,ブラジルでの天然ガス需要減退により,ボリビアが同国から受け取る収益は10億ドル程度になると指摘しており,ここ14年間の平均値である55億ドルを大きく下回る可能性がある。
なお,2020年度予算では,炭化水素直接税とロイヤリティによる収入は約97億ドルを見込んでいたが,15億ドルまで減少すると予想している。
 

3 その他

(1)Pro-Exportボリビアの設置(6日付報道)

外務省は,貿易・統合部局を通じて,外国投資の促進と輸出における新たな国際市場開拓を目的として,「Pro-Export ボリビア」を設置した。同部局によれば,日本を含む35の大使館及び領事館に担当官を配置する。


(2))ミネラ・サンクリストバル社におけるCOVID-19感染者(3日付報道)

5月27日,ミネラ・サンクリストバル社は,社員2名がCOVID-19に感染したと発表した。これに伴い,同社は,社内で定めた衛生プロトコルに従い,同日から2週間の操業停止措置を取っている。