ボリビア内政・外交(2020年5月)

令和2年5月20日

1 概況

(1)2日,アニェス暫定大統領はトランプ米大統領と電話会談を行った。

(2)20日,ナバハス保健大臣は,ボリビア政府がIDBの融資を利用して調達した人口呼吸器170台に係る汚職疑惑に関与した疑いで更迭された。

(3)28日,ボリビア政府は,6月1日以降,国家緊急事態を維持し,6月30日まで国境封鎖,国際便の停止等の措置を継続すること,一部経済活動や交通機関の規制を緩和すること等を発表した。
 

2 内政

(1)世論調査

ア 5月15日付エコノミスト紙は,4月14~18日にCies Mori社が都市部及び地方在住の662名を対象に実施した世論調査の結果の内,大統領選挙における投票先について公表したところ,右概要以下の通り。
(ア)アニェス暫定大統領(政党連合「フントス」):25.9%
(イ)アルセ前経済・財務大臣(MAS):24.1%
(ウ)メサ元大統領(政党連合「市民共同体」):19.6%
(エ)カマチョ前サンタクルス市民委員会委員長(政党連合「私達は信じる」):5.2%
(オ)チ候補(FPV):2.4%以下
(カ)キロガ元大統領(政党連合「自由と民主主義」):2.4%以下
(キ)未定・無回答:21.1%
 
イ 2~7日にIPSOS社が都市部及び地方在住の1,000名を対象に,COVID-19対策に関する世論調査を行ったところ,右概要以下の通り。
(ア)COVID-19の衛生緊急事態における対応振りの評価
アニェス暫定大統領:とても良い69%,とても悪い23%,不明又は無回答8%
コパ上院議長:とても良い29%,とても悪い:52%,不明又は無回答19%
国会:とても良い30%,とても悪い57%,不明又は無回答13%
県知事:とても良い42%,とても悪い44%,不明又は無回答14%
市長:とても良い45%,とても悪い43%,不明又は無回答12%
医師:とても良い92%,とても悪い4%,不明又は無回答4%
警察:とても良い84%,とても悪い13%,不明又は無回答3%
国軍:とても良い89%,とても悪い7%,不明又は無回答4%
 
(イ)COVID-19の衛生緊急事態における各県知事の各県都及びエルアルト市における対応振りの評価
ラパス:とても良い31%,とても悪い64%,不明又は無回答5%
エルアルト:とても良い37%,とても悪い53%,不明又は無回答10%
コチャバンバ:とても良い32%,とても悪い47%,不明又は無回答21%
サンタクルス:とても良い56%,とても悪い30%,不明又は無回答:14%
オルロ:とても良い54%,とても悪い26%,不明又は無回答20%
ポトシ:とても良い37%,とても悪い37%,不明又は無回答26%
スクレ:とても良い24%,とても悪い58%,不明又は無回答18%
タリハ:とても良い52%,とても悪い35%,不明又は無回答13%
トリニダー:とても良い37%,とても悪い43%,不明又は無回答20%
コビハ:とても良い70%,とても悪い27%,不明又は無回答3%
 
(ウ)COVID-19の衛生緊急事態における各市長の対応振りの評価
ラパス:とても良い38%,とても悪い56%,不明又は無回答6%
エルアルト:とても良い28%,とても悪い66%,不明又は無回答6%
コチャバンバ:とても良い34%,とても悪い50%,不明又は無回答16%
サンタクルス:とても良い64%,とても悪い22%,不明又は無回答14%
オルロ:とても良い60%,とても悪い26%,不明又は無回答14%
ポトシ:とても良い51%,とても悪い23%,不明又は無回答26%
スクレ:とても良い50%,とても悪い40%,不明又は無回答10%
タリハ:とても良い30%,とても悪い62%,不明又は無回答8%
トリニダー:とても良い33%,とても悪い40%,不明又は無回答27%
コビハ:とても良い13%,とても悪い73%,不明又は無回答14%
 
(エ)5月3日から90日以内に大統領選挙を実施することに賛成するか。
賛成:32%
反対:66%
不明又は無回答:2%
 
(オ)外出禁止令が緩和されても,感染リスクにより外出が怖いと感じるか。
非常にそう思う又はそう思う:76%
全くそう思わない:21%
不明又は無回答:3%
 
(カ)居住地の住民は疫病の問題を深刻に捉えており,外出禁止令が緩和されても注意深く行動すると思うか。
非常にそう思う又はそう思う:55%
全くそう思わない:43%
不明又は無回答:2%

(2)アニェス政権の動向

ア 4月30日に採択・公布された,5月3日予定されていた総選挙を5月3日から90日以内に実施する法律第1297号に関し,4日,アニェス暫定政権は憲法裁判所に対する違憲申立てを行った。
イ 7日,ロホ生産開発・複合経済大臣は一身上の都合により辞任,ウアルパ鉱業・冶金大臣は不正事案により更迭され,8日,新たにオルティス生産開発・複合経済大臣及びバスケス鉱業・冶金大臣が各々任命された。
ウ 20日,ナバハス保健大臣は,ボリビア政府がIDBの融資8200万ドルを利用して調達した人口呼吸器170台に係る汚職疑惑に関与した疑いでアニェス暫定大統領によって更迭され,同日,ロカ(Mrs. Maria Eidy Roca)次官が保健大臣代行に就任した。
エ 28日,ボリビア政府は,6月1日以降,緊急事態宣言は解除するが,国家緊急事態は維持し,6月30日まで国境封鎖,国際便の停止等の措置を継続すること,一部経済活動や交通機関の規制を緩和すること等を発表した(最高政令第4245号)。
 

3 外交

(1)2日,アニェス暫定大統領は,トランプ米大統領と電話会談を行った。トランプ大統領は,ボリビア国民によるCOVID-19対策に対し,民主的な連帯の意を表明し,また,ボリビアのCOVID-19対策を強化するため,人工呼吸器250台を早期に寄贈すること,更なる人工呼吸器及び医療機材の寄贈を検討することを表明した。また,同会合において,ボリビアと米国の科学者グループ間のコミュニケーションを強化することが合意された。
 
(2)12日,当地Huang中国大使はナバハス保健大臣に対し,対ボリビアCOVID-19対策の支援資機材を供与した(外科手術用マスク:30,000枚,医療用ゴーグル:2,000個,外科用使い捨て手袋:2,000個,医療用使い捨て白衣:200着及び赤外線体温計:500個)。