ボリビア内政・外交(2020年4月)

令和2年4月20日

1 概況

(1)14日,アニェス暫定大統領は,4月30日まで全国における終日外出禁止令(自宅隔離措置)を延長することを発表した。

(2)29日,アニェス暫定大統領は,全国における終日外出禁止令(自宅隔離措置)を5月10日まで延長し,5月31日まで国際・国内航空便の停止,国境封鎖等の措置を継続することを発表した。

(3)30日,5月3日の総選挙を90日以内の実施に延期する法案が国会で採択され,アニェス暫定大統領は異議申し立てたが,即時に却下され,同日公布された。
 

2 内政

(1)COVID-19を巡る動向

ア 8日,クルス保健大臣が一身上の都合により辞任し,ナバハス医師が新保健大臣に任命された。
イ 14日,アニェス暫定大統領は,4月30日まで全国における終日外出禁止令(自宅隔離措置)を延長すること,また,今後7日間で地域又は経済分野に応じて同措置を柔軟適用することを検討することを発表した(最高政令第4214号)。
ウ 29日,アニェス暫定大統領は,全国における終日外出禁止令(自宅隔離措置)を5月10日まで延長し,11日以降はリスクに応じて県・市を分類すること,5月31日まで国際・国内航空便の停止,国境封鎖等の措置を継続すること,5月11~31日,7日毎に各市を「低リスク」,「中リスク」及び「高リスク」の3段階に分類し,同リスクに応じた措置を適用すること等を発表した(最高政令第4229号)。


(2)選挙日程延長に関する法案を巡る動向

ア 3月26日,最高選挙裁判所(TSE)から国会に提出された,5月3日に予定されていた総選挙を6月7日~9月6日の間に延期する法案に関し,ロメロTSE長官は国会に対し,COVID-19の影響により選挙日程が遅延していることを踏まえ,投票日を6月28日~9月27日の間に変更する修正案を提出した。
イ 4月29日,下院は,MAS主導により,投票日を5月3日から90日以内の実施に延期する法案が採択された。
ウ 30日,上院本会議において,MAS主導により,上記イの法案が採択された。直後,アニェス暫定大統領はコパ上院議長に対し,憲法第37条及び法律第1293/2020号では,国家は国民の健康の権利を保障する義務を負っており,医療の促進及び病気の予防が優先されると規定されており,同法案はTSE提出法案に従って修文すべきであるとの異議申立書を提出した。これに対し,コパ上院議長は,即時に上院・下院本会議を招集し,同異議申立ては根拠不十分との理由で,出席過半数以上の議員の投票により却下され,同日,同法案は,法律第1297号として公布された。
エ オルティス上院議員(社会民主運動党(MDS))は,上記ウの同上院・下院本会議は,48時間以上前の招集なく実施されたので,手続上無効であり,憲法裁判所に申し立てると主張した。また,ピエロラ下院議員(キリスト教民主党(PDC))は,憲法第163条第11項では,行政府による異議申立てが根拠不十分と判断する場合,国会議長が法律を公布できると規定しているが,コパ上院議長は国会議長ではないため(当館注:憲法上,副大統領が国会議長を務めると規定),憲法第122条上の権限の逸脱に当たり,同公布は手続上無効であると主張した。更に,アニェス暫定大統領はツイッター上で,ボリビア国民の生命と健康を守るため,MASによる選挙実施法を拒否する,健康に対する危険が無くなってから選挙を実施すべきである,TSE法案の日程案から30日以上も短縮することは不可能であると述べた。
オ 同日,コパ上院議長は,COVID-19の感染者数が引き続き増加する場合,投票日の再延長を審議するだろうと述べた。

3 外交

(1)2日,ボリビア外務省は,ベネズエラ情勢に対する米国の提案「ベネズエラにおける民主的移行枠組」に関し,同イニシアティブを歓迎する旨の声明を発出した。
 
(2)8日,ボリビアが議長国を務めるアンデス共同体(CAN)は,COVID-19拡大を踏まえ,CAN諸国の連携の必要性を確認し,医療資材の共同購入の可能性を検討すること,また,各国・国際機関による支援を歓迎する旨のCAN外相声明を発出した。
 
(3)各国・国際機関によるCOVID-19対策支援
ア 2日,UNDPは,COVID-19感染検査に従事する全9県13の研究所に対し,UNDPグローバル基金から49万8,656米ドル相当の機材を贈与した。
イ 3日,独政府は,ボリビア警察に対し,28万7,356米ドル相当のマスク,手袋,アルコールジェルの医療物資を贈与した。
ウ 14日,ボリビア政府はIDBに対し,3億5,000万米ドルの融資を申請した。17日,IDBはボリビア政府からの医療及び社会保障対策の緊急融資申請に対し,3億2,700万ドルの緊急融資を承認した。
エ 16日,米政府は,ボリビア政府に対し,COVID-19の感染検査能力の強化及び感染拡大監視対策の改善のため,75万米ドルの無償資金協力を実施することを発表した。
オ 27日,中国ファーウェイ・ボリビア支社は,COVID-19指定病院の医療従事者用に,手術用マスク50,000枚,滅菌マスク1,000枚,防護服500着及び防護ゴーグル500個を贈与した。
カ 4月末,当地UNICEF事務所は,エルアルト市,サンタクルス市,コビハ市,コチャバンバ県セルカード・スル市(ユキ及びユラカレ先住民居住地含む),ビジャトゥナリ市,プエルト・ビジャロエル市,シナオタ市及びチモレ市の医療機関に対し,COVID-19対策資機材を贈与した。