2020年4月 ボリビア経済情勢

令和2年4月20日

1 マクロ経済

(1)COVID-19対策

ボリビア政府は,COVID-19対策のため,以下の経済支援策を発表した。
 
ア 公共料金の一部政府負担
4~6月のガス代,電気代及び水道代の一部政府負担に関し,4月1日付法律第1294号が国会で採択され,最高政令第4200号の内容が変更された。同期間の水道料金の50%を政府が負担する。同期間の電気及びガス料金については,120ボリビアーノスまで政府が全額負担し,120~300ボリビアーノスの場合は50%,300~500ボリビアーノスの場合は40%,500~1000ボリビアーノスの場合は40%,1000ボリビアーノス以上の場合は20%,政府が負担する。(4月1日付法律第1294号)
 
イ 融資支払
緊急衛生戒厳令の実施期間及び実施期間終了後6か月間は,融資又は利子の支払い遅延に対し,追加利子の適用又は罰金を科してはならない。(4月1日付法律第1294号)
 
ウ 家族手当
2020年3月18日付最高政令第4197号で規定される家族手当の支給対象者に関し,幼稚園児(4歳)から高校生(18歳)までの学童を有する家庭に拡大し,4月15日以降,学童1名当たり500ボリビアーノスを支給する。(4月8日付大統領発表)
 
エ 医療関係者に対する保険
全ての医療関係者(私立病院含む)に対して無料の医療保険及び生命保険を付与する。(4月8日付大統領発表)


(2)財政赤字及び失業率(19日付報道)

世界銀行と国際通貨基金は,COVID-19拡大がボリビアに与える主な影響として,財政赤字と失業を指摘した。世界銀行はボリビアのGDP成長率を3.4%減,国際通貨基金は2.9%減と見込んでいる。国際通貨基金によれば失業率は国内人口の8%に達すると見られる。また,世界銀行は財政赤字が対GDP比で8%に達し,公的債務は対GDP比で69%に達すると見込んでいる。


(3)GDP成長率(21日付報道)

国連ラテンアメリカカリブ経済委員会によれば,2020年度のGDP成長率はラテンアメリカ全体で5.3%減,ボリビアでは3%減少する。GDP成長率減少の主な要因として,COVID-19の拡大による,貿易規模の縮小,一次産品の価格下落,世界的な金融状況の悪化,観光産業の需要低下,海外送金の減少が影響を与えると指摘している。

2 その他

(1)遺伝子組み換え作物(23日付報道)

22日,パラダ経済大臣はボリビア経済を立て直す上で,外国資本によるウユニ塩湖への投資とリチウムの輸出,租税政策,対外債権の発行,そして遺伝子組み換え作物の導入が重要であると指摘した。パラダ経済大臣によれば,サンタクルス県には多分に開発の余地があり,隣国との競争には同県における遺伝子組み換え作物の導入が不可欠であると述べた。

(2)天然ガス売買の一時中断(30日付報道)

ボリビア石油公社(YPFB)とブラジル,ペトロブラス社は4月29日,天然ガスの売買を一時中断可能とする契約を結んだ。ソリスYPFB総裁は同契約により天然ガスの備蓄量を維持できると述べた。同契約の有効期間は2020年5月1日から31日までとしている。