2020年3月 ボリビア経済情勢

令和2年3月19日

1 マクロ経済

(1)COVID-19対策

ボリビア政府は,COVID-19対策のため,以下の経済支援策を発表した。
 
ア 企業所得税の支払い
2019年度の企業所得税の支払い期限を2020年5月29日まで延長する。5月15日までに現金で支払った場合,2020年度の企業所得税の支払いにおいて減額措置を受けられる。2020年6月までの企業所得税の50%を支払った場合,2019年度の企業所得税の支払いを最大三回まで分割払いできる。(3月17日付最高政令第4198号)
 
イ 寄付金の税控除
2020年12月31日までにCOVID-19対策に資する寄付を行う場合,寄付金額を企業所得税から控除できる。(3月17日付最高政令第4198号)
 
ウ 書類提出期限
2019年度及び2020年度第一四半期における,企業経営に関する商法上の登記や関連書類提出の期限を延期する。(3月31日付最高政令第4203号)

(2)ボリビア中央銀行による政府への融資(28日付報道)

27日,ボリビア中央銀行は,COVID-19対策のため,ボリビア政府に対する10億ドルの融資を決定した。

(3)GDP成長率予測(28日付報道)

27日,モラレス中央銀行総裁は,COVID-19の影響により,2020年度のGDP成長率が少なくとも3%は落ち込むと述べた。
 

2 資源

(1)ブラジルへの天然ガス輸出(6日付報道)

6日,ボリビア石油公社(YPFB)とブラジルのペトロブラス社(Petrobras)は,現行の天然ガスの売買契約を6年間延長することを決定した。同契約によれば,ボリビアは6年間で40億ドル~60億ドルの収入が見込まれる。


(2)鉱物資源の国際価格の下落(11日付報道)

COVID-19拡大によるアジアでの需要低下の影響により,原油及び鉱物資源の国際価格が下落している。ボリビアの主要輸出品目である亜鉛の価格は2019年度の同時期に1オンスあたり1.2ドルであったのに対し,本年度は0.87ドルまで下落する等,ボリビアの輸出に対する影響が懸念される。

(3)天然ガスの国際価格の下落(23日付報道)

23日,メディナセリ前炭化水素大臣は,天然ガスの国際価格の下落により8.5億ドルの歳入減が見込まれ,GDPの2%に相当すると述べた。前年度は1バレルあたり57ドルであったのに対し,3月末時点では1バレルあたり20ドル~25ドルで推移している。その結果,炭化水素に関する税金の徴収額が減少し,右を財源とする行政府予算や大学交付金も減少することが見込まれる。一方,原油価格の下落によりディーゼルとガソリンの輸入額が下落しており,総額で2.7億ドルの節減が見込まれる。