2020年2月 ボリビア経済情勢
令和2年2月19日
1 マクロ経済
(1)外貨準備高(1日付報道)
ボリビア中央銀行(BCB)は,米フィッチレーティング社の報告書に関し,同社の報告書はモラレス前政権の金融政策をベースにしたものであり,現政権及びBCBによる新たな金融政策を考慮していない,外貨準備高は2019年12月31時点で64億6800万ドルに達し,安定的な為替レートを維持できると反論した。(2)2020年度財政計画(7日付報道)
6日,パラダ経済・財政大臣,ディアス開発企画大臣及びアポンテ中央銀行総裁は2020年度財政計画に署名した。同計画には,GDP成長率3.5%,インフレ率3.4%,財政赤字の縮小(2019年度の7.2%から6.6%まで縮小),対外債務を持続可能なレベルに抑制する等の目標が盛り込まれている。
(3)ボリビア産品の輸出促進(3日付報道)
2日,生産開発・複合経済省の下部組織であるボリビア産品公社(Insumos Bolivia(INBOL))のカルデロン総裁は,約1億7千万米ドルの信託基金を活用して,ボリビア産品の輸出促進のため,欧米及びアジアの市場開拓ミッションを派遣すると公表した。13日,INBOLがボリビア森林会議所に対し,信託基金から5千万米ドルの融資(償還期間5年,低利の木材輸出業者に対する融資)を行う合意文書が署名された。
2 資源
(1)資源輸出額(10日付報道)
ボリビア貿易研究所(IBCE)が国家統計局(INE)のデータを分析したところ,2019年度の輸出総額の66%が天然ガス,金,及び亜鉛で占められており,これら三つの輸出額は57億6400万ドルに達した。天然ガスの輸出額は26億9400万ドルで2018年度から9.3%減少した。亜鉛の輸出額は13億3500万ドルで2018年度から11.9%減少した。金の輸出額は17億3440万ドルで2018年度から48.7%増加した。(2)石油生産の減少(13日付報道)
ボリビア石油公社(YPFB)によれば,タリハ県サンアルベルトとサバロの主要油田における生産減により石油生産は2015年から2019年の間に26%減少した。2015年の一日当たり石油生産量は60.83バレルであったが,2019年度には一日当たり45.08バレルまで減少した。ソリスYPFB総裁によれば,2020年度の生産量も減少する見込みであるが,原油の輸入増大により国内需要に対応できると述べた。(3)鉱物輸出額の減少(6日付報道)
2019年度の銅,亜鉛,鉛等鉱物資源の国際価格は2018年度に比べ下落した。2018~19年,鉛の輸出額は12.7%減少した。国際価格の下落により,鉱物資源の主要産地であるラパス,オルロ,ポトシ県のロイヤリティー歳入は減少する見込み。2019年度の亜鉛の主な輸出先は日本,中国,オーストラリア,韓国,ベルギー,スペイン,フィンランド,カナダであったが,主に中国の需要低下により,輸出額が低下したとみられる。
3 エルアルト原子力研究センターの建設停止(13日付報道)
12日,ジョルダン・ボリビア原子力庁(ABEN)長官は,露のロスアトム社との合意文書に不備があったため,エルアルト市における原子力研究センターの建設計画を一時停止すると述べた。同文書は,モラレス政権時に国会の承認を得ずに署名され,手続上の問題が指摘されていた。