ボリビア内政・外交(2019年9月

令和元年10月5日

1 概況

(1)内政

 大統領選挙に関する民間企業・団体の世論調査の結果,モラレス大統領は31~36%,メサ元大統領は24~26%の支持率であった。
 

(2)外交

 16日,チリは,国際司法裁判所に出廷し,シララ水源問題に関するボリビアの抗弁書に対する再抗弁書を提出した。

1 内政

(1)大統領選挙に関する世論調査

 CIESMORI社が実施した世論調査の結果は以下のとおり。同調査は8月20日~9月4日の期間,都市部及び地方の2,221名を対象に実施された。
モラレス大統領:36%
メサ元大統領:25%
オルティス上院議員:11%
カルデナス元副大統領及びパッツィ・ラパス県知事:2%
白紙・誰にも投票しない:11%
未定:9%

 Mercados y Muestras社が実施した世論調査の結果は以下のとおり。同調査は9月13日~20日の期間,都市部及び地方の3,000人を対象に実施された。
モラレス大統領:33%
メサ元大統領:26%
未定・無回答:15%
オルティス上院議員:9%
Chi Hyun Chungキリスト教民主党(PDC)大統領候補3%
白紙・無効:11%
 

(2)その他選挙関連

 11日,最高選挙裁判所は,10月20日に実施される大統領選挙・総選挙の有権者数を発表した。全有権者数は731万5,364名であり,このうち国内居住者が697万4,363名,国外居住者が34万1,001名であった。同裁判所のデータによれば,2014年の選挙から2016年の国民投票にかけて有権者数が4.17%増加した。また,同国民投票から今次選挙にかけて,有権者数が12.5%増加した。

 ボルス弁護士(憲法学者)は,有権者数に関する調査を行ったところ,パンド県の15市中11市で有権者数が増えており,全体数は5年間で57,596人から72,580人に20%増加していると発表した。

 11日,最高憲法裁判所により,複数の公立大学及び民間団体が実施した世論調査「Tu Voto Cuenta」の結果公表が,予定時刻の1時間前に禁止された。同裁判所は,公表禁止の理由として,調査資金源の不透明性及び誤差率が高いことを指摘した。アルバラシン・サンアンドレス大学学長及びヌニェス・フビレオ基金代表は,同調査の実施許可を最高選挙裁判所に申請した際,上記2点について何ら照会は求められなかったと説明し,また,右禁止は憲法21条6項における「表現の自由」の侵害であると主張した。同調査結果に関し,モラレス大統領(31.1%)とメサ元大統領(24.9%)の得票率の差が,他社の調査結果よりも小さいとの特徴がある。

 24日,メディーナUN党首は,メサ元大統領への支持を公表した後,地方選挙においてUN党候補者を当選させるための互恵的な対応を期待し,市民共同体と政党連合を組むわけではないが,メサ元大統領が唯一モラレス大統領に対抗できる候補であると述べた。

 30日,メサ元大統領は,地方選挙におけるUN党との連合を否定し,「主権と自由」と「左派革命戦線」及び「全タリハ政治団体」と協力する旨述べた。
 

(3)チキタニア森林火災

 11日,ボリビア・カトリック司教会議は,「中央政府が(森林火災に関し)重大な責任を負っている。焼畑を認める法令によって違法な焼畑を許容してきた」と述べ,コントロール不可能な焼畑の中止及び森林地域の保護を求めた。

 17日,チキタニア地域の森林火災を受け,サン・イグナシオ市からサンタクルス市まで先住民による抗議行進が行われ,政府に対し,伐採及び焼畑農法を認める法律の取消及び国家非常事態宣言の発出を要求した。

 16日,モラレス大統領はツイッター上で,「チキタニア地域の森林火災対策のための援助を行ったベルギー,コロンビア,日本,カナダ,ロシア,フランス,アルゼンチン,中国,韓国,米国,英国,ペルー,スイス,また,明日援助を実施予定のスウェーデン及びオーストリアの計15カ国の国々に感謝する」とコメントした。
 

(4)その他内政

 3日,最高憲法裁判所が医療従事者の無期限ストライキの禁止の判決を発出したことが明らかにされ,同裁判所は立法機関に対し,医療分野の抗議活動を規制するため,少なくとも2年の罰を与える法律の制定を勧告した。

3 外交

(1) 16日,チリは,国際司法裁判所に出廷し,シララ水源問題に関するボリビアの抗弁書に対する再抗弁書を提出した。
 
(2) 22日深夜,第74回国連総会に出席するためニューヨークに向かう途次,乗り換えのためにハバナに立ち寄ったモラレス大統領を,ラウル・カストロ共産党第一書記及びミゲル・ディアスカネル国家評議会兼閣僚評議会議長が出迎えた。
 
(3) 23日,第74回国連総会に出席したモラレス大統領は,熱帯雨林保護同盟会合に出席した。
同会合では,生物多様性の保護,持続可能なバリューチェーンの発展,持続可能な土壌管理方法の形成,訓練の奨励,越境協力及び対応の迅速化の六つの目標が提案された。
 
(4) 23日,モラレス大統領はマクロン仏大統領と会合した。マクロン大統領は,消防士養成学校の創設に係る協力を実施することを約束し,また,チキタニア地域の森林火災により飲料水又は家畜用水のための井戸,ため池,貯水槽等が破壊されたことを受け,水に関する技術協力を実施することを表明した。
 
(5) 26日,第74回国連総会のマージンにおいて,第16回CELAC外相会合が開催され,メキシコが2020年のCELAC議長国に選出された。
 
(6) 26日,国連本部において,CELACカルテット(ボリビア,セント・ルシア,エルサルバドル,ドミニカ共和国)・メキシコ(次期CELAC議長国)・中国会合が開催され,パリ外務大臣が議長を務めた。
               (了)