ボリビア内政・外交(2018年7月)

平成30年8月10日

1 概況

(1)内政

 25日,最高裁判所は,キボラックス社問題に関し,メサ元大統領に対する責任追及裁判の開始を許可するよう議会に求める決定を下したが,26日,ガルシア・リネラ副大統領は,本件の審議を今会期中に行うことはできないと発表した。
 

(2)外交

 16日及び17日,ベルギー・ブリュッセルでCELAC・EU外相会合が開催され,2019年にボリビアがCELAC議長国に就任することが承認された。

2 内政

(1)

 1日,ラパス県選挙裁判所は,レビージャ・ラパス市長の罷免に関する住民投票実施請求について,必要数の署名を集められなかったことを理由に認めないことを発表した。


(2)

 3日付け当地紙は,開発分野先進研究所(Instituto de Estudios Avanzados en Desarrollo:INESAD)の調査によると,貧困層の収入は増加しているが,現在もボリビアでは180万人が極度の貧困状態にあり,一日当たり400ドル又はそれ以下で生活していること,総人口に占める中間層の割合は,1999年から2013年の期間に28%から47.9%に増加し,2017年には48.5%に達した旨報じた。


(3)

 5日,ウリオナ選挙裁判所長官は,モラレス大統領が2019年の大統領選挙の候補者として認められるか否かについては,選挙が告示された後に判断されることになると述べた。


(4)

 6日,コチャバンバで開催された第11回チモレ地域異文化共同体連合会議において,モラレス大統領及びガルシア・リネラ副大統領を2019年の総選挙の候補者とすること及び2017年11月の憲法裁判所判決に対する支持が表明された。


(5)

 7日,サンタクルスで開催された第2回MAS党全国会合において,モラレス大統領を2019年の大統領選挙の候補者として承認することが決定された。同会合には,全国の30の社会団体から500人の代表が参加した。


(6)

 23日,モラレス大統領,ガルシア・リネラ副大統領,ワナクニ外相及びラダ大統領府大臣は,ティコナ枢機卿及びボリビアカトリック教会幹部と会合した。モラレス大統領は,保健,教育,社会事業においてカトリック教会と協力するため,代表者を任命する意向を示した。
 

(7)

 31日,司法に関する国会合同委員会において,検察庁長官の選定及び任命に関する規則が採択された。


(8)キボラックス社問題

 4日,キボラックス社問題に関するアルセ法相及びナバロ鉱業冶金相に対する国会諮問において,政府及び与党は,モラレス政権の対応に問題は無かったとする両大臣の説明を支持することを表明した。

 9日,ゲレロ検察庁長官は,メサ元大統領に対する責任追及裁判の開始要求を最高裁刑事法廷に提出した。

 25日,最高裁判所は,メサ元大統領に対する責任追及裁判の開始を許可するよう議会に求める決定を下した。

  26日,ガルシア・リネラ副大統領は,メサ元大統領に対する責任追及裁判開始に係る国会での審議を今会期中(2019年1月まで)に行うことはできないと発表した。その理由として,本件の前に13件の責任追及裁判開始に関する審議を行う必要があることを挙げた。


(9)世論調査

 パヒナ・シエテ紙は,7月14~18日にMercados y Muestras社が9の県庁所在地及びエルアルト市で実施した世論調査の結果を以下のとおり報じた。
 大統領選挙で誰に投票するか尋ねたところ,27%がモラレス大統領,25%がメサ元大統領,16%が誰にも投票しない,8%がコスタス・サンタクルス県知事,7%がメディーナUN党党首,6%が分からない又は無回答,4%がレビージャ・ラパス市長,3%がキロガ元大統領,2%がパッツィ・ラパス県知事,2%がアルバラシンUMSA学長と回答した。

 モラレス大統領とメサ元大統領で決戦投票が行われる場合,どちらに投票するか尋ねたところ,48%がメサ元大統領,32%がモラレス大統領に投票する,17%がどちらでもない,3%が分からない又は無回答であった。

 メサ元大統領が大統領選挙に出馬しない場合,誰に投票するか尋ねたところ,27%がモラレス大統領,22%が誰にも投票しない,14%がメディーナ党首,9%がコスタス県知事,7%が分からない又は無回答,6%がレビージャ市長,6%がキロガ元大統領,5%がアルバラシンUMSA学長,4%がパッツィ県知事に投票すると回答した。

 モラレス大統領が出馬しない場合,誰に投票するか尋ねたところ,25%がメサ元大統領,20%が誰にも投票しない,15%がガルシア・リネラ副大統領,9%がコスタス県知事,8%が分からない又は無回答,8%がメディーナ党首,5%がレビージャ市長,4%がパッツィ県知事、3%がキロガ元大統領,3%がアルバラシンUMSA学長に投票すると回答した。

 モラレス大統領の再立候補を認めた憲法裁判所判決について,70%が違法,22%が違法でないと回答し,8%が分からない又は無回答であった。

 次回の選挙で投票しない候補として,40%がモラレス大統領,13%がメディーナ党首,12%がキロガ元大統領,7%がコスタス県知事,5%がメサ元大統領と回答した。

 モラレス大統領の職務遂行状況の評価として,40%が良くも悪くもない,28%が良い,20%が悪い,7%がとても悪い,5%がとても良いと回答した。

 モラレス大統領に対する信頼度として,25%が少し信頼,23%がかなり信頼できない,22%が少し信頼できない,21%がどちらでもない,9%がとても信頼していると回答し,1%が分からない又は無回答であった。

 現在の経済状況として,62%がゆるやかな経済危機である,17%がとても強い経済危機である,13%が経済危機ではない,5%がゆるやかな好景気である,2%が分からない又は無回答,1%がとても景気が良いと回答した。

 モラレス大統領について,54%が2016年2月21日に実施した国民投票の結果を尊重しない独裁者である,38%がそうは思わないと回答し,8%が分からない又は無回答であった。

 2016年の国民投票の結果を尊重するよう求める21F運動について,31%が独立した市民運動である,31%が野党の資金援助を受けている運動である,13%が両方であると回答し,9%が分からない又は無回答であった。

 モラレス大統領がティコナ枢機卿の任命式に出席するためバチカンを訪問したことについて,31%が同行事を政治利用している,14%がそうした批判には当たらないと回答し,14%が分からない又は無回答であった。
 

3 外交

(1)多国間関係

 14日,ラパスで第2回古代文明フォーラムが開催された。

 17日,モラレス大統領はキューバ・ハバナで開催された第14回サンパウロフォーラムに出席した。

 16日及び17日,ベルギー・ブリュッセルでCELAC・EU外相会合が開催され,2019年にボリビアがCELAC議長国に就任することが承認された。
 

(2)二国間関係

 モラレス大統領及びマドゥーロ・ベネズエラ大統領が,エクアドル政府から逮捕命令が下されたコレア元エクアドル大統領を支持する旨表明したことに対し,4日,モレノ・エクアドル大統領は自身のツイッターで,エクアドルの内政を尊重するよう求めた。また,エクアドル政府は,ボリビア及びベネズエラ政府に対し抗議文を送付した。

 9日,ボリビアとチリは,チリ・サンティアゴで両国国境での警察,税関,災害対策,衛生及び観光分野等における協力について協議した。

 11日,外務省は,西日本の豪雨被害に対し見舞いのプレスリリースを発出した。

 12日,ベニテス・パラグアイ次期大統領,ベラスケス次期副大統領及びカスティグリオーニ次期外相がボリビアを訪問し,モラレス大統領と会談した。

 13日,セイード・モハンマド・カゼム・イラン教育・科学研究担当外務次官がボリビアを訪問し,ワナクニ外相と会談した。同次官は,両国が締結した協力協定の内容を進展させるため,二国間委員会を設置する方針を発表した。

 23日,ブリスエラ駐ボリビア・エルサルバドル大使が死去し,24日,ボリビア政府からシモン・ボリバル勲章が授与された。

 25日,外務省はギリシャで発生した山火事被害に対し見舞いのプレスリリースを発出した。

 30日,梁宇駐ボリビア中国大使は,モラレス大統領出席の下,ボリビア国軍に対する1000万米ドルの機材供与式を実施した。防弾車10台,浄水車4台,タンク車10台,暗視スコープ536個が国軍に供与された。