ボリビア内政・外交(2017年10月)

平成29年10月31日

1 概況

(1)内政

 4日,アルセ法務大臣及びモンターニョ下院議長が米州機構(OAS)常設理事会特別セッションで,憲法裁判所に対する大統領他の三選禁止に係る憲法及び選挙法の違憲申立ての正当性を説明し,アルマグロOAS事務局長の発言を内政干渉と非難した。また,5日,2名の民主統一党議員が,大統領三選を認めることは米州人権規約32条違反であると米州人権裁判所に申立てを行った。


 5日から9日まで,チェ・ゲバラ没後50周年記念行事がサンタクルス県バジェグランデで開催された。


(2)外交

 10日,東京で,モンターニョ・スポーツ大臣が新妻文部科学大臣政務官とスポーツ分野における協力に関する覚書に署名した。


2 内政

(1)

 4日,アルセ法務大臣及びモンターニョ下院議長は米州機構(OAS)常設理事会特別セッションに参加し,憲法裁判所に対する大統領他の三選禁止に係る憲法及び選挙法の違憲申立ての正当性を説明し,2016年2月の国民投票の結果を尊重すべきという,アルマグロOAS事務局長の発言を内政干渉と非難した。


(2)

 5日,民主統一(UD)党のオルティス上院議員とムリージョ上院議員は,大統領三選を認めることは米州人権条約32条違反であると米州人権裁判所に申立てを行った。


(3)

 5日から9日まで,チェ・ゲバラ没後50周年記念行事がサンタクルス県バジェグランデで開催され,9日の記念式典でモラレス大統領が演説を行った。


(4)

 6日,ロメロ内務大臣,アルセ司法大臣及びラモス外務次官が,ブレナン駐ボリビア米国臨時代理大使を外務省に呼び,サリバン米州機構大使がワシントンでUD党のオルティス議員及びムリージョ議員と会談し,記者会見を開いたことは内政干渉であると抗議した。


(5)

 10日,9つの県庁所在市で,モラレス大統領の三選拒否と2016年2月21日に実施した国民投票の結果を尊重するよう求めるデモが行われた。


(6)

 12日,サンタクルスで,モラレス大統領とリネラ副大統領の出席の下,「ボリビア,南米の中心(Bolivia, Corazon del Sur)」という,文化,経済及び地理的多様性を国際的に広報するための新たな国家スローガンを発表した。


(7)

 13日,ゴンザレス上院議長は,リネラ副大統領が9日,三選禁止は憲法違反であるという申立ての正当性を説明する書簡を憲法裁判所に提出したと発表した。


(8)

 13日,コルテス憲法裁判所長官が,MAS党が提出した大統領等の三選禁止に対する違憲申立ての判決の起案を担当する裁判官に選出された。


(9)

 16日,地域開発国家基金の元理事長が,国営企業民営化・資本化調査委員会に対し,メディーナ元開発企画大臣及びレボジョ元資本化大臣が,国営企業の売却を承認したと証言した。サバレタ同調査委員会委員長は,両大臣に責任があると発言した。


(10)

 19日,ウリオナ選挙裁判所所長が,米州機構,南米諸国連合,メルコスール,アンデス議会及びラテンアメリカ選挙機関連合に対し,12月3日に実施予定の司法官選挙のオブザーバーを招待したと発表した。


(11)

 24日,武装グループ等の団体に参加した者に懲役2年から4年の刑を課すという,刑法294条が下院にて可決された。野党は,反政府デモや,MAS党と異なる意見を表明した市民も処罰されうると反発


(12)

 28日,モラレス大統領が大臣,副大臣,国営企業幹部等を招集し,拡大閣僚会合を実施した。同会合でモラレス大統領は,公共投資事業実施の遅れに関して各担当大臣に苦言を呈した。


(13)世論調査

 1日から10日の期間,民間企業IPSOSはRTPテレビの依頼に基づき,10の大都市,6の中規模都市及び14の地方都市で世論調査を実施した。その結果,モラレス大統領支持が57%,不支持が39%,リネラ副大統領支持が50%,不支持が46%であった。また,県庁所在地及びエルアルト市では,68%がモラレス大統領の三選に反対,31%が賛成と回答した。都市別の三選反対と回答した者の割合は,ラパス市67%,エルアルト市46%,コチャバンバ市71%,サンタクルス市75%,スクレ市73%,オルロ市67%,タリハ市80%,ポトシ市84%,トリンダッド市66%,コビハ市53%であった。

3 外交

(1)多国間関係

 24日,外務省において,モラレス大統領出席の下,ラミレス国連ボリビア事務所調整官,プラド開発企画大臣及びワナクニ外相が「良く生きるための国連補完枠組み:2018~2022年(Marco de Complementariedad de Naciones Unidas para Vivir Bien 2018-2022)」に署名した。


(2)二国間関係

 10日,東京でモンターニョ・スポーツ大臣が新妻文部科学大臣政務官と「日本国文部科学省とボリビア多民族国家スポーツ省との間のスポーツ分野における協力に関する覚書」に署名した。


 10日,リネラ副大統領とビスカラ・ペルー副大統領がリマで会談を行い,南米大陸横断鉄道計画の現状を分析し,11月11日及び12日に技術作業部会の会合を行うと発表した。


 12日及び13日,チリで第4回ボリビア・チリ国境委員会が開催された。


 16日,外務省は15日に実施されたベネズエラ地方選挙の結果を支持する旨のプレスリリースを発出


 24日,ワナクニ外相がメディアに対し,12月15日にモラレス大統領がフランシスコ・ローマ教皇とバチカンで会談予定と発表した。


 26日,モラレス大統領とワナクニ外相は,ボリビア訪問中のシピラ・フィンランド首相と会談を行い,鉱業,考古学,代替エネルギー分野の協力等について協議した。


 28日,ワナクニ外相は,30日に予定されていたボリビア・ブラジル首脳会談は,テメル伯大統領の健康問題により延期になったと発表した。


 30日,マルティネス大統領府大臣は,米国政府が公開した文書の中に,1975年にチリがボリビアに対し,ボリビア領土と淡水と引き替えに海へのアクセスを認める申し出を秘密裏に行っていたことを示す文書があったと発表した。


(了)