ボリビア内政・外交(2016年10月)
1 概況
(1)内政
13日,検察はサムエル・ドリア・メディーナUN党首,元政府高官等計10名を,生産のための基金(Funda-Pro)という民間組織に対して国家資源を譲渡したことに関し,義務の不履行,国家に害を与える契約及び反経済的行為の罪で起訴した。また,国営鉄道企業(ENFE)の資本化に関し,元資本化担当大臣等15名を国家に害を与える契約の罪等で起訴することを決定した。
(2)外交
ア 13~14日,当国サンタクルス市において「内陸国の発展における持続可能な輸送」に関するハイレベル会合が開催,内陸国の19か国が出席した。
イ 6日,中国の王毅外交部長がボリビアを訪問し,モラレス大統領及びチョケワンカ外務大臣との会合等を行った。
2 内政
(1)
8日,「コカ一般法」が公布され,コカ葉の合法栽培面積は83.3%増加し,1.2万ヘクタールから2.2万ヘクタールとなった。
(2)
11日,2008年9月にパンド県で発生し13名の死者を出した「ポルベニールの虐殺」事件に関し,ラパス県裁判所は当時のフェルナンデス県知事に15年の禁固刑を言い渡した。
(3)
24日,バレンシア憲法裁判所判事は,企業が従業員に解雇の90日前に通知する義務を取り消した労働法第12条及び最高政令第6813号を違憲とした。
(4)世論調査
ア 20日,「パヒナ・シエテ」紙はMercados y Muestras社が11~15日,都市部及び農村部で行った世論調査の結果を公表。右によると,「コカ一般法」の公布により,69%がコカインの生産及び密輸が増加すると考える,56%が犯罪及び暴力が増加すると考えると回答
イ 26日「パヒナ・シエテ」紙はMercados y Muestras社が11~15日,都市部及び農村部で行った世論調査の結果を公表。右によると,モラレス大統領の取り組みにつき,5%が非常に良い,27%が良い,44%が普通,19%が悪い,4%が非常に悪いと回答。2019年大統領選挙で支持する候補者につき,26%がモラレス大統領,20%がメサ元大統領,12%がドリア・メディーナUD党党首,8%がコスタス・サンタクルス県知事,4%がキロガ元大統領,3%がパチ・ラパス県知事,2%がレビージャ・ラパス市長,12%がわからないと回答
3 外交
(1)多国間関係
ア 13~14日,当国サンタクルス市において「内陸国の発展における持続可能な輸送」に関するハイレベル会合が開催,内陸国の19か国が出席した。
イ 17~21日,国際麻薬統制委員会のミッションが来訪,当国の麻薬根絶対策を賞賛しつつも,コカ葉が不法に使用されないよう対策すべきと述べた。
ウ 27日,サンペール南米諸国連合(UNASUR)事務局長が来訪し,モラレス大統領と会合,南米大陸横断鉄道等につき協議後,UNASURを通じて中国政府の融資を使用する手続きを行う旨発表した。
(2)対ペルー関係
ア 13日,内陸国の発展における持続可能な運送に関するハイレベル会合の枠組みでモラレス大統領,ビサカラ・ペルー副大統領兼運輸大臣が会合し,両国は南米大陸横断鉄道の建設の可能性を検討するための技術的会合を開催することで合意した。
イ 20日,オレジャーナ開発企画大臣,アルセ経済・財政大臣,クラロス公共事業大臣がペルーを訪問,ビスカラ副大統領兼運輸大臣と会合し,南米大陸横断鉄道についての協議を行った。
(3)対チリ関係
ア 27日,ボリビア外務省は,26日からチリの公務員がストライキをしているため,アリカ港でのボリビア貨物の取扱に支障を来しているとして,チリ政府を強く非難するプレスリリースを発出した。
イ 31日,ボリビア外務省は,チリ政府がボリビアに対する自由通行を保障するために必要な手続きを取っていないとして改めて同政府を非難するプレスリリースを発出した。
(4)その他の二国間関係
ア 6日,中国の王毅外交部長がボリビアを訪問し,モラレス大統領及びチョケワンカ外務大臣との会合等を行った。中国は,道路建設事業等の実施を可能とするため,約48億5800万ドルの融資及び約80万ドルの債務免除を決定した。また,モラレス大統領は外務省において,王毅外交部長に対し,コンドル・デ・ロス・アンデス大十字位勲章を授与した。
イ 11日,アルラルデ外務次官とシエラ・キューバ外務次官は二国間関係及び世界・地域の政治経済情勢について協議し,第7回政策協議議事録に署名。
ウ 11日,ユーリ・センチュリン露エネルギー次官が来訪し,サンチェス炭化水素・エネルギー大臣と会合。センチュリン次官は,エネルギー分野でロシアはボリビアと協力関係深化を望んでいることを表明し,リチウム開発にも関心を示した。また,来年プーチン大統領が第4回ガス輸出国会議フォーラムに参加するために来訪する予定である旨述べた。
エ 19日,エルアルト市で,ボリビア炭化水素産業化会社(EBIH)は韓国企業のWonil Engcosmo I&D社と天然ガスの配管設置等のために948万米ドルの融資を得る契約書に署名。同プロジェクトは14か月で完了する予定。
オ 24~28日,ボリビアとアルゼンチンの空軍は共同で麻薬密売対策として国境地帯の巡視を行った。
カ 28日,モラレス大統領はコチャバンバでロドリゲス・ベネズエラ外務大臣と会合。会合後の記者会見で,モラレス大統領はベネズエラ政府に対する支持を表明した。
4 経済
17日,国家統計局(INE)は2005~15年,ボリビアの貧困率は59.6%から38。6%に減少,うち極貧率は36.7%から16.8%に減少したと発表した。都市部では貧困率が48.2%から31%に,農村部では80%から55%に減少した。
(了)