ボリビア内政・外交(2016年9月)
1 概況
(1)内政
ア 1日,鉱業分野等に関する複数の最高政令が承認された。
イ 国際識字デーの8日,アギラル教育大臣はボリビアの非識字率が2.8%に改善したと述べた。
(2)外交
ア 21日,モラレス大統領は国連総会で一般討論演説を行った。
イ 23日,モラレス大統領はジュネーブで第33回人権理事会会合に出席し,チリがボリビアの自由通行を保障しておらず,ボリビアの運送業者の人権を侵害していると非難した。
2 内政
(1)政府の動き
1日,ナバロ鉱業・冶金大臣,ロメロ内務大臣,トゥリゴソ労働・雇用・社会保障大臣は複数の最高政令の承認を発表した。最高政令第2888号は,デモでの爆発物の利用を禁止する。同第2889号は全ての鉱山協同組合の管理及び査察を行う政府機関の設置を定める。同第2891号は鉱山協同組合と民間企業の合弁企業設立に関する権限を中央政府に与えることを定める。同第2892号は,協同組合において賃金労働者が労働組合を結成する権利を認める。
(2)
国際識字デーの8日,アギラル教育大臣はボリビアの非識字率が2.8%に改善したと述べた。2006年には13.3%であったが,キューバ及びベネズエラの協力で年々改善している。
(3)
9日付け報道によると,ロセンド・アルピリ元駐パラグアイ大使がチリに亡命した。同元大使は先住民基金汚職問題に関与した疑いがある。
(4)
21日,LGBT団体が,テサーノス人権擁護官に同性カップルの婚姻を合法化する法律の基本構想を提出。同基本構想には,養子縁組は含まれていない。本基本構想は昨年も議会に提出されたが,審議は無期限に延期されていた。
(5)世論調査
3~7日,MERCADOS Y MUESTRAS社が41の県庁所在地及び中都市で行った世論調査によると,59%が,モラレス大統領はMAS党党首を続けるべきだが,閣僚交代を行うべきと回答。39%がキンタナ大統領府大臣が辞任するべき,25%がロメロ内務大臣が辞任するべき,20%がガルシア・リネラ副大統領が辞任するべきと回答。 現在の経済情勢に関し,67%が経済危機にあると考え,28%がそうは思わないと回答。自身の家庭の経済状況に関し,53%が良いとも悪いとも思わない,29%が良い,15%が悪い,1%が非常に良い,1%が非常に悪いと回答。 モラレス大統領に関し,32%がある程度信用している,54%があまり信用していない,18%が全く信用していないと回答。同大統領の取組に関し,5%が非常に良い,33%が良い,40%が普通,16%が悪い,5%が非常に悪い,2%が未回答。
3 外交
(1)多国間関係
ア 15~16日,モラレス大統領はチョケワンカ外務大臣と共にベネズエラで開催された第17回非同盟諸国(NAM)サミットに出席。
イ 21日,モラレス大統領はニューヨークで行われた国連総会で一般討論演説を行った。21日,モラレス大統領はガルシア・アンデス開発公社(CAF)総裁と会合し,農業分野に7千万ドルの融資が行われることが決定された。22日,モラレス大統領はモレーノ米州開発銀行(IDB)総裁と会合し,同総裁は気候変動により悪影響を受けている農業分野への融資を検討することを約束した。同日,モラレス大統領はパリ協定を批准した。その他,モラレス大統領はニューヨーク滞在中,潘基文国連事務総長と会合した。
ウ 23日,モラレス大統領はジュネーブで第33回人権理事会会合に出席し,チリがボリビアの自由通行を保障しておらず,ボリビアの運送業者の人権を侵害していると非難する旨の演説を行った。
(2)二国間関係
ア 7日,エルサルバドルの大使館が開設され,観光客の査証免除が合意された他,政治,経済,社会分野の協力に関するロードマップが検討された。
イ 13日,「海への出口」問題に関し,国際司法裁判所(ICJ)でボリビアとチリの代理人が会合。22日, ICJはボリビアの抗弁書の提出期限を2017年3月21日,チリの再抗弁書の提出期限を2017年9月21日と決定した。
ウ 14日,ボリビア外務省は9日に行われた北朝鮮による核実験を強く非難する旨のプレスリリースを発出した。
エ 15日,モラレス大統領及びコスタス・サンタクルス県知事出席の下,電力公社(ENDE)と中国のロシータス臨時企業はロシータス水力発電所建設(発電量500-600MW,金額10億米ドル)の契約を締結した。
オ 20日,フランスから友好議員連盟会長を筆頭とする議員団が来訪し,ガルシア・リネラ副大統領と会談した。
カ 23日,モラレス大統領はジュネーブでボンバ独運輸副大臣と会合し,独の南米大陸横断鉄道建設に関する関心が示された。
キ 26日,ボリビア外務省はコロンビア政府とFARCの和平合意署名に祝意を表しつつも,右式典にモラレス大統領が招待されなかった旨のプレスリリースを発出した。
ク 27日,チョケワンカ外務大臣と古賀大使は円借款「ラグナ・コロラダ地熱発電所建設計画(第二段階)」に係るE/Nに署名し,ENDEは同プロジェクトを実施するために6億1,300万ドルの融資を獲得した。
ケ 27~28日,第3回ボリビア・アルゼンチン技術協力合同会議がラパスで開催され,アルラルデ外務次官等が出席。2014~2016年の第2回協力プログラムの評価と2016~2018年の第3回協力プログラムに含まれる新たな15プロジェクトの確認が行われた。
(了)