ボリビア内政・外交(2016年8月)

平成28年8月31日

1 概況

(1) 内政

 5日,先住民基金汚職問題につき,裁判所はアチャコジョ前農村開発・土地大臣の予防拘禁を命じた。


 25日,ロドルフォ・イリャネス内務・警察次官が道路封鎖を行っていた鉱山労働者に拉致され,殺害された。


(2)外交

 25~26日,ザリーフ・イラン外務大臣が120名の企業関係者と共にサンタクルスを訪問し,モラレス大統領及びチョケワンカ外務大臣と会合。また「第1回ボリビア・イラン貿易・投資会合」が開催され,ボリビアの企業関係者約100名が参加した。


 31日,ボリビア外務省は,ルセーフ伯大統領が上院弾劾裁判で有罪となり失職した件につき,民主主義プロセスに対する攻撃であるとし強い非難の意を示すプレスリリースを発出した。また,駐伯大使を召還した。


2 内政

(1)政府の動き

 独立記念日の6日,タリハ市で記念式典が行われた。モラレス大統領は演説で,GDP成長率の減少及び失業率の悪化を認めつつも,同政権発足以降多数の大型プロジェクトが実施されたことを強調し,各県で実施済,実施中,又は資金確保されているプロジェクトを列挙した。

 

 19日,モラレス大統領は第2回コーヒー品評会「プレジデンシャル・コーヒー2016」の開催を発表。最終審査は10月18~21日にラパス県カラナビ市で行われる。

 

(2)政府と鉱山協同組合連合(FENCOMIN)の対立

 10~12日FENCOMINは,鉱山労働組合の創設に向けて政府が法改正を進めていること等に反発し,国内の主要な道路で道路封鎖を行った。

 

 13日,道路封鎖において違法行為に至った10人の鉱山労働者が逮捕された。14日,FENCOMINは117までに逮捕された鉱山労働者を解放しなければ,道路封鎖を再開する旨述べた。

 

 24日,道路封鎖においてFENCOMINと警察が衝突し,2名の鉱山労働者が死亡した。

 

 25日,ラパス県パンドゥロ地区(ラパス市からオルロ市に向かう南東約150kmの地点,国道4号線沿い)で,ロドルフォ・イリャネス内務・警察次官(以下「イ」次官)が道路封鎖を行っていた鉱山労働者に拉致され,殺害された。同日,更に1名の鉱山労働者が警察との衝突により死亡した。

 

 28日,内務次官殺害に関与した疑いで9名が収監された。

 

(3)

 5日,先住民基金汚職問題に関し,裁判所はアチャコジョ前農村開発・土地大臣の予防拘禁を命じ,10日,同元大臣はラパス市の拘置所に収容された。

 

 

(4)

 12日,最高選挙裁判所は,11月20日に6県の15都市及び先住民自治区等で地方自治に関する住民投票が実施される旨発表した。

 

(5)

 17日,サンタクルス県ワルネス市で反帝国主義軍士官学校の第一期が開講。モラレス大統領,ベネズエラ,ニカラグアの国防大臣及びエクアドル国防次官が出席した。

 

(6)

 20日,コチャバンバ県でチャパレ地方のコカ葉生産者6連合が参加して,第24回農民特別連合常設議会が開催され,モラレス大統領が代表に再選出された。

 

(7)世論調査

 7月29日~8月4日,Equipos Mori社がパンド県を除く全ての県で行った世論調査によると,モラレス大統領の取組について62%(都市部:57%,農村部:72%)が評価すると回答。回答者の77%が,経済政策に関しては経済的安定が最重要であると回答。82%が「海への出口」問題に関する提訴を評価すると回答。

 

 2~18日,IPSOS社がラパス市,エルアルト市,コチャバンバ市,サンタクルス市で行った世論調査によると,モラレス大統領の取組について52%が評価する,38%が評価しないと回答。ガルシア・リネラ副大統領の取組については,44%が評価する,45%が評価しないと回答。また,野党の取組については22%が評価する,59%が評価しないと回答。政権の経済政策については,36%が評価する,46%が評価しないと回答。主要な県知事及び市長に対する評価は以下のとおり。
 

  評価する 評価しない
フェリックス・パチ・ラパス県知事 37% 52%
ルイス・レビージャ・ラパス市長 59% 36%
ソレダ・チャペトン・エルアルト市長 26% 65%
ルベン・コスタス・サンタクルス県知事 68% 24%

3 外交

(1)多国間関係

 5日,チョケワンカ外務大臣は,ラテンアメリカ統合連合(ALADI)がボリビア及びチリに対し,1904年条約の定めるとおりボリビアの自由通行が保障されるよう対話を再開することを勧告したと述べた。


 24日,モラレス大統領は,22日にアルマグロ米州機構(OAS)事務総長がベネズエラの野党政治家レオポルド・ロペス氏に宛てた公開書簡を発出したことに反発し,OAS常設理事会議長に対し,アルマグロ事務総長に対する措置を取るように要請する書簡を送付した。


 24日,米州人権委員会の表現の自由に関する特別報告者エディソン・ランサ氏が来訪し,パコ通信大臣と会合。また「パヒナ・シエテ」紙のインタビューで,国民に関心のある事実を伝えることで記者は攻撃されるべきではないと述べた。


(2)二国間関係

 9日,ガルシア・リネラ副大統領は加を訪問し,世界社会フォーラムの一環として,ケベック大学で「社会的不平等の終了」と題する講演を行った。


 9日,当地中国大使館は19名のボリビア人に中国の大学への留学のための奨学金を供与した。


 15日,モラレス大統領はチョケワンカ外務大臣と共にドミニカ共和国に向かう途次キューバに立ち寄り,フィデル・カストロ前国家評議会議長と会談し,社会,環境問題等について意見交換した。


 16日,モラレス大統領はチョケワンカ外務大臣と共に,メディーナ・ドミニカ共和国大統領就任式に出席した。


 18~19日,アルラルデ政務担当外務次官はスクレ市でカベージョ・パラグアイ外務大臣と会合し,第7回政務・協力・統合に関する二国間委員会を開催。経済,社会,エネルギー,技術,インフラ分野等に関し協議した。


 22日,エンダラ貿易・統合担当外務次官はグアテマラシティでエンリケ・ラクス・パロモ外務次官と,部分的到達協定の交渉開始のために会合した。


 23日,モラレス大統領及びガルシア・リネラ副大統領出席の下,フェレイラ国防大臣と仏企業のルベン・ラソ・タレス・エア・システムズ副社長は航空防衛・管制統合システムプロジェクト実施のための契約書に署名。費用は1億9千万ユーロで,主に麻薬密輸撲滅のために使用される予定。


 25~26日,ザリーフ・イラン外務大臣が120名の企業関係者と共に南米歴訪の一環としてサンタクルスを訪問し,モラレス大統領及びチョケワンカ外務大臣と会合した。また,当国外務省,在ボリビア・イラン大使館及びイラン商業会議所の共催により「第1回ボリビア・イラン貿易・投資会合」が開催され,ボリビアの企業関係者約100名が参加した。ボリビア宇宙機構(ABE)とイラン宇宙機構は,平和的利用を目的とする宇宙に関する科学技術開発のための覚書を締結。チョケワンカ外務大臣は,ザリーフ外務大臣にコンドル・デ・ロス・アンデス勲章(大十字位)を授与した。


 31日,ボリビア外務省は,ルセーフ伯大統領が上院弾劾裁判で有罪となり失職した件につき,民主主義プロセスに対する攻撃であるとし強い非難の意を示すプレスリリースを発出した。また,駐伯大使を召還した。


(了)