ボリビア内政・外交(2016年4月)

平成28年4月30日

1 概況

(1) 内政

 5日,叙勲式の際にイエスズ会ハビエル・アルボ神父がモラレス大統領に対し2月の国民投票の結果を尊重するよう述べる等政府批判を行った。


 23日,14名のUD党及びPCD党の野党議員は憲法裁判所に対し,原子力研究開発センターの設計,建設及び操業に関する当国とロシアの二国間協定が違憲であるとして無効を求めて提訴した。


(2)外交

 14~15日,モラレス大統領はバチカンを訪問し,フランシスコ法王との間でボリビア政府とカトリック教会の関係等につき会談した。また,コレア・エクアドル大統領と共に社会主義運動世界会合に出席。


 21~22日,モラレス大統領はニューヨークを訪問し,国連麻薬特別総会(UNGASS)に出席,また,国連本部にて,気候変動に関するCOP21の合意文書に署名した。


2 内政

(1)政府の動き

 5日, モラレス大統領は大統領府にてイエスズ会ハビエル・アルボ神父及びマウリシオ・バカルディット神父に対しコンドル・デ・ロス・アンデス勲章(大十字位)を授与した。その際,アルボ神父はモラレス大統領に対し,2019年の大統領選挙には出馬せず,2月の国民投票を尊重するよう述べた。


 14日,ボルダ副下院議長(MAS党)は,モラレス大統領が2019年に再選されるための合法的な方法は幾通りもあると述べた。


 16日,モラレス大統領は,ボリビア・カトリック司教会議(CEB:Consejo Episcopal Boliviano)による政府の麻薬密輸対策に疑問を呈する書簡に関して,「ボリビアのカトリック教会の一部の幹部で,帝国主義及び資本主義支持の政党を作ればよい」と述べた。


(2)原子力研究開発センター

 18日,アラルコン元法務大臣は,原子力研究開発センターの設計,建設及び操業に関する当国とロシアの二国間協定(3月に国会で承認され,施行済み)は合憲性の検討がなされておらず,違憲であり無効であると述べた。


 23日,14名のUD及びPCD野党議員は憲法裁判所に,国会は一部の手続きを行っていないとして同合意の無効を求めて提訴した。同協定は核廃棄物の保管を禁止する憲法第344条に違反するとの主張。


(3)シララ水源問題

 7日,チョケワンカ外務大臣は,シララ水源に関する国際司法裁判所(ICJ)への提訴の準備に約2年かかる見込みと述べた。


 19日,本件を担当するアルセ国家利益擁護官は,フランス・スビエタ氏を顧問・研究・制度制定担当副国家利益擁護官に,エリカ・チャベス氏を監督・監査担当副国家利益擁護官に任命した。これにより,「海への出口」問題及びシララ水源問題の担当組織を創設する意向。


(4)

 21日,ロサ・チャパレ・コカ生産者6連合副会長が,下院における会合にて,同セクターはコカ葉の商品化に関し政府に税金を払うことに同意した旨述べた。


(5)

 27日,バルベリー・サンタクルス県経団連(FEPSC)会頭は政府に対し,EUとの通商協定を締結するよう要請した。

(6)世論調査

 21日付け「カンビオ」紙によると,CAPTURA CONSULTING社が2~4日に行った世論調査によると,モラレス大統領の仕事振りについて,51.7%が評価する,40.9%が評価しない,7.4%が分からない・未回答であった。また,野党の仕事振りについて,55.5%が評価しない,30.6%が評価する,13.9%が分からない・未回答であった。


 25日,ATBの報道によると,「Tal Cual Comunicación」社が10都市で行った世論調査によると,モラレス大統領の仕事振りについて,61%が評価する,37%が評価しない,2%が未回答。また,ガルシア・リネラ副大統領の仕事振りについて,53%が評価する,44%が評価しない,3%が未回答であった。


 26日,RTPの報道によると,IPSOS社が1~5日に10の県庁所在地,17の都市及び29か所の農村部で行った調査によると,モラレス大統領の仕事振りについて,57%が評価する,33%が評価しない,9%が分からない,1%が未回答であった。


3 外交

(1)多国間関係

 8日,パラグアイ上院はボリビアのメルコスール加盟を承認した。今後下院で審議されることとなる。


 21日,モラレス大統領はチョケワンカ外務大臣及びオレジャーナ開発企画大臣とともにニューヨークを訪問し,国連麻薬特別総会(UNGASS)に出席し,当国の麻薬対策について述べ,米国の推進する同対策の失敗を非難した。また,コカの消費を擁護し,同製品は麻薬密輸の犠牲となっている旨述べるとともに,コカの効用について述べ,米国麻薬取締局(DEA)の解体を示唆した。


 22日,国連本部にて,モラレス大統領は気候変動に関するパリ協定に署名した。


(2)対日関係

 18日,ボリビア外務省は熊本地震に関し日本に対する連帯を表明するプレスリリースを発出した。


(3)対インド関係

 7日,ベラスケス・インド名誉総領事は,当国にボリビア・インド商工会議所を開設するところ,26日にラパスで,27日にサンタクルスで式典を行うと述べた。


 11日,オレジャーナ開発企画大臣は,インドは経済開発援助プログラムにおいて一律1.75%の金利,返済期間20年,猶予期間5年間の条件で借款を行うと述べた。また,インドとは大豆油及びひまわり油の輸出の機会が開かれたと述べ,同国の技術協力により当国に中小企業を設置するためのテクノパーク(先端技術集積地域)を設置すると述べた。


(4)その他二国間関係

 4日,モラレス大統領は当国外交団に対し,チリによるシララ水源の不当な利用につき説明を行った。


 8日,ソコロ・フロレス・リエラ・メキシコ中南米担当副外務大臣が当地来訪し,第5回二国間常設委員会会合に出席し,二国間の関心事項につき協議した。


 12日,チョケワンカ外務大臣はロシアを訪問し,ラブロフ・ロシア外務大臣と会合,50の基本方針からなる2か国間協力の発展のためのアクションプラン及び査証免除協定に署名した。経済,貿易,農業協力及び投資強化及び災害に対応するための軍備強化の協力につき合意した。


 14~15日,モラレス大統領はバチカンを訪問し,フランシスコ法王との間でボリビア政府とカトリック教会の関係等につき会談した。また,コレア・エクアドル大統領と共に社会主義運動世界会合に出席。


 20日,モラレス大統領はニューヨークに行く途中でベネズエラのカラカスに立ち寄り,マドゥーロ大統領と会合し,二国間・多国間懸案事項について協議した。


 26日,ジャマイカ観光省はボリビアとの査証免除を発表した。


 27日,モラレス大統領は16日にエクアドルのマナビ県で起こった地震に対する人道援助のための飛行機でエクアドルを訪問し,マンタ市でコレア大統領と会合した。


 27日,クラロス公共事業・サービス・住宅大臣はビル・ビル空港(サンタクルス)の旅客・貨物センターの設計と建設につき中国企業Beijing Urbanと約3億ドルで契約を締結した。


 29日, ボリビア電力公社(ENDE)はブラジルのELECTROBRASと,マデラ川に二国間水力発電所を建設する可能性の検討を開始する協定に署名した。


(了)