ボリビア内政・外交(2015年12月)

平成27年12月31日

1 概況

(1) 内政

  • 先住民基金汚職問題に関し,元農村開発・土地大臣等計6名が逮捕された。
  •  MAS党は国民投票に向けて憲法改正賛成キャンペーンを精力的に実施した。

  • (2)外交

  •  10日,モラレス大統領はアルゼンチン大統領就任式に出席した。
  •  21日,モラレス大統領はパラグアイのアスンシオンにて第49回メルコスール首脳会合に出席した。

  • 2 内政

    (1)政府の動き

     13日,スクレにてMAS党党首としてモラレス大統領は国民投票にて国民が賛成票を投じるよう、憲法改正賛成キャンペーンを開始する旨宣言した。賛成票が60%を上回ることを目標としている。


     22日,MAS党は憲法改正賛成キャンペーンに集中するため,党内幹部を刷新する予定であった党集会の開催を見送った。


     23日,モラレス大統領はラジオ番組「コンパニェラ」にて,もし国民投票で憲法改正反対票が上回った場合には,MAS党の中には30歳以下の若い指導者が多くいるので,他の指導者が次期大統領選挙に立候補するだろうと述べた。


     30日,最高政令第2644号により2016年国家予算が承認された。


    (2)憲法改正に向けた動き

     1日,コスタス最高選挙裁判所(TSE)副長官は,11月12日から30日までに529,086人の新規選挙人登録及び登録変更を国内で受け付けたところ,内38%は新たに18歳となった者の登録,62%は住所変更による登録変更であったと発表した。


    (3)野党の動き

     8日,ドリア・メディナUN党首は,過去にベネズエラやアルゼンチンで起こったような選挙の敗北を避けるために明年2月の国民投票を延期すべきと述べた。


     14日,活動家,知識人等100名以上が集まり,憲法改正に反対するキャンペーンを開始した。


    (4)世論調査

     6日付「パヒナ・シエテ」紙によると,憲法改正についてMERCADOS Y MUESTRAS SRL社が11月27~12月1日に実施した世論調査によると,54%がモラレス大統領の再選を可能にするための憲法改正に反対,40%が賛成,6%がわからない・未回答であった。一方,53%がモラレス大統領の再々選に反対,45%が賛成と回答した。同紙が10月に実施した世論調査の結果と比較すると,憲法改正反対は8ポイント増加し,賛成は1ポイント減少した。また,同世論調査によると,現政権の取り組みについて、56%が評価する,30%が普通,14%が評価しないと答えた。最後に、最高選挙裁判所(TSE)について,11%が非常に信頼できる,55%があまり信頼できない,28%が全く信頼できない,6%がわからない・未回答であった。同日,ヤニケス下院議員(MAS党)及びカネラス・コチャバンバ県知事は同世論調査結果を拒否すると述べた。


     9日付「ラ・ラソン」紙によると,憲法改正についてCAPTURA CONSULTINGがサンタクルス市,ラパス市,エル・アルト市,コチャバンバ市において実施した世論調査によると,54%が憲法改正反対,40%が賛成と回答した。また,モラレス政権の取り組みについて59%が評価すると答えた。


     9日付「パヒナ・シエテ」紙によると,有力な野党候補についてMERCADOS Y MUESTRAS SRL社が12月上旬に実施した世論調査によると,コスタス・サンタクルス県知事が28%,ドリア・メディナUN党首が15%と答えた。また、約20%がモラレス大統領に対抗し得る候補はいないと答えた。


     23日,テレビ局ATBによると,モラレス政権の2015年の取り組みについてTAL CUAL社が10~14日に全国の大規模・中規模都市にて行った世論調査によると,30%が非常に評価する,35%がやや評価する,11%が評価しない,20%が全く評価しない,3%が分からない・未回答であった。


    (5)先住民基金汚職問題

     1日,エル・アルト汚職事件訴訟を担当しているピント判事は先住民基金(Fondioc)の汚職問題でラモス元農村開発・土地大臣の予防的拘留及びチョケ上院議員(MAS党)の自宅拘禁を命じた。


     2日,ピント判事は元チュキサカ県農民指導者で現在は反体制派のダミアン・コンドリ氏の予防拘禁を命じた。


     3日,メルバ・ウルタード・ボリビア東部先住民連合(CIDOB)会長がFondiocの架空のプロジェクトで資金を得ていたとしてサンタクルスにて逮捕・拘留され,ラパスに移監された。また,フェリパ・メリノ上院議員(MAS党)及びレミ・ベラ・ボリビア農民労働者組合連合(CSUTCB)会長も逮捕された。


     15日,フェリス・ベセラ・コリャスーユ先住民共同体評議会(CONAMAQ)指導者は,2011~2013年のFondiocに関する汚職を理由に拘留されているが,架空のプロジェクトに関し,アチャコジョ元農村開発・土地大臣はモラレス大臣の合意が得られたとして承認していたと述べた。


    (6)麻薬問題

     15日,コチャバンバ県チモレにて,モラレス大統領及びロメロ内務大臣出席の下,コカ葉伐採部隊(FTC)は2015年に計11,025haのコカ葉の超過栽培面積を伐採したと発表した。内訳は,コチャバンバ県チャパレで7,290ha,ラパス県ユンガスで2,990ha,ラパス県の北に位置するアポロで215ha。また,11,025haのうち,国立公園に2,725haがあった。内訳はカラスコ国立公園で830ha,アンボロ国立公園で511ha,イシボロ・セクレ国立公園で1,007ha,チョレ国立公園で14ha,マディディ国立公園で182ha。 


     15日,サンティアゴ・デルガディージョ・ボリビア国家警察対麻薬密輸取締対策部隊(FELCN)長は,本年103トンの麻薬を押収したと発表した。そのうち20トンがコカイン,83トンが大麻で,時価45百万米ドルという。


    3 外交

    (1)多国間関係

     3日,米州機構(OAS)は明年2月21日に実施される国民投票に監視団を送ると正式に発表した。


     14~18日,ボリビア外務省,国防省,内務省はパンド県のペルー及びブラジル国境において国境コントロールに関する統合的計画の第1段階として,国境のパトロールを実施し,違法な活動に従事していた10名(外国人含む)を逮捕した。


     15日,エンダラ外務省経済担当次官がケニアのナイロビで開催された第10回世界貿易機関(WTO)閣僚会合に出席した。


     21日,モラレス大統領は第49回メルコスール首脳会合に出席するためにパラグアイのアスンシオンをチョケワンカ外務大臣及びエンダラ外務省経済担当次官と共に訪問した。


    (2)二国間関係

     8日,サゾノフ駐当地露大使は,記者会見にて,ロシアのRosatom社がボリビアにラ米で最大規模となる原子力研究センターを建設すると述べた。


     15日付「ラ・ラソン」紙は,グスタボ・ロドリゲス駐ペルー・ボリビア大使が,ペルーのマリソル・エスピノサ副大統領を含む17人の議員によりボリビア議会に対し,両国が2010年に批准している国際労働機関の追加議定書について議論するように求める書簡が発出されたと述べたと報道した。右はボリビア側にとって港湾及び貿易に関する利益を拡大するもの。


    (3)

     20日,モラレス大統領は国際通貨基金(IMF)に対し,IMFは資本主義の元凶であり,ボリビアに干渉しないように要求した。IMFが報告書のなかで,燃料に対する補助金を縮小することを提案したことから,ボリビア及び世界に資本主義政策により被害を生じさせたとして非難した。


    (了)