ボリビア内政・外交(2015年8月)

平成27年8月31日

1 概況

(1) 内政

  • 6日,モラレス大統領は,独立記念日の特別議会において,最新の経済指標及び2020年までの政策目標を示し,国際資源価格の低下によって,炭化水素資源の輸出額は約25億米ドル,鉱物資源の輸出額は約8億米ドル低下することが予測されると述べる一方で,外的要因による経済状況の悪化に十分対処できる旨発言した。
  • 17日,当地国連薬物犯罪事務所(UNODC)は,2014年コカ葉栽培監視報告書を発表し,コカ葉栽培面積(2014年)は20,400ヘクタール(ha)であり,前年の23,000haから11%減少したと発表した。
  • 26日,モラレス大統領は2019年の大統領選挙に再立候補することに関する正式な提案を受けた旨発表し,翌週に,同大統領の再立候補を可能とする憲法改正の分析のためにMAS党の議員団との会合を行う予定である旨発表した。
  • 31日,アチャコジョ農村開発・土地大臣が,同基金の理事会のメンバーである農民および先住民の8団体に対し何もできなかったと述べ辞任し,モラレス大統領はセサル・コカリコ前ラパス県知事を同大臣に任命した。

  • (2)外交

  • 4日,「エル・デベール」紙は,モラレス大統領が,「スコクニック駐ボリビア・チリ総領事がボリビア国内を回って野党の政治家及びリーダー達との会談を行っている疑いがある」と述べ,「同総領事に対してペルソナ・ノン・グラータを宣告しなければならないかは分からない」旨発言した旨報じた。
  • 8~11日,宇都外務大臣政務官が当国を訪問し,サンタクルス県に所在するサンフアン移住地及びオキナワ移住地を訪問した他,ガルシア・リネラ副大統領表敬等を実施した。
  • 11日,モラレス大統領は,大統領府においてブレナン当地駐在米国臨時代理大使との間で会合を行い,アンデス貿易促進・麻薬根絶法(ATPDEA)による関税優遇措置や気候変動,チチカカ湖の環境保全,ミレニアム開発目標等の二国間の課題に関して協議した。
  • 27日,チョケワンカ外務大臣は,恒常的にアリカ港においてボリビアの貨物の通行が妨害されており,チリは1904年の平和友好条約に違反しており,同平和友好条約に基づき仲裁に持ち込む可能性を検討していると述べた。

  • 2 内政

    (1) 政府の動き

     独立記念日の演説

    (ア)6日,モラレス大統領は,独立記念日の特別議会において,以下の最新の経済指標を示し,これらは天然資源の国有化の成果であると強調する内容の演説を行った。

     実質GDP成長率(2006~13年):5.1%(97~2005年:平均3.2%)

     名目GDP(2014年):327.59億米ドル(2005年:95.21億米ドル)

     一人当たりGDP(2014年):3千米ドル(2005年:1千米ドル)

     公共投資(2015年見込み):73億99百万米ドル(国営企業の投資を含む) (2005年:6億29百万米ドル)

     徴税額(2014年):644.52億Bs(2005年:160億Bs)

     銀行口座の数(2015年):8.3百万口(1998年:1.4百万口)

     融資における返済不履行率(2015年)1.6%(2005年:10%)

     当国通貨での融資・預金割合(2015年7月):融資94%,預金83% (2005年,融資:7%,預金:15%)

     貧困率(2014年):38.7% (2001年:63.1%,2005年:60.6%)

     極貧率(2013年):17.8%(2005年:38.2%)

     失業率(2014年):3.5%(2005年:8.1%)

     最低賃金上昇率(2006~15年):平均276% (1996~2005年:平均97%)

     国営企業の収益(2014年):74.12億Bs(2005年:0.69億Bs)

    (イ)加えて,2020年までの政策目標として以下の点を挙げた。

     保健医療分野に17.27億米ドル投資。

     観光客を7百万人まで増加(外国人:2.8百万人,ボリビア人:4.5百万人)。

     天然ガス生産を71百万立方メートル/日,石油生産を59~65バレル/日まで増加。

     産業化,生産体系の変化のために20.4億米ドル投資。

     発電を4,878メガワットまで増加。2025年には3千メガワットの電力を輸出。

     道路建設に82.27億米ドル,鉄道整備に12.9億米ドル,水上輸送網整備に2.86億米ドル,航空輸送網整備に5.41億米ドル,ロープウェー拡大に4.58億米ドルを投資する。

    (ウ)モラレス大統領は,国際資源価格の低下によって,炭化水素資源の輸出額は約25億米ドル,鉱物資源の輸出額は約8億米ドル低下することが予測されると述べ,国際資源価格の低下を一部の先進国間での合意によるものであると非難した。他方で,外貨準備高や預金額の増加等もあり,外的要因による経済状況の悪化に十分対処できる旨発言した。

    (エ)「海への出口」問題に関しては,国家政策として,与野党が協力して本件にあたっている点を強調し,これまでに本件において当国政府を支持した各国政府高官等の名前(アジェンデ元チリ大統領,ペロン元亜大統領,トリホス・元パナマ大統領,ペレス元ベネズエラ大統領,カーター元米大統領,カストロ前キューバ国家評議会議長,ガルシア元ペルー大統領,チャベス前ベネズエラ大統領,ウマラ・ペルー大統領,コレア・エクアドル大統領,ムヒカ前ウルグアイ大統領,カルテス・パラグアイ大統領,ルセーフ伯大統領,法王フアン・パブロ二世,アナン前国連事務総長等)を挙げ,国際司法裁判所(ICJ)における裁判に楽観的な姿勢を表明した。


     地方自治関連

    (ア)12日,エクセニ最高選挙裁判所(TSE)判事は,同日に「パヒナ・シエテ」紙が発表した,地方自治憲章の内容を住民が知っているかに関する世論調査は報道の自由の範囲内で報道機関に対して認められていると述べて,シレス自治大臣が「本件世論調査は法律に違反している」旨発言したことを否定した。

    (イ)27日付け当地「パヒナ・シエテ」紙は米州機構(OAS)の極秘文書において,当国TSEが使用している当国の指紋認証登録に基づく有権者登録制度の登録・管理システムは,非常に古い機材を使用しており,ハッカーによる攻撃対象となり得る旨記載されていると報じたが,28日,コスタスTSE副長官は,当国の指紋認証登録に基づく有権者登録制度の登録・管理システムはインターネットのシステムと直接接続されていないため,安全性が極めて高いと強調して,OASによる報告内容を否定した。


     先住民基金(Fondo Indígena)における汚職・横領問題及びアチャコジョ農村開発・土地大臣の辞任

    (ア)15日,チャジャパタ市地方裁判所は,先住民基金の資金を使用して実施された灌漑プロジェクトの責任者3名の逮捕を決定した。

    (イ)26日,当国政府は,最高政令2493号を以て,先住民基金に変わる組織として,先住民発展基金(Fondo de Desarrollo Indígena)の創設を決定した。新基金においては,参加する先住民団体は決定機能を担わずに,協議と評価の任務を果たすこととなり,各プロジェクトの承認は,農村開発・土地省及び先住民発展基金の理事長が実施することとなる。なお,先住民基金の汚職・横領問題の監査を務めたフエンテス監査役は,報告書において743件の未完成プロジェクトおよび30件の存在しないプロジェクトによって102百万ボリビアーノス分の国家への経済的損害が確認され,90名が訴えられている旨報告している。

    (ウ)31日,アチャコジョ農村開発・土地大臣が,同基金の理事会のメンバーである農民および先住民の8団体に対し何もできなかったと述べ辞任し,モラレス大統領はセサル・コカリコ前ラパス県知事を同大臣に任命した。モラレス大統領は,先住民基金が非効率的であったことを認め,数ヶ月前に理事会を交代させることを提案したものの,農民・先住民組織の反対にあい交代を実現できなかったと述べた。また,同大統領は,アチャコジョ前大臣は基金の運営難を避けることができなかったとし前大臣を擁護した。


     当国政府によるNGOへの対応

    (ア)10日,ガルシア・リネラ副大統領は,当国で活動する4つのNGO(TIERRA基金,Milenio基金,Cedib及びCEDLA。環境保護及び先住民・農村共同体の政治・経済・社会的権利の擁護を訴えている)の活動を疑問視し,サンチェス・デ・ロサダ元大統領等からの資金援助を受けて,政治的干渉を行っている可能性があり,立証されれば,2013年に追放されたデンマークのNGOであるIBIS同様,当国から追放する旨の発言を行った。副大統領は,これらのNGOは金のために従来の立場を変えた旨発言している。NGO側からは,政府が発表した財政監査等の実施を受け入れる準備がある旨発表し,他方で,NGOの登録制度が統一されていないために,中央政府等も懐疑的になっている旨発言した。

    (イ)13日,ガルシア・リネラ副大統領は,当国においては国家組織も強固になったので,NGOは当国においては日に日に不必要になってきている旨発言した。

    (ウ)17日,トルロット当国駐在EU大使は,欧州が実施する経済協力の多くは,NGOを通して実施しているものの,政府の全てのレベルと協議して経済協力を実施している旨発言して如何なる内政干渉も否定する一方で,強固な国家は強固な市民社会を必要とする旨発言した。

    (エ)18日,ガルシア・リネラ副大統領は,副大統領府のHPにおいて声明を発表し,上述の4つのNGOを追放するとの脅迫を行った事実を否定する一方で,当国の利益に反する活動を行い政治活動に従事している外国の団体,NGO及び政府は追放する旨表明した。

     (オ)20日,モラレス大統領は,民主的に選出された政府に対して謀略を図るものは問題を抱えることになる旨発言し,当国においては貧困も削減されており,政府の管理が全土に行き届くようになったため,もはやNGOの存在理由はない旨発言した。


     当国政府による報道機関への圧力

    (ア)10日,Radio Erbolのパンド氏(プレゼンテーター)は,当国政府は自らの政策を支持しない報道機関に対して広告を掲載しない等の経済的制裁を行っている旨告発し,同ラジオ局からの辞職を公表した。これに対して,ガルシア・リネラ副大統領は,虚偽の報道を行い,政治工作を行う報道機関に対しては,政府は広告を掲載しない旨発言した。

    (イ)27日,Radio Erbolのパンド氏は,幹部陣が同氏の辞表を受理したと発表して,自らの辞職の正式な決定が確定したと自らの番組で発言し,同ラジオ局から退いた。

    (ウ)28日,当国議会はパコ通信大臣を召喚して,当国メディアに対する政府広告の実施状況等に関する質疑を行った。同大臣は,政府の施策等に関する公報のための予算は216百万ボリビアーノス(約70百万米ドル)に上ると述べ,他方で,あくまでも政府情報を広報するための予算であり,広告等とは異なる旨発言した。与党MAS党が3分の2以上の議席を確保する議会は,同大臣への信任票を投じたが,野党議員からはパコ大臣は質問に対する明確な回答を行わなかったとの非難が出ている。


    (2)モラレス大統領再立候補の問題

     3日,モラレス大統領は,12月に実施される予定の拡大閣議(各省庁の次官級まで出席して実施される閣議)において,自らの2019年大統領選挙再立候補の問題に関して話し合う旨発言し,「個人としても政府としても何ら決定されていない」旨述べた。


     16日付け当地「パヒナ・シエテ」紙は,Mercados y Muestras SRL社が,7月28~31日に,都市部と農村部を含む全国で,18歳以上の男女800名を対象に実施した,モラレス大統領の再立候補に関する世論調査の結果を報じているところ概要以下のとおり。

    (ア)質問:「モラレス大統領が,新たにもう一期大統領を務めるための再選に賛成ですか?」

    (()内は同社による前回調査(6月)結果)

    賛成:40%(39%)

    反対:56%(56%)

    /分からない/未回答:4%(8%)

    (イ)質問:「MAS党の幹部は,モラレス大統領の再選を提案しました。あなたは,モラレス大統領が再選できるようにするために憲法を改正することに賛成ですか?」

     賛成:35%

     反対:58%

     分からない/未回答:7%


     18日,シフエンテス上院議員(MAS党)は,MAS党等は,本年10月に,当国国会に対してモラレス大統領の2019年大統領選挙再立候補を可能とするための憲法改正を要請する予定である旨発言した。同議員は,25日,モラレス大統領及びガルシア・リネラ副大統領との会合の後,本年11月に予定されているMAS党全国大会において,大統領及び副大統領の再立候補に関する提案が行われ,憲法改正の内容に関する協議も行われる予定であり,右憲法改正の提案は12月には当国国会に提出され,2016年には憲法改正のための国民投票が実施される予定であると説明した。加えて,国民投票の質問は,同大統領及び副大統領の再立候補の問題に加えて,司法改革や医療,その他分野を包含する1つの質問となるべきであるとの意見を表明した。


     26日,モラレス大統領は2019年の大統領選挙に再立候補することに関する正式な提案を受けた旨発表し,翌週に,同大統領の再立候補を可能とする憲法改正の分析のためにMAS党の議員団との会合を行う予定である旨発表した。


     26日付け「パヒナ・シエテ」紙は,IPSOS APOYO OPINION Y MERCADO社が,7月にラパス市,サンタクルス市,コチャバンバ市及びエル・アルト市の4都市において実施した,モラレス大統領の再立候補に関する世論調査の結果を報じているところ概要以下のとおり。

    (質問:「モラレス大統領が,2019年の大統領選挙に出馬できるようにするために新たに憲法改正をすることに賛成ですか?」)

     賛成:54%

     反対:38%


    (3)地方選挙関連

     7日,コロンOAS選挙監視団長は,3月及び5月に実施された地方選挙において,投票数の集計が極めて遅かったことを指摘し情報システムの改善を提案した。加えて,候補者の候補資格認定等のための機関に関する規則を見直すべきであると助言した。


     28日付け当地「パヒナ・シエテ」紙は,2014年12月から2015年2月まで当国の選挙制度や関連法律,データベースの状況や情報システムの安全性等を評価するために専門家チームを派遣したOASの報告書において,当国の選挙人の指紋登録制度実施には旧式の機材が使用されており,ハッキング等の攻撃に対処できないリスクがあると指摘している旨報じた。


    (4)コカ葉栽培・麻薬・人身売買・治安関連

     3日,カセレス内務省社会防衛・規制物質担当次官は,国家警察対麻薬密輸取締対策部隊(FELCN)がこれまでに麻薬対策関連情報漏洩の罪から60名程度を訴追して来た旨発表し,うち10~15名は既に刑務所に入れられている旨発表した。


     13日,当地国連薬物犯罪事務所(UNODC)は,麻薬の焼却処分量に関する報告書を発表し,2015年上半期には,麻薬22.2トンが焼却された旨発表した。加えて,前年度同期と比較して,純度が高く精製が複雑なコカイン塩酸塩焼却量が4倍以上(2014年上半期:1.7トン,2015年度上半期:7.4トン)になっている旨発表した。カセレス内務省社会防衛・規制物質担当次官は,本件焼却量の増加はFELCNの職務遂行が効率化しているためであると説明した。


     17日,当地UNODCは,モラレス大統領,ロメロ内務大臣,アルラルデ政務担当外務次官,カセレス内務省社会防衛・規制物質担当次官,デ・レオ当地UNODC代表等出席の下,2014年コカ葉栽培監視報告書を発表した。概要は以下のとおり。

    (ア)コカ葉栽培面積(2014年):20,400ha(前年:23,000ha,11%減)

    (イ)同栽培面積地域別内訳

       ラパス県ユンガス地方    :14,200ha(対前年比10%減)

       コチャバンバ県熱帯地方   :6,100ha (対前年比14%減)

       ラパス県北部地方      :130ha   (対前年比43%減)

       自然保護区内(22区中6区):214ha   (境界線の変更等で比較不可)

    (ウ)コカ葉総生産量(2014年):33,100トン(対前年比12%減)

    (エ)コカ葉総生産額(2014年):282百万米ドル(対前年比4%減)

    (オ)コカ葉総生産額対GDP比    :0.9%(2013年:1%)

    (カ)1キログラム当たり平均価格:8.3米ドル(対前年比6%増)

    (キ)合法市場におけるコカ葉販売量:19,797トン(総生産量の60%)

    (ク)違法取引による押収量

       コカ葉     :582.186トン(対前年比22%増)

       コカインペースト: 18.258トン(対前年比11%減)

       コカイン塩酸塩 :  4.084トン(対前年比158%増)

    (ケ)麻薬関連施設摘発数

       コカイン生産工場    :5,306ヶ所(対前年比11%減)

       コカイン塩酸塩精製工場 :   74ヶ所(対前年比10%増)

       科学前駆物質再生処理工場:   58ヶ所(対前年比16%増)

    (コ)デ・レオ代表は,2014年はコカ葉の栽培面積が対前年比11%減少となったこと,過去4年間(2010~14年)で栽培面積の減少傾向は明らか(10,600ha,34%減少)となっていること及びUNODCが本件調査の実施を開始した2002年からの12年間でコカ葉の栽培面積が最小となったことを強調し,コカ葉栽培面積の減少は,当国政府の実施する合理化及び撲滅の取り組み及び生産者等との対話を通して社会的監視を働かせようとする取り組みに加えて,ユンガス地方における古い農地の生産性の急激な低下に伴う同農地の放棄の3つの要因が主な理由であると発表した。

    (サ)モラレス大統領は,米国と良好な関係を有する他国においてコカ葉違法栽培が増加している事実は,米国の戦略が誤っていることを示していると強調し,当国においても米国麻薬対策局(DEA)が活動していた2009年までは違法栽培は増加し続けたが,DEA追放後に減少を始めたことに触れ,米国の麻薬対策の裏には,異なる利益,関心が隠されていると批判した。

    (シ)カセレス次官は,現在内務省において,1988年のコカ葉の栽培に関して規制する法令1008号に替わるコカ葉の栽培と麻薬対策に係る新法案を策定しており,60日以内に議会に本法案を提出できる予定である旨述べ,2013年に発表されたコカ葉の伝統的使用に関する報告書は,必要なコカ葉の栽培面積は14,705haと報告したものの,右報告にはコカ葉の医療分野での使用等が考慮されておらず,より広い栽培面積が必要となる可能性が高く,いずれにせよ専門家が判断することになると述べた。


     17日付け当地「パヒナ・シエテ」紙は,Mercados y Muestras社が,7月に都市部と農村部を含む全国で,18歳以上の男女800名を対象に実施した,当国の治安及び警察に関する世論調査の結果を報じているところ概要以下のとおり。

    (ア)質問:「あなたは過去1年間に,何らかの犯罪被害に遭いましたか?」

     はい:19%

     いいえ:81%

    (イ)質問:「あなたは今後1年間に,何らかの犯罪被害に遭うと思いますか?」

     被害に遭うと思う:69%

     被害に遭わないと思う:25%

     わからない・未回答:6%

    (ウ)質問:「ボリビアの治安は良くなっていると思いますか?」

     良くなっている:2%

     変わらない:20%

     悪くなっている:78%

    (エ)質問:「ボリビア政府は犯罪抑止のための対策を講じていると思いますか?」

     講じている:20%

     講じていない:70%

     わからない・未回答:10%

    (オ)質問:「ボリビア国家警察の利点・優れている点を挙げてください。」

     国家警察に利点はない:57%

     パトロールしている:15%

     勇敢・献身的:10%

     予算・装備が充実している:7%

     練度が高い:6%

     わからない・未回答:5%

    (カ)質問:「ボリビア国家警察の問題点を挙げてください。」

     警察内部の汚職:26%

     練度が低い:18%

     給与が低い・下級警察官に対するパワハラ:14%

     捜査に科学技術が導入されていない:13%

     警察官の数が少ない:12%

     わからない・未回答:17%


    ポトシ市民委員会(Comcipo)によるデモ行進

     1日,Comcipoは,27日間にわたって実施した市民デモ活動を一ヶ月間休止する旨発表した。加えて,ガルシア・リネラ副大統領,全閣僚及びMAS党に所属する全国会議員に対して,「ペルソナ・ノン・グラータ」宣言を行った。


     16日,モラレス大統領はComcipoの要請は笑いものである旨の発言を3日にしたことに関して謝意を表明した。一方で,本件は市民の要求に基づいておらず政治的な要請であり,ポトシ市民の本当の民意を表明していないと発言した。


    (6)グアラニー族による抗議運動

     18日,グアラニー族が自らの先住民地域内での炭化水素資源の探索に関して,中央政府が事前の質問等なしに進めようとしていることに対して抗議するために,道路封鎖を実施したが,これに対して,当国警察が介入し,27名を逮捕して道路封鎖を解除させたが,サンタクルス県カベサス市地方裁判所判事は警察の介入が過剰であったことを告発した。


    3 外交

    (1)二国間関係

     対日関係

     8~11日,宇都外務大臣政務官が当国を訪問し,サンタクルス県に所在するサンフアン移住地及びオキナワ移住地を訪問した他,ラパス県においては,ガルシア・リネラ副大統領表敬,アルラルデ政務担当外務次官(外相代行)との会談等を実施した。


     対チリ関係

    (ア)3日,モラレス大統領は,「海への出口」問題を解決するためにあと100年待つことはない旨発言し,チリ政府から公式な提案等は接到しておらず,当国から,両国の大使交換のための正式な申請を送付する予定であり,右提案は誠実且つ公式なものとなる旨発言した。

    (イ)4日,「エル・デベール」紙は,モラレス大統領が,「チリ政府は,現政権の政治不安定化の可能性を探っており,疑わしいことに,スコクニック駐ボリビア・チリ総領事がボリビア国内を回って野党の政治家及びリーダー達との会談を行っている」と述べ,「同総領事に対してペルソナ・ノン・グラータを宣告しなければならないかは分からない」旨発言し,モラレス大統領は,「同総領事の行動に関して深く分析する必要がある」旨発言した報じた。

    (ウ)4日,ゴンサレス上院議長は,スコクニック総領事の国外追放の可能性を支持し,中央政府よりも野党と会う機会の方が多く,野党と恒常的にコンタクトをとることは通常の外交団の職務ではないと述べた。同日,ロメロ内務大臣は,スコクニック総領事が当国の政治不安定化を促進していることを証明するための証拠は存在すると述べる一方で,本件が報道等で大きく扱われ,チリ政府の数名の高官によって当国政府の国際的要請を妨害するための理由として使用されるのを避けるために,同総領事の行動に関する詳細は公表しないと発言した。

    (エ)ムニョス・チリ外相は,モラレス大統領による発言に触れて,スコクニック総領事への完全な支持を表明すると同時に,ICJと法王フランシスコが本件を注視することを望むと述べ,チリ政府による対話の提案が当国政府による総領事追放の脅迫になって返ってきたと述べ,両国間の関係回復の機会は失われた,後はハーグ(ICJ)で会おうと発言した。

     (オ)13日,パコ通信大臣は,チリのメディアは,両国間の関係を不安定化させることを目的として,当国においてスパイ活動を行っている旨発言した。

    (カ)17日,キロガ元大統領は,「海への出口」問題にかかる広報の一環として,ブラジルを訪問し,ネーベス伯PSDB党首等との会合を行った他,20日,同元大統領は,メキシコのケレタロ州において実施されたフォーラムにおいて,法王フランシスコが提案した対話の要請に対するチリ政府高官の反応を疑問視した。

     (キ)27日,チョケワンカ外務大臣は外務省で行われた記者会見において,恒常的にアリカ港においてボリビアの貨物の通行が妨害されており,チリは1904年の平和友好条約に違反しており,同平和友好条約に基づき仲裁に持ち込む可能性を検討していると述べ,右証拠として,アリカ港で見受けられる少なくとも11件の不正常な状態及びボリビアの自由通行が侵害されていることを示す資料を示した。


     対中国関係

     12日,フェレイラ国防大臣は,現在中国に留め置かれている16隻のはしけ等を取り戻すためには,最低8百万米ドルが必要となる旨発表し,現時点で3百万米ドル分の資金は目処がついているものの,残りの5百万米ドル分に関しては目処がついておらず国内外の企業等の協力を求める方針であると発表した。


     対伯関係

     17日,伯国家亡命者審議会(Conare)は,2013年に当国から出国して伯において政治亡命を申請していたピント元当国上院議員の申請を承認した。


     対米関係

    (ア)11日,モラレス大統領は,大統領府においてブレナン当地駐在米国臨時代理大使との間で会合を行った。会合においては,まず,ブレナン臨時代理大使から両国間の関係改善を期待するとのオバマ米国大統領のメッセージを伝達し,アンデス貿易促進・麻薬根絶法(ATPDEA)による関税優遇措置や気候変動,チチカカ湖の環境保全,ミレニアム開発目標等のテーマも含め,前米国大使の追放以降悪化していた二国間の課題に関して協議した。会合後,モラレス大統領及びブレナン臨時代理大使は,両国間関係の改善の意思を表明し,関係改善のための柱として,通商,環境及び司法の3分野を挙げた。また,モラレス大統領は,オバマ米政権がキューバやイランとの関係改善に踏む出す中,当国もその潮流から外れるわけにはいかない旨発言し,ブレナン臨時代理大使は2016年に関係改善に向けて前進できるように全ての努力をする旨発言した。

    (イ)カセレス内務省社会防衛・規制物質担当次官は,麻薬対策分野において,当国政府は国際的な協力を受けており,米国からの協力も受ける準備はある旨発言する一方で,あくまでも両国間の主権を尊重する形での実施となると述べ,いずれにせよ両国間の関係改善の取り組みを歓迎する旨発言した。

    (ウ)メサ元大統領(国際社会に「海の出口」問題に関する歴史的・法律的説明を行うための特別担当)は,米国は,「海への出口」問題においても重要な役割を果たしてきたと述べ,ボリビア・米国関係の改善はボリビアにとって追い風となる旨発言した。

    (エ)16日,ロメロ内務大臣は,米国政府に対して,かつての麻薬対策協力から,共通の責任に基づく行動に移行することを要請し,11日に実施されたモラレス大統領とブレナン臨時代理大使との会合に関しては,麻薬対策に関しては触れられなかった旨発言した。

    (オ)27日,チョケワンカ外務大臣は,米国国務省が発表した報告書において,当国におけるコカ葉の栽培面積が35,000ヘクタールと示されており,UNODCが発表した20,400ヘクタールとの間に大きな違いがあることの理由を説明するようブレナン当国駐在米国臨代に対して要請したと発表した。

    (カ)31日付け当地「ラ・ラソン」紙は,ビーマー当地駐在米国大使館広報担当官が,ブレナン臨時代理大使が既にアルラルデ政務担当外務次官との会合を実施し,右会同においては,当国政府から正式に米国政府の発表との見解の違いに関する口上書をアルラルデ次官がブレナン臨時代理大使に手交した旨説明したとの発言を報じた。他方で,上記会合のこれ以上の詳細は明らかにしなかった。


     対バチカン関係

     12日,ロアイサ駐バチカン大使は,法王フランシスコが当国を訪問中であった7月8日に,チリのTV局に対して「モラレス大統領は反カトリック協会というトラウマを克服することを期待している」旨発言したことが明らかとなり,ガルシア・リネラ副大統領は「国家及び政府に対しての尊敬に欠ける発言である」旨批判した。同大使は,多くの批判を受けた後に右責任をとって辞任した。


     対ウルグアイ関係

     19日,アルラルデ政務担当外務次官は,カンセラ・ウルグアイ外務次官とウルグアイにおいて両国間の第6回連携協議メカニズム会合を開催した。両次官は,防衛協力協定の早期発効の推進,航空協定の改訂の検討,税関手続に係る協力・技術支援協定の交渉終了の祝福,物流ラインの包括的な計画の作成等に合意し,加えて,河川航行の自由を尊重しその有効性を確保することを確認した。また,カンセラ外務次官は,ウルグアイ政府及び国民の当国への連帯の意を改めて表明し,「海への出口」問題の平和的かつ正当な解決を望んでいると述べた。加えて,地域統合を強化するため,URUPABOL(ウルグアイ,ボリビア,パラグアイによる3ヶ国連携メカニズム)を発展させる意思を表明し,外相会合開催の前段階である調整会合を11月にアスンシオンで開催することで合意した。


     対イラン関係

    (ア)27日,サマニニア(Amir Hussein Samaninia)イラン石油・通商問題次官は,当国を訪問しモラレス大統領との会談を実施した。同会談の終了後,同次官は,イランのテヘランに於いて実施される予定の第3回ガス輸出国フォーラムにモラレス大統領が出席する予定であると発表した。

    (イ)31日付当地「パヒナ・シエテ」紙は,アルラルデ政務担当外務次官がボリビア・イラン政策対話の実施のためにイランを訪問し,ヤバド・イラン外務大臣を表敬訪問した際には,同大臣より,当国の平和利用のための原子力開発を支援する意思がアルラルデ次官に対して表明された旨報じている。


     対キューバ関係

     12~13日,モラレス大統領は,カストロ・キューバ前国家評議会議長の89歳の誕生日を祝福するためにハバナを訪問した。ハバナにおいては,同前議長がマドゥーロ・ベネズエラ大統領と共にモラレス大統領の宿舎を訪問して同大統領を驚かせるという一幕もあった。

    (了)