ボリビア内政・外交(2015年5月)
1 概況
(1) 内政
(2)外交
2 内政
(1) 政府の動き
ア 閣僚交代
26日,モラレス大統領は,ボリビア最高裁判所によって外出禁止命令を受けて,本年1月よりラパス市内の親戚の家で拘禁されていた,ウマラ・ペルー大統領の元顧問,マルティン・ベラウンデ氏の逃亡が発覚したことを受けて,モルディス内務大臣が辞職した旨発表し,また,カルロス・ロメロ上院議員(2008年に農村開発・農牧・環境大臣として内閣入りして以来,地方自治大臣,大統領府大臣,内務大臣を歴任。本年1月より上院議員。)が後任として内務大臣に就任する旨発表した。同日,ルイス・セルート国家警察長官もベラウンデ氏逃亡の責任を問われて更迭され,エドガル・テジェス監査局長が新長官に就任した。
イ 地方自治関連
(ア)19日,国会の地方自治合同委員会は,地方自治枠組み法の改正案を承認した。同案における主な修正点は,地方自治に関する国家委員会のメンバーに経済・財政大臣を含めること,同委員会の運営役に副大統領を含めること及び同委員会の実施を年に2回以上まで拡大することの3点である。同法案は29日に国会において承認された。
(イ)TSE判事が全員辞任したことを受けて,30日,議会下院の憲法委員会にてTSEの組織改革のための法案が承認された。(翌6月1日には下院にて同法案が承認され,地方自治憲章承認のための住民投票が9月20日まで延期される見込み)
ウ メーデー関連
(ア)1日,モラレス大統領は,2015年の8.5%給与増及び最低賃金の15%増並びに右増加を1月1日まで遡及することを内容とする最高政令2346,2347及び2348号を公布した。これによって,ボリビアの月額最低賃金は,1,656ボリビアーノス(約236米ドル)となる。他方で,最高政令2349号も公布し,全ての労働組合の創設に大統領の署名が必要となる旨決定した。
(イ)毎年5月1日の行進に参加して来た全国労働総連(COB)幹部陣は,5月1日の公布に向けて協議して来たその他の最高政令(休暇や労組の受け取る給付金等に関する内容のもの)が公布されなかったことから,1日の行進には参加せず,昨年は行進に参加したモラレス大統領も招待が遅れたことを理由に参加しなかった。
エ 小麦粉に対する補助金の廃止決定
14日,ラモス生産開発・複合経済大臣は,小麦粉の値段が低下し補助金が必要なくなったことを理由に,2011年から,実施していたパン製造業者に対する小麦粉販売に適用されていた補助金を廃止することを決定し,当地で最も一般的に食されるパン(Pan de Batalla)の金額が上昇しないようにするための管理を実施する旨発表した。これに対して,パンの製造業者はPan de Batallaの金額を25%高くする(0.40ボリビアーノスから0.50ボリビアーノス)旨発表し,政府に反対する旨発表した。
(2)2015年地方選挙
ア 選挙結果発表
(ア)3日,タリハ県及びベニ県において両県の県知事選挙の決選投票が実施されたところ,本件投票結果以下の通り。
タリハ県知事選(開票率100%)
アドリアン・オリバ(UD-A):60.69%
パブロ・カネド(MAS党):39.31%
ベニ県知事選(開票率100%)
アレックス・フェリエル(MAS党):50.23%
カルロス・デリエン(NACER):49.77%
(イ)ベニ県知事選挙においては,野党勢力は少なくとも同県内の12の投票所の投票結果に不正常な状態が見られることを理由に,同投票所の投票を無効とするよう要請した。しかし,ベニ県地方選挙裁判所は右要請を受け入れずに,789票差でMAS党候補が勝利した旨公式発表したため,ベニ県においては野党支持者と警察の間での衝突が起きた。
(ウ)決選投票の公式結果の最終発表を受けて,MAS党が6県(コチャバンバ県,ポトシ県,チュキサカ県,オルロ県,ベニ県及びパンド県)において県知事職を獲得し,残り3県(ラパス県,サンタクルス県及びタリハ県)は野党の県知事の施政下におかれることとなった。
(エ)5日,モラレス大統領は,選挙運動期間中の野党所属の県知事・市長とは協力しない旨の発言を翻し,野党の県知事・市長とも各地方自治体の発展のために協力していくとの意向を表明した。
(オ)10日,モラレス大統領は,2014年の総選挙及び2015年の地方選挙を総括し,上院・下院の両院で3分の2の議席を獲得し,また,各県の県議会,県知事職及び市長職においても3分の2以上をMAS党が占めることから,MAS党が勝利した旨の発言を行った。これに対して,11日オルティス上院議員(民主統一(UD))は,全国民の投票を見ると,41.8%の国民がMAS党の県知事・市長候補に投票しており,58%のボリビア国民はMAS党には投票していないと述べた。
イ 就任式実施
(ア)31日,スクレ市において,モラレス大統領,ガルシア・リネラ副大統領,ホルヘ・フォン・ボリエス最高裁判所(TSJ)長官等出席の下,国内全9県の県知事の就任式が開催され,新県知事9名(フェリエル・ベニ県知事(MAS党),ウルキス・チュキサカ県知事(MAS党),カネラス・コチャバンバ県知事(MAS党),パチ・ラパス県知事(主権と自由(SOL.bo)),バスケス・オルロ県知事(MAS党),フローレス・パンド県知事(MAS党),セハス・ポトシ県知事(MAS党),コスタス・サンタクルス県知事(社会民主運動(MDS)党),オリバ・タリハ県知事(UD-A))が宣誓した。
(イ)モラレス大統領は,新県知事9名に対し,(1)2020年までの任期中に県の自治を強化するために,各県が外貨を獲得し,国庫からの資金に依存しない生産可能な県になること,(2)プロジェクトからの利益が地域や国に残るように,国家・県レベルの投資獲得に努めること,(3)現在ある不均衡をなくすべく「中央政府と地方政府の間での予算の分配等に関する合意(Pacto Fiscal)」を実施すること,という3つの課題を提案した。加えて,選挙運動中の「野党知事や市長とは仕事をしない」との発言は,あくまでも選挙戦中の発言であると述べ,今後は貧困削減を継続し,経済成長を計画するための作業を,全ての県知事及び市長と共に行うと述べ,中央政府への協力を求めた。
(3)モラレス大統領再立候補の問題
ア 12日,コチャバンバ熱帯地方コカ葉栽培組合のロサ副会長は,「新自由主義者が,ボリビア国民を殺害するために憲法改正を行ったのであれば,なぜ,我々は同志であるモラレス大統領再選のためのメカニズム,法的説明を探すことが出来ないのか」と発言した。
イ 14日,ガルシア・リネラ副大統領は,ラパス県内の学校校舎の引渡し式において,出席していた生徒達に,ICJにおける「海への出口」問題に関する訴訟に言及して,海への主権を伴うアクセスの獲得の条件として,国民の統一,世界への広報,学校及び大学で勉強すること,国家のために働くこと及びモラレス大統領が常に我々といることを挙げた。
ウ 15日,MAS党コチャバンバ支部の総会において,モラレス大統領は,我々が本当に一致団結すれば,現在の変革のプロセスは中国のプロセスと類似したものになり,ボリビア国民のために,一生かけて統治することが可能となる。我々はさほど遠くないところまで来ている旨発言し,加えてMAS党の再活性化等を呼びかけた。同総会は,17日に閉幕し,全会一致で2019年のモラレス大統領の3度目の再選を目標とすることが決定した。他方で,18日,MAS党所属の国会議員は,本件は党全体での組織的な決定ではないと述べ,国会においては,憲法改正のための公式な提案を待っている旨述べた。
エ 20日,チョケワンカ外相は,モラレス大統領の再立候補の可能性に関して発言し,「国民に恐怖を持つ必要はなく,決定するのは主権を有する国民であり,我々政府の人間は,国民の求めることをしなくてはならない」旨発言した。
オ 22日,ガルシア・リネラ副大統領は,モラレス大統領の再立候補の問題に関し,「本件は,国民と国内の憲法体系の判断によって決定されるべきである」旨発言した。
(4)最高選挙裁判所(TSE)関連
ア 5日,モラレス大統領は,パレデスTSE判事が選挙運動期間中にMAS党が開催した集会に参加したことは非道徳的であると発言し,加えて,その他のTSE判事による地方選挙の期間中の職務遂行にも疑問を呈した。7日,与野党の議員等もパレデス判事の辞職を要請したが,オバンドTSE副長官は,TSEは同判事を罰することはない旨発表した。
イ 12日,ガルシア・リネラ副大統領は,地方選挙が終わり国民の投票が危機にさらされない状況になったことを受けて,地方選挙の最終結果を発表した後に,TSEはその職務遂行に関する批判的な視点から総括を行う必要がある旨発言した。
ウ 13日,モナステリオ下院議員(UD)は,地方選の実施にあたって多くの不正常な出来事があったことを理由に,TSEの現判事の任期を短縮する法律案を提出した。
エ 18日,TSEは,判事7名中5名の出席を得て開催された大法廷において,パレデスTSE判事,及び,地方選挙において一部の政党に偏った行動をとった旨告発されていたセガラ・タリハ県地方選挙裁判所判事の職務停止処分を決定した。
オ 22日,ゴンサレス上院議長は,TSEの判事には,自ら辞任するか,任期を短縮されるかの何れかの選択肢しか残されていない旨発言し,同日,ガルシア・リネラ副大統領もTSEの威厳を回復するためには厳しい決定を下さなければならない旨発言した。
カ 25日,ベラスコTSE長官は辞表を提出し,辞職の理由として,TSE判事の間の政治的な嫌がらせ及び不正を挙げた。同長官は,チュキミア判事が会議を取り仕切り,それに4名の判事が追従し,ベラスコ長官及びパレデス判事の意向が無視される中で決議がなされ,全判事の間で協議が行われることはなかったと説明した。
キ 職務停止処分中のパレデス判事は,26日,「TSEの信頼とイメージを回復するため」として辞表を提出した。同判事は,TSEの内部分裂及びベラスコ長官が言及した他の判事による嫌がらせを認める発言をした。同日,ボルダ下院副議長は,残りのTSE判事5名に対して,28日までに辞表を提出するよう要請し,辞職しない場合には,任期を短縮する法律を承認する旨発言した。
ク 27日,オバンドTSE長官(ベラスコ長官が辞職するまでは副長官)は,TSE判事の職を辞することを発表し,28日に残りの前TSE判事が辞職した。
(5)コカ葉栽培・麻薬・人身売買関連
21日,コチャバンバ熱帯地方のコカ葉栽培業者組合の幹部は,コカ葉の生産,販売,産業化及び輸出を促進し,コカ葉栽培が麻薬取引に汚染されないようにすることを目的に,コカ葉に関する枠組み法案を起案しており,ラパス県ユンガス地方のコカ葉栽培業者及び中央政府とも本件草案に関して合意することを目指している旨発言した。
(6)軍備増強関連
12日,国防省の決算報告において,フェレイラ国防大臣は,2015年に,国防省は,国軍の軍備購入のために2.3百万ボリビアーノス(約330,000米ドル)を計上している旨発表し,現在購入する軍備の優先付けをしている段階にある旨発表した。
3 外交
(1)多国間関係
ア ハイチPKOミッションの終了
27日,フェレイラ国防大臣は,ボリビア国軍が9年間にわたるハイチにおけるPKOミッションを終了した旨発表した。
イ マチカオ文化・観光大臣のユネスコ総会
19日,マチカオ文化・観光大臣はパリにおいて開催されたユネスコ文化財不法輸出入等禁止条約の締約国会議に出席し,1970年条約補助委員会にボリビアが選出された旨発言すると同時に,ティワナク遺跡の保全と保護のために約69万米ドルの協力が行われる旨発表した。
(2)二国間関係
ア 対日関係
20日,平成24年度対ボリビア一般プロジェクト無償資金協力「国道7号線道路防災対策計画(詳細設計)」に係るE/N署名式がボリビア外務省で実施され,椿駐ボリビア日本大使及びチョケワンカ外務大臣等が出席した。椿大使は,2014年の日・ボリビア外交関係樹立100周年の祝賀行事等に触れながら,本件E/N署名を迎えられたことに関してボリビア政府関係者に対する謝意を表明し,今後更に緊密に協力し,共に前進していくことへの希望を表明した。チョケワンカ外務大臣は,日本が,助言,方向性,更にはアイデアを出してくれていることに謝意を表明し,日本政府の対ボリビア債権放棄及びその後の対ボリビア経済協力の継続に見られる日本の広い心と理解は特筆すべきであると述べた。
イ 対欧州諸国・EU関係
15日,チョケワンカ外相とビーゴ当地駐在イタリア大使は,ボリビア国内の地域共同体における保健衛生分野での協力協定に署名した。同協定においては,イタリア政府による21.5百万ユーロ以上の融資及び152千ユーロの無償資金協力が規定されており,チョケワンカ外相は,保健衛生分野における取り組みの重要性を強調し,右分野におけるイタリア政府の経済協力の重要性を強調した。
ウ 対チリ関係
(ア)「海への出口」問題に関るICJの管轄権に対する先決的抗弁に関する口頭弁論
・1回ボリビア側口頭弁論
6日,ICJにおいて,チョケワンカ外相,メサ元大統領(国際社会に「海への出口」問題に関する歴史的・法律的説明を行うための特別担当)等も出席の下,ボリビア側の第一回口頭弁論が実施され,ロドリゲス代理人(駐蘭大使,前大統領)をはじめとするボリビア側弁護団が4日に実施されたチリ側弁護団の口頭弁論への反論を行った。
第1回口頭弁論において,ボリビア側代表団は,チリ側の主張(注:ボリビアは,1904年の平和・友好条約の変更を目的としているというもの)を否定し,本件提訴は右条約とは関係が無く,ボリビア政府の主張は過去の変更や1904年の条約の拒絶を目的とするものではなく,チリがボリビアに行った一連の約束・発言に関するものであると主張し,ロドリゲス代理人は,1895年,1920年,1926年,1950年,1961年及び1975年に上述の約束がなされたが良い成果をもたらさなかった旨,チリ政府は1904年の条約の枠外で主権を伴う海への出口のための交渉を行ってきた旨主張した。
第1回口頭弁論の後,アブラハムICJ所長は,英国のグリーンウッド判事の要請に基づき,「ボリビア政府の主張する合意がなされた日を文書で示すこと」を要請した。
・第2回ボリビア側口頭弁論
8日,ボリビア側弁護団は第2回口頭弁論を行い,ロドリゲス代理人は,ボリビア政府の要求は,チリ政府がボリビアとの間で太平洋への主権を伴う出口に関して交渉を行う義務を有していることをICJが明らかにすることであると述べ,チリ政府の有する義務は,1904年の条約上の義務とは異なる長年の約束や宣言等から発生する義務であると説明し,ICJの判例上もその国際法上の有効性は認められている旨述べた。その上で,右義務の存在に関しては管轄権に関する弁論ではなく,その後の裁判手続の中で議論されるべきであると述べ,チリ政府が提出したICJの管轄権に関する先決的抗弁を棄却し,ボリビアが行った請求がICJの管轄権に服する旨裁定し宣言することを要請した。
ボリビア側の第2回口頭弁論の後,小和田判事(日本)は,両弁護団に対して,「主権を伴う海への出口」という文言に関して,両弁護団が使用する際に想定している文言の意味,特定の内容等を説明するよう要請した。
12日,ガルシア・リネラ副大統領は,小和田判事による「主権を伴う海への出口」という文言の定義づけに関する質問への回答を全員が合意の上で承認した旨発言し,13日,両弁護団は小和田判事の質問に対する回答を提出し,20日,ICJは,両国の回答を公表した。ボリビアは,「主権を伴う海への出口」の定義に関しては,管轄権に関する弁論ではなく,将来の両国間の誠実な対話に基づく交渉の中で決定されるべき事項であると説明し,チリは,ボリビア側は「主権を伴う海の出口」と言う文言を太平洋岸の領土の割譲の意味で使用しており,ボリビア政府の真意は平和友好条約の変更にある旨説明している。
(イ)9日,モラレス大統領は本件訴訟に関して,本件訴訟が仮に成功しなかったとしても,他の更に興味深い計画が存在する旨述べ,これまで政権についていた9年間で,「海への出口」問題に取り組むための国際的手続き等に関しても学んできた旨発言し,政治的安定が本件訴訟まで繋がった点を強調した。
(ウ)ガルシア・リネラ副大統領は,15日以降本件裁判の国際的説明のための取組を再開する旨発表した。メサ元大統領(歴史的・法律的説明を行うための特別担当)も職務を継続する旨述べている。
(エ)26日,チョケワンカ外相は,チリ政府に対して,5月20日から継続し,1904年の平和友好条約に基づいて自由に通化できるはずのボリビア向け貨物の流通が滞る原因となっているチリの税関職員のストライキを即時に中止するように要請した。
エ 対中国関係
(ア)12日,フェレイラ国防大臣は,ボリビア政府が30百万米ドルを支払って韓国企業に建造を依頼した16隻のはしけ船は5年前から中国の造船所に留め置かれているが,非公式の国防省の調査によれば,非常に傷んでおり返却を求める意味もなく,現実的にはなくなったと考えるべきである旨発言した。
(イ)13日,オレジャーナ開発企画大臣は,中国訪問から戻り,中国の国営融資銀行Eximbankとの技術協議の成果として,右銀行がルレナバケとリベラルタ間の500km以上の区間の道路建設に492百万ドルを融資する旨述べ,右融資に係る両国間合意は本年6月に実施予定であり,中国からの融資に合わせてボリビア政府も608百万ドルを投資する予定である旨発表した。加えて,同大臣は,Eximbankは,本年上半期末までに融資を実施する旨述べた。また,サンタクルス県のムトゥン鉄鉱山プロジェクトに中国国営銀行の融資を受けるために貸し付け利子につき交渉している旨述べた。ムトゥン鉄鉱山プロジェクトに関しては,昨年9月,大統領が中国による409百万ドルの融資を発表している。
(ウ)26日,モラレス大統領は,ペルー及びブラジルが李克強中国首相の訪問の際に大陸横断鉄道の建設プロジェクトのF/S共同実施に合意したことに関して発言し,ペルー,ブラジル及びボリビアを通過する南米大陸を横断する両洋間鉄道の建設プロジェクト(注:ボリビア政府は,従来からブラジルのサントス港からボリビアのサンタクルス,ラパスを経由して,ペルーのリマ港またはマタラニ港まで約1,500kmをつなぐ両洋間鉄道の建設を主張していた)がより良い選択肢であると今後も主張していく旨発言した。
オ 対伯関係
7日,モラレス大統領は,ルーラ伯前大統領と共に伯リオ・ブランコ州にあるアマゾン養殖産業コンプレックスを訪問した。モラレス大統領は,ボリビアにおいても同種のプロジェクトを実施する旨発表し,またラテンアメリカ諸国は消費者から食料の生産者にならなければならないと発言した。
カ 対バチカン関係
8日,ボリビア・カトリック中央評議会(CEB)は,法王フランシスコ(以下「法王」)の7月8日~10日までのボリビア訪問公式日程を以下のとおり発表した。
8日(水) 16:15 ラパス県エル・アルト国際空港到着(大統領及び閣僚が出迎え)
17:00 ラパス大司教館への移動
17:15 イエズス会司祭ルイス・エスピナル(軍政時代に暗殺された)の遺体が発見された場所に立ち寄り
18:00 モラレス大統領表敬(大統領府)
19:00 地方政府高官との会合・講話
20:00 エル・アルト空港よりサンタクルスへ出発
21:15 サンタクルス県ビルビル国際空港到着
9日(木) 10:00 サンタクルス市内キリスト像付近における公式ミサ
16:00 ドン・ボスコ学校における聖職者達との会合・講話
17:30 Expo Feriaにおける市民運動団体第二回世界会議に出席・講話
10日(金) 09:30 サンタクルス県パルマソラ刑務所訪問・講話
11:00 サンタクルス県小教区教会におけるボリビア司教達との会合
13:00 ビルビル空港よりパラグアイのアスンシオンへ出発
キ 対ペルー関係
(ア)11日,ボリビアTSJは,全会一致で,ペルー政府によるベラウンデ氏(ペルー人企業家)の引渡請求を認め,ボリビア外務省に対してその実施を委任した。他方で,ベラウンデ氏の弁護士を務めるバルダ氏は,自らの憲法・法律上の権利を侵害していることを理由に自らの権利の尊重を求める要請(Amparo Constitucional)が憲法裁判所において検討されている間は,同氏の引渡しは出来ない旨発言した。
(イ)13日,ボリビア憲法裁判所は,ベラウンデ氏による申請を却下し,TSJによる引渡し請求の承認を確認した。モルディス内務大臣は,TSJによる引渡し請求の承認後90日いないにベラウンデ氏のボリビアからの退去が実施される旨説明し,ペルー司法に対して,ベラウンデ氏の拘禁処分延長及び収監処分への変更をボリビア司法に要請することを提案した。
(ウ)24日,ベラウンデ氏が拘禁されていた自宅から秘密裏に逃げ出していたことが発覚したことをキンタナ大統領府大臣が発表した。本件の後,モルディス内務大臣が責任をとって辞任した他,セルート国家警察長官が解任された。
(エ)26日,チョケワンカ外相は,ベラウンデ氏の引渡しの手続をペルー政府は急がなかった旨発言し,ボリビア政府は5月14日付けの書簡を以てペルー政府に対して同氏の引渡しの日時と場所の指定を求めていたにも関わらず,ペルー政府からの回答がなかった旨発言した。これに対して,ペルー政府は,ボリビア司法に問題があった旨発言している。
(オ)28日,ベラウンデ氏は,ブラジルとの国境から100キロほど離れたベニ県マグダレナ市において逮捕され,29日早朝,ペルー国境のデスアグアデロ市においてペルー政府に引渡された。引渡しには,モラレス大統領自身が参加し,ボリビアはならず者の避難所では無い旨発言した。
ク 対ベトナム関係
18日,Nguyem Thi Doanベトナム副大統領が当地を訪問し,ガルシア・リネラ副大統領との間で,特に炭化水素とエネルギー分野におけるベトナムによる対ボリビア投資の可能性等に関して協議した。19日,同副大統領はモラレス大統領との会談を実施し,通信,農業,炭化水素,教育,エネルギー等の成長の可能性が見込まれる分野において協力して行くことに合意した。
(了)