ボリビア内政・外交(2015年4月)

平成27年5月31日

1 概況

(1) 内政

  • 1日,TSEは,チュキサカ県等の地方自治憲章の承認のための住民投票を7月12日に実施することを決定し,9日,ポトシ,コチャバンバ,ラパス及びオルロの4県においても同日に地方自治憲章承認のための住民投票を実施することを決定した
  • 3月29日に実施された地方選の各県の選挙裁判所(TED)による開票結果が発表され,その結果に基づけば,5月3日にベニ,チュキサカ及びタリハの3県において県知事選の決選投票が行われることになる旨発表された。
  • 13日,チュキサカ県地方TEDは,左派革命戦線(FRI)党が獲得した9070票の無効化を決定し,同決定により,ウルキス候補(社会主義運動(MAS)党)の得票率が50.84%となったために,同候補の勝利が確定し,決選投票は行われないこととなった。
  • 23日,マチャカ農民労働者組合連合(CSUTCB)幹事長は,6月に予定されているMAS党全国集会において,モラレス大統領の再立候補を憲法上可能とすることを提案すると発表したが,25日,モラレス大統領は,MAS党に対して,自らの後継者及び2019年大統領選挙の候補者を決定するための議論を開始することを要請した。

  • (2)外交

  • 9~12日,モラレス大統領はパナマを訪問し,第7回米州首脳会議及び同会議と並行して開催された市民サミット(Cumbre de los Pueblos)等に出席した。
  • 12~16日,ガルシア・リネラ副大統領は,フェルナンデス夫人と共に日本を訪問し,安倍総理表敬,日・ボリビア友好議連主催昼食会等の行事に参加した。
  • 15日,ブレナン米臨時代理大使は,外務省においてチョケワンカ外相と会談を行い,会談後,同臨時代理大使は,ボリビアとの関係改善を希望しており,そのための方策及び採用しうる手続きに関しても協議した旨発言した。
  • 16日,モラレス大統領は,ボリビア・カトリック中央評議会(CEB)とともに,7月8日~10日にかけて,法王フランシスコがボリビアを訪問予定である旨発表した。
  • 2 内政

    (1) 政府の動き

     先住民基金における汚職・横領問題

     (ア)7日,エルバス会計検査院長は,先住民基金はプロジェクト向けの資金の送金や支払い等に関する証拠書類を保有しておらず,71百万ボリビアーノス(約10百万米ドル相当)に及ぶ国家への経済的損失の嫌疑に関しても,後からの外部監査を行うことが出来ない状況にある旨発言した。

    (イ)8日,キスベルトCSUTCB元幹部は,ベニ県における先住民基金関連事業資金の不正利用の疑いから,ベニ県の刑務所に収監された。

    (ウ)9日,フエンテス先住民基金監査役は,少なくとも8件の刑事告発を検察庁に対して行った旨発表し,全ての嫌疑が明らかになるまで新たなプロジェクトの受け入れを停止している旨発表した。


     カルドナ・ボリビア陸軍大佐のスペインへの亡命申請

    (ア)21日,フェレイラ国防大臣とモルディス内務大臣は,それぞれ,スペインに渡航して政治亡命申請を行ったカルドナ陸軍大佐による,2009年のテロリズム事件発覚を立証するために使われた武器が,陸軍の第八師団からテロリズム事件の約一ヶ月前に持ち出されたものであるとの発言を否定し,カルドナ大佐は,精神面での問題を抱えている旨発言した。他方で,野党は本件大佐の発言を受けて,テロリズム事件は,サンタクルス県の野党指導者達を追い落とすことを目的に,中央政府によって仕組まれた事件であるということが再確認された旨発言している。

    (イ)22日,ボリビア国軍は,カルドナ大佐が作成した極秘報告書(中央政府の高官が第八師団から武器を持ち去り,テロリズム事件の公判に使用したという内容)は,2ヶ月以上前にボリビア国軍によって,カルドナ大佐が承認されていない活動等を行っていることを理由に,否定されていた旨発表した。他方で,同日,カルドナ大佐は,武器を持ち去ったのは,キンタナ現大統領府大臣,モンターニョ現下院議長及びラウル・ガルシア・リネラ(副大統領の兄)であると発言した。


     地方自治関連

    (ア)1日,最高選挙裁判所(TSE)は,チュキサカ県及び先住民自治区数カ所における地方自治憲章の承認のための住民投票を7月12日に実施することを決定し,ポトシ,コチャバンバ,ラパス及びオルロの4県等においても地方自治憲章の承認のための住民投票実施のための手続きが行われている旨発表した。

    (イ)9日,TSEは,ポトシ,コチャバンバ,ラパス及びオルロの4県においても7月12日に地方自治憲章承認のための住民投票を実施することを決定した。


     土地の不法占拠対策

    20日,内務省,検察庁及び司法府は,私的所有の権利,法的安定性の保障,不法占拠された土地のできるだけ早期の回復等の保障に努めることを内容とする土地の不法占拠・販売に対する取組実施のための省庁間協定に署名した。


    (2)2015年地方選挙

     選挙結果発表

    (ア)6日付け「ラ・ラソン」紙は,3月29日に実施された地方選の各県のTEDによる開票結果(開票率99.68%)を報じているところ概要以下の通り。以下の結果に基づけば,5月3日にベニ,チュキサカ及びタリハの3県において県知事選の決選投票が行われる。


    ラパス県知事選(開票率:99.99%)

     フェリックス・パチ(主権と自由(SOL.bo)):50.09%

     フェリパ・ウアンカ(MAS党):30.68%

    サンタクルス県知事選(開票率:99.79%)

     ルベン・コスタス(社会民主運動(MDS)党):59.45%

     ロランド・ボルダ(MAS党):31.78%

    コチャバンバ県知事選(開票率:100%)

     イバン・カネラス(MAS党):61.61%

     ヘンリー・パレデス(MDS党):23.03%

    ポトシ県知事選(開票率:100%)

     フアン・カルロス・セハス(MAS党):62.21%

     フェリックス・サントス・サンブラーナ(Potosi MOP):20.40%

    チュキサカ県知事選(開票率:99.81%)

     エステバン・ウルキス(MAS党):48.88%

     ダミアン・コンドリ(Chuquisaca Somos Todos:CST):42.51%

    オルロ県知事選(開票率:100%)

     ビクトル・ウーゴ・バスケス(MAS党):57.65%

     エドウィン・ジョニー・トーレス(Participacion Popular:PP):13.58%

    タリハ県知事選(開票率:99.68%)

     アドリアン・オリバ(Unidad Departamental Autonomista:UD-A):45.45%

     パブロ・カネド(MAS党):36.16%

    ベニ県知事選(開票率:100%)

     アレックス・フェリエル(MAS党):41.01%

     カルロス・デリエン(Nacionalidades Autonomas por el Cambio y Empoderamiento Revolucionario:NACER):31.35%

    パンド県知事選(開票率:100%)

     ルイス・フローレス(MAS党):65.73%

     ホセ・セバスティアン・ビジャビセンシオ(Pando Unido y Digno:PUD):27.64%

    ラパス市長選(開票率:100%)

     ルイス・レビージャ(SOL.bo):58.09%

     ギジェルモ・メンドーサ(MAS党):39.28%

    エル・アルト市長選(開票率:100%)

     ソレダ・チャペトン(国民統一(UN)党):54.49%

     エドガー・パタナ(MAS党):32.34%

    サンタクルス市長選(開票率:99.83%)

     ペルシ・フェルナンデス(Santa Cruz para Todos:SPT):42.39%

     ロベルト・フェルナンデス(連帯市民統一(UCS)党):24.27%

    コチャバンバ市長選(開票率:100%)

     ホセ・マリア・レジェス(MDS党):56.49%

     ルシオ・ゴンサレス(MAS党):36.35%

    ポトシ市長選(開票率:100%)

     ウィリアム・セルバンテス(MAS党):31.69%

     リチャード・アレホ・レオン(Potosi MOP):27.20%

    スクレ市長選(チュキサカ県)(開票率:100%)

     イバン・アルシエネガ(MAS党):45.02%

     ハイメ・バロン(FRI党):38.68%

    オルロ市長選(開票率:100%)

     エドガー・バサン(Movimiento Ciudadano de San Felipe de Austria:MCSFA):34.72%

     ロシオ・ピメンテル(MAS党):19.96%

     マルセロ・メディナ(INCA):19.03%

    タリハ市長選(開票率:100%)

     ロドリゴ・パス(Unidos para Renovar:UNIR):59.82%

     ロドリゴ・イバニェス(MAS党):21.16%

    トリニダ市長選(ベニ県)(開票率:100%)

     マリオ・スアレス(革命的民族運動(MNR)党):43.12%

     ロルフ・ケラー(MAS党):38.10%

    コビハ市長選(パンド県)(開票率:82.5%)

     ルイス・ガリー・リベイロ(PUD):49.10%

     アナ・ルシア・レイス(MAS党):46.13%


    (イ)TEDの開票結果によれば,339市のうちスクレ市及びポトシ市を含む225市(66%)においてMAS党が勝利した。なお,MAS党は,2006年の地方選挙では,今回敗れたエル・アルト市及びコチャバンバ市を含む220市で勝利を収めた。

    (ウ)16日,ラパス県MAS党総会が開催され,地方選挙においてラパス県知事,エル・アルト市及びラパス市長の職を獲得できなかったことから,地方選挙におけるラパス県内の選挙運動の担当者であったチョケワンカ外務大臣に対して批判がなされ,同外相はラパス県の選挙担当から外れることが要請された。


     チュキサカ県知事選挙関連

    (ア)6日,MAS党は,チュキサカ県知事選挙においてFRI党の候補が投票の数日前に候補から退いたために,同党が獲得した9,070票を無効かすべきであるとの訴えを行った。モラレス大統領は,チュキサカ県地方裁判所が規則を遵守することを求める旨発表した。

    (イ)13日,チュキサカ県地方選挙裁判所は,3月26日に採択された(投票後の4月7日にMAS党の上院議員によって発表された)地方裁判所決定61号に基づいて,FRI党が獲得した9,070票の無効化を決定した。同決定により,ウルキス候補(MAS党)の得票率が50.84%となったために,同候補の勝利が決定した。本件に関しては,ベラスコTSE長官が3日にFRI党の得票を無効とすることは出来ない旨発言していたが,ガルシア・リネラ副大統領を含むMAS党関係者からは,FRI党の得票数を計算に入れるべきではないとの発言が続いていた。

    (ウ)上記チュキサカ県地方裁判所の決定に対しては,野党のみならず法学者からも憲法・法律違反であるとの主張がなされており,同地方裁判所の判事は,一度投票された票を無効化するという決定は憲法や法律に記載されておらず,同裁判所の慣行による決定である旨発言している。

    (エ)13日,CST及びFRI党は本件決定に断固として反対する旨発表し,14日には,CST支持者による市民集会を実施し,13日に発表された集計結果の取り消し及びチュキサカ県地方裁判所判事の解任等を要請した。

    (オ)13日,コンドリ前県知事候補(CST)は,本件地方選挙裁判所の決定に関する判断をTSEに上告した旨発表したが,16日,TSEはチュキサカ県地方裁判所の決定を尊重する旨発表し,チュキサカ県において決選投票は行われない旨発表した。これを受けて,同日,コンドリ元候補は,自らの憲法・法律上の権利を侵害していることを理由に自らの権利の尊重を求める要請を行うことに加えて,国際司法に本件を告訴する旨発表した。


    (3)モラレス大統領再立候補問題

     23日,マチャカCSUTCB幹事長は,6月に予定されているMAS党全国集会において,モラレス大統領の再立候補を憲法上可能とすることを1つの目標とすることを提案すると発表した。これを受けて,MAS党の議員等からも同調する動きが出ている。


     25日,モラレス大統領は,MAS党に対して,自らの後継者及び2019年大統領選挙の候補者を決定するための議論を開始することを要請した。これに対して,野党は,モラレス大統領は,先住民団体や社会運動団体が求め始めているように2019年大統領選挙への再立候補を計画していると批判している。


     30日,シフエンテス上院議員(MAS党)は,もし国民がモラレス大統領及びガルシア・リネラ副大統領の再選を願うのであれば,その願いは考慮に入れられ,両者の再立候補を可能とするための憲法改正が推進されることになる旨発言した。


    (4)ボリビア司法及び司法改革関連

     1日,国連人権高等弁務官ボリビア駐在事務所は,2014年事業報告書を発表し,汚職撲滅の取り組み,食料安全保障の確保,教育・健康・飲料水へのアクセス等の分野において前進が見られたが,司法改革に関しては前進が見られなかったと評価した。


     17日,農業裁判所(TA)は大法廷を開催したが,ウアラチ元同裁判所長官及びフエンテス前長官の間でどちらが長官職に就くかに関しての解釈の違いが発生した。本件争いは,20日,フエンテス前長官が4名の判事の支持を得て勝利したことで決着した。しかし,22日,TA長官に就任できなかったウアラチ元長官は,フエンテス前長官を支持した4名のTA判事を議会による弾劾裁判にかけることを提案した。


    (5)コカ葉栽培・麻薬・人身売買関連

     16日,チリとの国境であるタンボ・ケマードにおいて,マラガ向けに輸出される鉄くずに隠された654.2キロのコカイン(48百万米ドル相当)が押収された。


     18日,サンタクルス市のプラン・トレス・ミル地区において,同地区でレストラン経営を行っている中国人企業家が射殺されているのが発見され,21日サンタクルス県警は被疑者2名を発表した。被疑者2名は,他の中国人からの依頼を受けて同企業家を暗殺したと考えられている。


     21日,オルロ県において122キロのコカインが押収された。


    (6)テロリズム事件関連

     24日,2009年のテロリズム事件において実刑判決を受けたトアソ氏(ハンガリー国籍)及びタジッチ氏(クロアチア国籍)は,ボリビアからチリに脱出したと発表した。


     27日,トアソ氏はブダペストにおいて記者会見を行い,刑事裁判においてはボリビア検察と合意の上で罪を認めたが,テロリズム行為に加担したことは決してなかったと発言し,ボリビアに残ることは安全ではないと考えたために,ボリビア政府等には通報せずに出国した旨発言した。加えて,本件テロリズム事件の首謀者とされ,警察の秘密オペレーションによって射殺されたロサ氏にもテロリズム行為に加担するという意図はなく,サンタクルス県の防衛を組織するためにボリビアに到着した旨付言した。


    (7)軍備増強関連

     18日,モラレス大統領は,国軍の士官学校創設124周年の式典において,国軍の軍備の刷新を発表した。フェレイラ国防大臣は,現政権の施政下で軍の近代化は進んでいるものの,未だ懸案となっている事項が存在しており,今後は,軍備の購入等を優先的に進めていく旨発表した。


     20日,フェレイラ国防大臣は,本件について再度発言し,軍備拡大は,抑止力の増加を目的としており,小銃や機関銃,機械化された大砲等の重火器に加えて装甲艦の購入が予定されていると述べ,中露に加えて,ブラジルやアルゼンチンからも提案がある旨発表した。また,国内の空域を監視するためのフランス製レーダー一式の購入は既に決定している旨発表した。その後,フェレイラ国防大臣は,新聞のインタビューにおいても戦闘機20機及び最新の小銃4万丁を購入し,軍備強化を行う予定であり,既にブラジル,フランス,アルゼンチン,中国及びロシアから販売の提案が来ている旨再度発表した。


     29日,フェレイラ国防大臣は,ボリビア政府はフランス製のレーダー20式を2億2百万米ドルで購入する旨発表し,その契約のため,モラレス大統領が5月にフランスを訪問する予定であると述べた。


    (8)2016年ダカール・ラリーのボリビア通過決定

     16日,2016年ダカール・ラリーの順路が発表され,2016年1月7~9日の三日間,ダカール・ラリーがボリビアを通過することが発表された。参加者達は,ラパス県からボリビアに入り,オルロ県を通過してポトシ県からアルゼンチンに向けて出国する予定となっている。マチカオ文化・観光大臣は,本件決定によって,ボリビアの観光が活性化することを望む旨発言した。

    3 外交

    (1)多国間関係

    モラレス大統領の米州首脳会合出席

    (ア)9~12日,モラレス大統領はパナマを訪問し,第7回米州首脳会議及び同会議と並行して開催された人民サミット(Cumbre de los Pueblos)等に出席した。

    (イ)10日に出席した人民サミットにおいて,モラレス大統領は,ボリビア多民族国が政治・経済・社会的主権をどのように獲得したのかに関する経験を共有し,アメリカ大陸は,侵略及び侵略者のいない,社会正義と連帯に基づく世界の模範となる大陸となるべきであると述べた。

    (ウ)11日,モラレス大統領は,第7回米州首脳会議に出席し,20分間の演説の中で,米国とラテンアメリカ諸国の間には,成功よりも失敗の歴史の方が多く存在しているが,ラテンアメリカ・カリブ地域は変貌を遂げ,自由と正義が支配する,唯一の大陸となった旨発言し,オバマ米大統領に対して,米州の国民と政府の声を聞くこと,ダブルスタンダード及び脅迫や圧力に基づく政治をやめることを要請し,米・キューバ間の関係再開のための対話に関しては,1960年からの経済封鎖が引き起こした経済的損失の補填をする必要があると述べ,また,キューバとの問題を解決しようとする一方で,ベネズエラを米国の安全にとっての脅威とみなす内容の米大統領令を発出するという米国の姿勢は,ALBA諸国を分断しマドゥーロ政権の転覆を意図するものであると述べた。

    (エ)第7回米州首脳会議出席後,モラレス大統領は,第7回米州首脳会議の最終宣言案が,保健医療を基本的人権として宣言していたこと,無条件での技術移転を謳っていたこと,ベネズエラに対する米大統領令の撤廃を求める条項が含まれていたこと及び市民が独自の通信メディアを保有するとの条項が含まれていたことから,米国とカナダの反対を受け,最終合意を達成することができず,公式な宣言を出すことができなかったと述べて,オバマ米政権を批判した。


    (2)二国間関係

     対日外交

     (ア)ガルシア・リネラ副大統領の訪日

     12~16日,ガルシア・リネラ副大統領は,フェルナンデス夫人と共に日本を訪問し,安倍総理表敬,日・ボリビア友好議連主催昼食会,田中JICA理事長との会談,住友商事主催の昼食会,上智大学におけるラウンド・テーブル等の行事を行った他,共同通信,EFE通信社及びMercado Latino紙等のメディア5社のインタビューを受け,また,京都・広島も訪問した。

     (イ)9日,ボリビア上院議会は,議会宣言040/2015-2016号を以て,外交関係樹立101周年等を記念して,日本国民によるボリビアの経済,社会及び教育分野での発展への貢献を認める宣言を行った。


     対欧州諸国・EU関係

     17~18日,ガルシア・リネラ副大統領はスペインを訪問し,自らの著作を発表した他,イグレシアスPodemos党党首との会談等を行った。


     対米関係

     (ア)15日,ブレナン米臨時代理大使は,外務省においてチョケワンカ外相と会談を行い,パナマにおいて開催された第7回米州首脳会合に関しての意見交換等を実施した。同臨時代理大使は,ボリビアとの関係改善を希望しており,そのための方策及び採用しうる手続きに関しても協議した旨発言し,「モラレス大統領も我々と同じ希望を有していることを望んでいる」旨述べた。一方で,両国の大使の交換の時期・期限等に関しては,同臨時代理大使は明言することを避けた。

     (イ)ガルシア・リネラ副大統領は,訪西中の「エル・パイス」紙のインタビューにおいて,米国との二国間関係に関して発言し,政権発足当時,米国政府との間では,友好的で信頼のある率直な関係を有していたことに触れ,そのような関係に戻ることを望んでいる旨発言し,米国の産業・技術面での発展を尊敬している旨述べる一方で,米国政府がボリビアに対して民主主義に関して教える必要は無く,我々も米国に対してそのようなことをする必要は無い旨発言した。


     対チリ関係

     (ア)10日,モラレス大統領は,「海への出口」問題に関して,サントス・コロンビア大統領より,同大統領が仲介役として間に入るという提案を2年前に受けていた旨発表した。

     他方で,現在本件は国際司法裁判所(ICJ)において審議されており,ICJにおいて解決されるべき問題であると発言した。

     (イ)13日,モラレス大統領は,「海への出口」問題に関するICJ訴訟のためにボリビア政府が契約した6名の国際弁護士及びボリビア関係者との会合を行い,翌14日,6名の国際弁護士のうち4名は,ボリビアの元外相5名とも会談を行った。

     (ウ)21日,モラレス大統領は,チリの元大統領達による「ボリビア政府はICJの判決を遵守する気があるのか」との質問に対して,「ボリビア政府はICJの判決をしっかりと尊重する」旨の発言を行った。


     対中国関係

     9日,フェレイラ国防大臣は,4年前から中国に保管されている16隻のはしけ船の保管料として,追加で15百万米ドルを支払う必要があることを発表した。フェレイラ大臣は,当地駐在中国大使とも本件に関して会合を行った。


     対ベネズエラ関係

     9日,モラレス大統領は,第7回米州首脳会議に出席するためにパナマを訪問する前に,経由地であるベネズエラにおいて,マドゥーロ大統領との会談を行った後,3月9日付の米大統領令の撤廃を求める街頭イベントにマドゥーロ・ベネズエラ大統領と共に参加し,革命的で反帝国主義的なベネズエラ国民への尊敬と祝意を表明し,加えて,国民の団結が帝国の敗北を引き起こすと述べ,ベネズエラ国民の団結の維持はラテンアメリカ及びカリブ地域の市民の勝利であると述べた。


     対バチカン関係

     (ア)16日,モラレス大統領はCEBとともに,7月8日~10日にかけて,法王フランシスコがボリビア(エル・アルト市,ラパス市及びサンタクルス市)を訪問予定である旨発表した。

     (イ)19日,ロアイサ新駐バチカン大使は,カトリック教会に対して,「海への出口」問題に関する詳細な説明を行う意思を有しているが,本件は既にICJにおいて議論されているため仲介を依頼することは無い旨発言した。

    (了)