ボリビア内政・外交(2015年3月)

平成27年4月30日

1 概況

(1)内政

  • 4日,検察は,ニナ元国家警察長官を麻薬取引に基づく違法な蓄財等の理由から予防拘禁するとの決定を行った。
  • 20日,地方選に参加していた民主統一(UD)が,選挙法上禁止されている,政党が独自に実施している世論調査結果を公表したことを理由に,最高選挙裁判所(TSE)はUDの政党登録の抹消及びベニ県内でUDの候補者228名の資格剥奪を決定した。
  • 29日,地方選挙が概ね平穏裡に実施された。
  • 31日,モラレス大統領は,レデスマ国防大臣を更迭し,フェレイラ元G77+中国首脳会合担当大使が国防大臣に就任する旨発表し,新大臣の就任式を実施した。

(2)外交

  • 10日,ボリビア国家亡命者審議会(Conare)は,マルティン・ベラウンデ(ウマラ・ペルー大統領の元顧問)のボリビアへの政治亡命申請を却下する決定を確定させた。
  • 12日,外務省は,米大統領命令による対ベネズエラ制裁に反対する旨の声明を発出し,ベネズエラ国民の主権と自決権を侵害する米国政府の介入主義的な行動を非難した。
  • 13日,ファミリアル世銀ラテンアメリカ・カリブ担当副総裁は,オレジャーナ開発企画大臣と200百万ドルに及ぶ融資に係る合意文書に署名した。
  • 20日,モラレス大統領は,チリのバチェレ第一期政権において,両大統領が「海への出口」問題を解決するための代表を指名していたことを初めて公表した。
  • 3月25日~4月1日,オレジャーナ開発企画大臣は韓国を訪問し,米州開発銀行(IDB)総会に出席した他,26日,韓国政府がボリビアのインフラ部門に対して総額250百万ドルの融資を実施する旨の包括合意書に署名した。

2 内政

(1)政府の動き

 先住民基金(Fondo Indígena)における汚職・横領問題

 (ア)3日,ボリビア検察庁は,先住民基金における汚職・横領問題がボリビア会計検査院によって告発されたことから,同基金の元幹部2名を逮捕した。逮捕された元幹部は,本件調査においては資金の支払いを許可していたアチャコジョ農村開発・土地大臣(同基金の理事会議長を兼任)も対象とすべきであると主張している。5日,担当判事は逮捕された元幹部のうち1名を収監し,残り1名を自宅拘禁とする旨決定した。

 (イ)13日,国会において先住民基金における汚職・横領問題に関しての疑惑を扱うためにアチャコジョ大臣を召喚して質疑を行ったが,質問を認められたのは与党社会主義運動(MAS)党の議員のみであり,事前に出されていた15の質問のうち4つに対してのみ同大臣は明確に回答を行った。同大臣は,自らが議長を務める理事会はプロジェクトの実施の段階において何ら権能を有していないこと,理事会には介入の権利等は与えられていないこと等を説明し,与党が多数を占める議会において同大臣への支持が明確に示されたが,野党議員からは本件は政治ショーでしかないとの批判が出ている。

 (ウ)31日,女性農民団体「バルトリーナ・シサ」の幹部は,告発を受けて,先住民基金の資金を自らの私的銀行口座に送金したことを認めたが,右は同基金のプロジェクト実施のマニュアルにおいても認められており,また,同基金の資金が私的な目的等に利用されたという事実はないと発言した。


 国防大臣の更迭

 (ア)31日,モラレス大統領は,レデスマ国防大臣を更迭し,フェレイラ元G77+中国首脳会合担当大使が国防大臣に就任する旨発表し,新大臣の就任式を実施した。

 (イ)レデスマ前大臣の更迭は,チリ北部で発生した大規模な洪水の被災者に対しボリビアからの緊急援助物資(飲料水1万3,000リットル)を引き渡す際,同大臣が着用していたベストにボリビアの地図と共に「海はボリビアのものである(EL MAR ES DE BOLIVIA.)」との刺繍が施してあったため,チリ政府から,人道的であるべき支援を政治に利用していると批難を浴びたことが原因であり,モラレス大統領はチリ及びアタカマ地域の人々に謝罪するとともに,コピアポで起こったことは大臣の個人的失態で,政府としての決定によるものではなかったと述べた。


 オスカル・ニナ元国家警察長官の逮捕

 (ア)4日,ボリビア検察は,ニナ元国家警察長官(2010年1月~11年3月)を麻薬取引に基づく違法な蓄財等の理由からサンタクルス県パルマソラ刑務所に予防拘禁するとの決定を行った。同元長官は,サナブリア元麻薬対策局長がパナマにおいて麻薬取引の疑いで逮捕されマイアミに移送された直後に辞任しており,麻薬関係の疑いで逮捕された2人目の警察高官となる。本件に関してモルディス内務大臣は,ボリビア政府は麻薬取引に対して断固とした処置をとる旨発言し,同元長官はメキシコの麻薬カルテル等ともつながりがあった疑いがある旨述べたが,ニナ元長官は自身の行動は全てジョレンティ元内務大臣(現国連大使)及びラダ元内務大臣(現大統領府社会運動調整担当次官)の了承を得て行っていた旨説明している。

 (イ)6日,モラレス大統領は,本件に関して,ボリビア警察と麻薬組織の間の関係が明らかであることに関して胸を痛めている旨発言したが,モルディス内務大臣は,ジョレンティ元大臣及びラダ元大臣等とニナ元長官との間のつながりを否定した。


 地方自治関連

 4日,TSEは,ラパス,コチャバンバ,チュキサカ,オルロ及びポトシ県の地方自治憲章承認のための国民投票を,6月28日に実施することを決定した。


(2)2015年地方選挙

 選挙運動期間

 (ア)2日,野党の複数の候補者が,モラレス大統領が2月28日に野党の県知事・市長とはともに仕事を出来ない旨発言したことに関して,国民の投票権を制限する行為であると批判したが,3日,ガルシア・リネラ副大統領は大統領の発言を確認し,野党勢力は政治闘争を行い,モラレス大統領に対立するだけであり,共に仕事はできないと発言した。

 (イ)6日,チョケワンカ外務大臣は,先住民基金の汚職・横領問題にウアンカ・ラパス県知事候補(MAS党)が巻き込まれている件に関して,ウアンカ候補の評価を落とすための試みであり,その背後にはおそらく「白い手」があると述べた。

 (ウ)10日,ベラスコTSE長官は,3月の地方選挙に米州機構(OAS),南米諸国連合(UNASUR)及び米州選挙機関連盟(UNIORE)の選挙監視団が参加する旨発表し,加えて「野党の県知事・市長とはともに仕事をしない」旨の大統領の発言に関しては,検察のみが調査・判断を出来る旨発言した。

 (エ)19日,モラレス大統領は,ラパス県において600以上の住民組織及び労働組合の指導者達との会合を行い,MAS党のラパス県の候補者への支持を要請した。

 (オ)20日,本年地方選に参加していた政党連合であるUDが,ボリビア選挙法上禁止されている,政党が実施している世論調査の結果を公表したことを理由に,TSEはUDの本年地方選における政党登録の抹消を決定し,ベニ県内において立候補していた228名の候補者の資格が剥奪されることになった。他方で,MAS党市議会議員候補が同種の違反を行ったとして,UDがMAS党を告発していたが,UDの訴えは受け入れられなかった。

 (カ)21日,政党登録が抹消されたUDのスアレス前ベニ県知事候補は,革命的民族運動(MNR)党指導部と協議を行い,MAS党がベニ県において勝利することを阻止するための連立の可能性を模索したが合意することが出来ず,23日,市民団体NACERとの間で合意に至り,同市民団体の候補であったマエ氏は健康上の問題を理由に辞職し,スアレス前ベニ県知事候補は,カルロス・デリエン氏がマエ氏の公認の候補となる旨発表した。

 (キ)25日,ベニ県の憲法保証担当判事が,UDが行っていた自らの権利の尊重を求める要請を認め26日に本件を扱うための審問を行う旨一度発表したにもかかわらず,同日夜にベラスコ法務大臣はUDによる要請は認められなかったと記者会見において発表した。スアレス前ベニ県知事候補は,ベニ県の憲法保証担当判事に対して中央政府からの圧力がかけられたとして政府を批判している。

 (ク)27日,TSEは,メンドサ・ラパス市長候補(MAS党)のツイッター上での発言に書き込みを行ったことを理由に,チュキミアTSE判事の判事資格を停止し,地方選挙に関わる全ての活動から同判事を離反させることを決定した。


 世論調査動向

 (ア)Equipos Mori社が,3月1~12日に,ラパス市内21地区,エル・アルト市内7地区及びラパス県内農村部10市において,18歳以上の投票権を有する男女3,000名を対象に実施した,地方選挙における投票動向(質問:「もし今日が地方選挙の日なら,誰に投票しますか?」)に関する世論調査においては,ラパス県,ラパス市及びエル・アルト市長選において野党候補が勝利するとの情勢が示され,ラパス市及びエル・アルト市においては野党勢力が市議会においても過半数を占めるとの予測が示された。

 (イ)Ipsos Apoyo Opinion y Mercado社が,2月27日~3月13日に,国内全9県の県庁所在都市及びエル・アルト市,都市部9ヶ所及び農村部84ヶ所において,18歳以上の投票権を有する男女3,000名を対象に実施した,地方選挙における投票動向(質問:「もし今日が地方選挙の日なら,誰に投票しますか?」)世論調査においては,知事選ではコチャバンバ,オルロ,ポトシ,チュキサカ及びパンドの5県においてMAS党が優勢を維持している一方で,ラパス,サンタクルス,ベニ及びタリハの4県においては,野党候補が勝利する可能性が示された。

 (ウ)Equipos Mori社が,3月8~19日に,国内全9県の県庁所在都市及びエル・アルト市,都市部9ヶ所及び農村部等を含む計104ヶ所において,18歳以上の投票権を有する男女3,000名を対象に実施した,地方選挙における投票動向(質問:「もし今日が地方選挙の日なら,誰に投票しますか?」)世論調査においては,コチャバンバ県,ポトシ県,オルロ県,チュキサカ県,パンド県においてMAS党候補が勝利し,ラパス県,サンタクルス県,タリハ県,ベニ県,ラパス市,エル・アルト市,サンタクルス市,コチャバンバ市党の主要都市で野党勢力が勝利するとの結果を示した。


 選挙結果及び投票後

 (ア)29日,地方選挙が実施され概ね平穏裡に実施され,同日夜時点での世論調査会社IPSOS社による地方選挙の投票開票速報が以下のとおり発表された。

ラパス県知事選(開票率:96.2%)

 フェリックス・パチ(主権と自由(SOL.bo)):52.2%

 フェリパ・ウアンカ(MAS党):29.2%

サンタクルス県知事選(開票率:93.3%)

 ルベン・コスタス(社会民主運動(MDS)党):59.2%

 ロランド・ボルダ(MAS党):31.4%

コチャバンバ県知事選(開票率:99.6%)

 イバン・カネラス(MAS党):60.3%

 ヘンリー・パレデス(MDS党):22.4%

ポトシ県知事選(開票率:96.7%)

 フアン・カルロス・セハス(MAS党):57.0%

 フェリックス・サントス・サンブラーナ(Potosi MOP):23.7%

チュキサカ県知事選(開票率:98.6%)

 エステバン・ウルキス(MAS党):47.4%

 ダミアン・コンドリ(Chuquisaca Somos Todos:CST):47.1%

オルロ県知事選(開票率:99.0%)

 ビクトル・ウーゴ・バスケス(MAS党):54.5%

 エドウィン・ジョニー・トーレス(Participacion Popular):15.4%

タリハ県知事選(開票率:94.0%)

 アドリアン・オリバ(Unidad Departamental Autonomista:UD-A):46.6%

 パブロ・カネド(MAS党):35.6%

ベニ県知事選(開票率:90.7%)

 アレックス・フェリエル(MAS党):38.5%

 カルロス・デリエン(Nacionalidades Autonomas por el Cambio y Empoderamiento Revolucionario:NACER):33.6%

パンド県知事選(開票率:65.4%)

 ルイス・フローレス(MAS党):65.6%

 ホセ・セバスティアン・ビジャビセンシオ(Pando Unido y Digno:PUD):28.0%

ラパス市長選(開票率:95.8%)

 ルイス・レビージャ(SOL.bo):59.2%

 ギジェルモ・メンドーサ(MAS党):39.3%

エル・アルト市長選(開票率:85.3%)

 ソレダ・チャペトン(UN党):55.7%

 エドガー・パタナ(MAS党):31.5%

サンタクルス市長選(開票率:97.9%)

 ペルシ・フェルナンデス(Santa Cruz para Todos:SPT):42.2%

 ロベルト・フェルナンデス(連帯市民統一(UCS)党):23.4%

コチャバンバ市長選(開票率:100%)

 ホセ・マリア・レジェス(MDS党):56.7%

 ルシオ・ゴンサレス(MAS党):36.4%

ポトシ市長選(開票率:91.3%)

 ウィリアム・セルバンテス(MAS党):30.8%

 リチャード・アレホ・レオン(Potosi MOP):27.9%

スクレ市長選(チュキサカ県)(開票率:98.6%)

 イバン・アルシエネガ(MAS党):45.4%

 ハイメ・バロン(左派革命戦線(FRI)党):38.2%

オルロ市長選(開票率:93.9%)

 エドガー・バサン(Movimiento Ciudadano de San Felipe de Austria:MCSFA):35.2%

 マルセロ・メディナ(INCA):18.9%

タリハ市長選(開票率:90.4%)

 ロドリゴ・パス(Unidos para Renovar:UNIR):59.0%

 ロドリゴ・イバニェス(MAS党):27.7%

トリニダ市長選(ベニ県)(開票率:78.3%)

 マリオ・スアレス(MNR党):42.8%

 ロルフ・ケラー(MAS党):36.1%

コビハ市長選(パンド県)(開票率:66.3%)

 ルイス・ガリー・リベイロ(PUD):48.2%

 アナ・ルシア・レイス(MAS党):46.1%

 (イ)30日,モラレス大統領は地方選挙の出口調査結果を受けて,MAS党には地方リーダーが不足しており,数名の候補に対して行われた汚職の告発と男性至上主義が,地方選挙におけるMAS党候補の敗北を促した要因であるとの見解を示し,その一方で,汚職に対しての懲罰票を投じたことを理由にラパス市民を祝福した。

 (ウ)30日,コロンOAS選挙監視団団長(元グアテマラ大統領)は,投票日の数日前に候補者の参加資格が取り消されることはあり得ないと述べ,その点及び投票結果の運搬等に関してのボリビア国内法を改正する必要がある旨発言した。これに対して,ベラスコTSE長官は,コロン団長の発表は,「単なる発表でしかない」旨発言してその重要性を否定した。


(3)司法関連

 2日,バカレサTCP判事がTCP長官に選出された。チョケ前TCP長官は,先住民の考えでは,先住民指導者は一期しかその職務に就けないことになっていることから,一年の任期が過ぎたことを理由にTCP長官の職務を他の判事に譲る旨述べていた。


(4)コカ葉栽培・麻薬・人身売買関連

 3日,国際麻薬統制委員会(INCB)は,2014年報告書を発表し,2012年から13年にかけて,ボリビアはコカ葉の栽培を10.8%減少させたことを発表したが,一方で,ボリビア政府が減少の目標としている,栽培面積20,000ヘクタールは,ボリビア国内で認められている咀嚼やそれ以外のコカ葉の使用という目的を満たすにはあまりある数量であると指摘している。

 12日,ラパス県においてコカ葉咀嚼の日を祝賀する式典が開催され,出席したチョケワンカ外相はコカ葉の合法化を達成するための新たな措置をとる旨発言した。


(5)「エル・ディアリオ」紙記者の拘禁

 11日,ラパス県地方裁判所は,「エル・ディアリオ」紙のキスベルト記者が,弁護士による弁護等を認められていないこと等を理由に同記者の拘禁処分を取り消し,即時釈放を命じたが,翌12日同記者はサンペドロ刑務所から出所して,同記者の取材道具が返却されておらず取材源の秘匿等の観点から非常に心配している旨発言した。同記者は,7日,当地において大きな話題となっている乳児の死亡事件の被疑者の1人に取材を行おうとしたところ逮捕され拘禁されていた。

3 外交

(1)多国間関係

 インスルサOAS事務総長のボリビア訪問

 (ア)9~11日,インスルサOAS事務総長がボリビアを訪問し,モラレス大統領と会談を行った。同会談において,同事務総長は,チリとの間の「海への出口」問題に関して他国に説明するために現政権が使用している「海の本"Libro del Mar"」を手交されたが,OASの中立性の観点から本件に関しての発言はできない旨述べた。

 (イ)9日,インスルサ事務総長は,ベラスコTSE長官等のTSE関係者と会談を行い,選挙立会人に対する訓練と必要物資の分配等のロジスティックス面での助言を行う一方で,ボリビアにおいて注目を浴びている,モラレス大統領及びガルシア・リネラ副大統領が繰り返し行っている「野党の県知事・市長が選出された場合には,それらの県知事・市長とは協力しない」旨の脅迫じみた発言に関しては,重要なのは事前の発言ではなく選挙後に何をするかであるとして,本発言を重要視はしなかった。


 世銀による防災・気候変動分野への融資

 12日に当地を訪問したファミリアル(Jorge Familiar)世銀ラテンアメリカ・カリブ担当副総裁は,13日,モラレス大統領の立ち会いの下,オレジャーナ開発企画大臣と200百万ドルに及ぶ融資に係る合意文書に署名した。同融資は防災及び気候変動についてボリビアの法的・制度的枠組みを強化するために使用される。以下3点に重点を置いている。ファミリアル世銀副総裁は,本署名式において,今回の融資には多くの「初めてのこと」がある旨強調した。本融資は,世銀がボリビアに出資した額としては過去最大(「一番」)であり,「(相手国政府への)財政支援」も「初めてのこと」,また,ボリビア政府がIBRDの資金を受けるのも「初めてのこと」である旨述べ,また,モラレス政権下でボリビアが達成した経済成長を強調した上で,同政権が社会正義目標を強化することを表明している限り,国際社会はボリビアを支援していくことを約束すると述べた。


 国連麻薬委員会

 9日,モルディス内務大臣は,第58回国連麻薬委員会に出席し,UNASURまたはラテンアメリカ・カリブ諸国連合(CELAC)が関与する形で麻薬対策の地方戦略を策定することを提案した。


 ALBA首脳会合

 17日,モラレス大統領は,ベネズエラにおいて開催されたALBA首脳会合に出席した。


(2) 二国間関係

 対日関係

 3月25日~4月1日,オレジャーナ開発企画大臣は, IDB総会出席のために韓国を訪問した際に,日本銀行(注:日本国際協力銀行(JBIC)のことと思われる)と韓国で協議した旨述べ,同銀行がボリビアに対して信用与信枠の「制限なく(sin limites)」融資を実施し,我々は,同銀行が関心を持つインフラ分野,エネルギー分野及び水資源分野で共に働いていくことになるだろうと述べた。


 対米関係

 (ア)12日,ボリビア外務省は,米大統領命令による対ベネズエラ制裁に反対する旨の声明を発出し,ベネズエラ国民の主権と自決権を侵害する米国政府の介入主義的な行動を非難し,オバマ米大統領のこれらの反民主主義的な行動は,ラ米諸国の平和と安定を脅威にさらすものであると発表し,米国政府に対し,過去の介入主義的な習慣を放棄し,対話,国際法及び平和の尊重を通してのみ,国民に恩恵を与える結果をもたらすことができるということを理解することを要請した。13日,モラレス大統領は本件に関して発言し,4月に予定されている米州首脳会合の前にベネズエラに対して謝罪するよう,オバマ米大統領に要請する発言を行った。

 (イ)19日,米国政府は,麻薬取引の管理に関しての国際的戦略に関する報告書を発表し,右報告書において,ボリビア政府は麻薬対策に関する国際的な合意を遵守しておらず,合法に栽培されたコカ葉が違法ルートに流れてしまうとの現状を指摘した。これに対して,モルディス内務大臣は,米国政府が行っていることは,両国間の大使交換という偽善的なよびかけにさらに障害を増やすということであると批判した。


 対EU及び欧州諸国関係

 (ア)3月25日~4月1日,オレジャーナ開発企画大臣は, IDB総会出席のために韓国を訪問した際に,欧州投資銀行との協議を実施し,ボリビアが持続的開発のため,欧州投資銀行から毎年200百万ユーロ(貸し付け利子1.2~1.3%)を借り入れる予定である旨及び道路部門への投資に利用予定である旨発表した。

 (イ)オレジャーナ大臣は,韓国に於いてフランス援助庁(AFD)とも協議を実施し,AFDからの融資を得た場合には,再生可能エネルギー分野へ投入する予定である旨発表した。


 対チリ関係

 (ア)20日,モラレス大統領は,チリのバチェレ第一期政権において,両大統領が「海への出口」問題を解決するための代表を両大統領とも指名しており,ボリビアにとっての太平洋への出口となりうる地域もバチェレ大統領と共に訪問したことを初めて公表したが,チリ政府が否定している。

 (イ)23日,「海の日」の式典において,モラレス大統領は演説を行い,ボリビア政府は常に対話及び両国民間の和解を重視する旨,チリ政府に対してよびかけ,他方でチリ政府が国際的な紛争の平和的解決のためのメカニズムを避けようとしていると非難した。他方で,モラレス大統領はその後テレビ番組のインタビューにおいてチリとの間での領土交換を行う可能性を否定した。

 (ウ)30日,メサ元大統領(「海への出口」問題に関する国際司法裁判所(ICJ)訴訟に関する歴史的・法的説明のための特別担当)は,ドイツにおいてドイツ外務省中南米局長との会合を行い,「海への出口」問題に関するICJ訴訟に関しての説明を行った。


 対ウルグアイ関係

 1日,ガルシア・リネラ副大統領がバスケス新ウルグアイ大統領の就任式に出席した。


 対ペルー関係

 (ア)10日,ボリビア国家亡命者審議会(Conare)は,マルティン・ベラウンデ(Martin Belaunde。ペルー人企業家。ウマラ・ペルー大統領の元顧問)のボリビアへの政治亡命申請を却下する決定を確定した。モルディス大臣は,ボリビアの移民法上,ボリビアでの必要な手続き等を済ますために同氏に対して30日間の猶予が与えられる旨発言し,ベラウンデ氏はボリビア最高裁判所によって現在外出禁止命令を受けているが,同命令は3月21日に失効予定であり,同日には自由な状態で出国することが可能となる旨述べた。

 (イ)17日,チョケワンカ外務大臣は,ペルー政府が要請したベラウンデ氏の国外追放を行うことは出来ないが,ボリビア最高裁判所は,同氏の予防拘禁の期間を60日間延長するとの要請の可能性を検討していると述べた。19日,ボリビア最高裁判所は,ペルー政府の要請に従って,ベラウンデ氏の予防拘禁の期間を60日延長することを決定した。

(ウ)20日,ベラウンデ氏は,11日にボリビアConareが行った決定が自らの憲法・法律上の権利を侵害していることを理由に自らの権利の尊重を求める要請を行った。加えて,22日には,本件において採るべき手続きが採られず,自らの権利が尊重されなかったことを理由に,米州人権裁判所に対しても本件を告訴した旨発表した。


 対中関係

 5日,モラレス大統領は,中国企業との間の道路拡張のための署名式において,中国企業が受注したいくつかの案件において問題が発生していることから,担当閣僚に対しては当地中国大使館との協議を行うよう指示した旨発言し,ボリビア国内で20~30の中国企業が活動している旨及び中国政府を信頼している旨述べた。


 対韓国関係

 3月25日~4月1日,オレジャーナ開発企画大臣は韓国を訪問し,26~29日まで韓国の釜山において開催されたIDB総会に出席した他,26日には,韓国政府がボリビアのインフラ部門に対して総額250百万ドルの融資を実施する旨の包括合意書に署名した。同融資は,貸し付け利子0.1%,償還期間20年とされており,オレジャーナ大臣は,本合意は持続的開発のため両国にとって有益な貿易を行う契機となる旨述べ,「韓国は重要な貿易相手となる旨発言した。


 対亜関係

 26日,サンチェス炭化水素・エネルギー大臣は,デ・ビード亜公共事業大臣との間で原子量の平和的利用に関する協力に合意した。

(了)