ボリビア内政・外交(2025年11月)

令和7年12月1日

1 内政

(1)上院および下院の新議長

 7日、下院は、キリスト教民主党(PDC)のロベルト・カストロ氏を新議長に選出。また上院は同党のディエゴ・アビラ氏を上院議長に選出した。

(2)ルイス・アルセ氏、MASから除名

 7日、社会主義運動(MAS)の指導部は、ルイス・アルセ大統領の党員資格剥奪を決定した。この決定は、党員から提供された資金の管理における汚職疑惑、MASが前回の選挙で得た選挙結果に対する責任、経済危機を解決できなかったことなどに基づくものである。

(3)新内閣発足

 9日、ロドリゴ・パス大統領は新内閣の閣僚を任命した。うち3名は、ドリア・メディーナUNIDAD(統一同盟)元大統領候補に近い人物である。

(4)新政権に対する世論調査結果

 12日、Ipsos CiesMori社は、10月24日から11月5日まで、国内の主要都市およびオンラインで「新政権への期待」に関する調査を実施した。 400人の回答者の51%がパス政権に楽観的、36%が中立、13%が悲観的であると回答した。また、回答者の60%以上が「前向きな姿勢または建設的な期待」を持っていると結論付けており、特にサンタクルス県でその傾向が強い。また、同アンケート結果によると国民から最も支持されている施策は、米国との関係回復(回答者の 71% が支持)、燃料補助金の集中化(65%)、省庁の削減(80% が支持)である。

(5)MAS党の動向

 13日、選挙管理委員会のデータによると、社会主義運動(MAS)の党員数は1,134,260人から1,040,578人(8%減、93,682人減)に減少した。 しかし、同党は依然として国内で最大の組織構造を持つ政党である。

(6)副大統領自身の政党

 18日 、ララ副大統領は、キリスト教民主党(PDC)から距離を置き、自身の団体「ニューアイディアwithフリーダム」から独自の候補者を立てて地方選挙に参加すると発表した。

(7)新鉱業大臣

 18日、パス大統領は、マルコ・カルデロン・デ・ラ・バルカ氏を新鉱業・冶金大臣に任命した。カルデロン・デ・ラ・バルカ氏は、同国の全国中規模鉱業協会(Asociación Nacional de Mineros Medianos)の事務局長を務めていた。前政権の17の省庁は、現在15となった。

(8)新内閣の変遷

 19日、パス政権は、最高法令5488号により、行政機関を再編し、省庁の数を17から15に削減した。最も顕著な変更点は、観光・文化・民俗・食文化省の新設、計画省と環境省の統合、農村開発省の廃止と一部が生産開発省に統合されたことである。
内閣の15省庁のリストは以下の通りである:
  1. 外務省、b) 大統領府、c) 内務省、d) 国防省、e) 開発計画・環境省、f) 経済・財政省、g) 炭化水素・エネルギー省、h) 生産・農村・水資源開発省、i) 公共事業・サービス・住宅省、j) 鉱業・冶金省、k) 司法・制度的透明性省、l) 労働・雇用・社会保障省、 m) 保健・スポーツ省、n) 教育省、o) 持続可能な観光・文化・民俗・食文化省
 

(9)司法大臣の交代

 20日、オビエド内務大臣は、最高裁判所(TSJ)が発表した報告書に基づき、フレディ・ビドヴィッチ前司法大臣が少なくとも2つの罪を犯したとして、3年間の懲役刑(2015年)の判決が確定していることを確認した。これによりビドヴィッチ前司法大臣は解職され、代わりにガルシア氏を任命したが、ララ副大統領は、ガルシア氏に対して複数の訴訟が係属していると非難した。21日、パス大統領は記者会見で、司法省が「国家テロリズム」を行うための手段であったとして、同省の閉鎖を発表した。

(10)2026年地方選挙について

  27日、最高選挙裁判所(TSE)は、2026年地方選挙の日程を発表し、選挙日が3月22日であることを確認した。決選投票が行われる場合は、4月19日に実施される。政治連合の登録と候補者登録は、2025年12月12日から22日まで行われる。 候補者リストは1月9日に公表される予定。
 

2 外交

(1)アメリカでの国際機関との会談

 1日、パス次期大統領は国際通貨基金(IMF)のクラーク最高責任者と会談し、ボリビアの経済改革を推進する意向を表明した。また、米州開発銀行(IDB)の代表者とも会談した。

(2)パナマでの会談

 3日、パス次期大統領は、パナマでムリーノ大統領と会談し、両国間の「理解と協力」の新たな段階を開始することを目指した。
 4日、パス次期大統領はアメリカを訪問した後、パナマでラテンアメリカ開発銀行(CAF)グラナドス総裁と会談した。その後、グラナドスCAF総裁は2025年から2030年までの資金調達計画が提示。最大31億ドルの資金を投入することを想定していると述べ、そのうち15%(4億6500万ドル)は短期的に支出される見通しだと発表した。
 

(3)大統領就任式への各国参加者

 ボリビア外務省は、11月8日に開催される大統領就任式に52の国際代表団が出席することを確認した。出席する国家元首は、チリのガブリエル・ボリック、アルゼンチンのハビエル・ミレイ、パラグアイのサンティアゴ・ペーニャ、エクアドルのダニエル・ノボア、ウルグアイのヤマンドゥ・オルシ。
米国:クリストファー・ランダウ米国政府次官
チリ:ガブリエル・ボリック大統領、グロリア・デ・ラ・フエンテ外務次官
中国:李国英水資源大臣
ドイツ:ヨハン・ダヴィド・ワデフル外相
ブラジル:ジェラルド・アルクミン副大統領
アルゼンチン:ハビエル・ミレイ大統領
エルサルバドル:フェリックス・ウジョア副大統領
ペルー:エルネスト・アルバレス大統領
日本:堀井巌外務副大臣(特派大使)

(4)チリとの関係

 8日、チリのボリック大統領が就任式に出席したのは、2006年にエボ・モラレス大統領が初当選した際のリカルド・ラゴス大統領以来である。ボリック大統領は、両国国民の「兄弟愛」のために引き続き努力したいとの意向を表明した。
 18日、パス大統領は「チリとの関係を変化させる必要がある」とし、ボリッチ大統領と通信・インフラ戦略に関する対話について提案した。しかし、ボリビアの海洋権益についての問題は「放棄できない」とした。
 26日、アラマヨ外相は、ラパス駐在のフェルナンド・ベラスコ・チリ総領事と会談した。両者は、二国間関係の回復に向けて「段階的に」前進させることが望ましいという点で意見が一致した。

(5)アルゼンチンとの関係

 8日、ボリビアとアルゼンチンの首脳による会談で、ミレイ大統領は、自国の経験を考慮し、経済危機に対処するためにパス大統領に支援を申し出た。

(6)エルサルバドルとの関係

 9日、エルサルバドルのウジョア副大統領は、自国がパス政権を支援する用意があると述べた。また、8日の公式行事の後、様々な分野での関係強化を目的としたボリビア・エルサルバドル商工会議所の設立に向けた関係構築が開始されたと報告した。

(7)アメリカとの関係

 10日、ボリビア政府は、米国市民に対する観光・ビジネス目的のビザ要件を撤廃し、スターリンクの衛星インターネット事業免許を承認すると発表した。一方、米国はボリビアとの貿易・投資協定の推進を発表。両国間のオープンスカイ協定も予想される。
 同日、クリストファー・ランダウ米国副国務長官は、燃料供給を最優先とする資金調達を目的としたボリビア政府と各多国間機関との交渉を支援すると表明した。両国間の外交関係回復が見込まれるものの、DEA(麻薬取締局)のボリビア復帰については、まだ具体的な進展はない。ランダウ米国副国務長官は、MAS政府とイランの間で合意された協定を「憂慮すべき」と評し、その内容に関する情報の開示を求めた。
 19日、アラマヨ外相は、ボリビアと米国の代表団が、ビザ、オープンスカイ、経済・医療分野での支援について協議を進めていることを明らかにした。

(8)ブラジルとの関係

 10日、ブラジルのアルクミン副大統領は、パス大統領に、ルーラ大統領からの書簡を手渡した。これは、あらゆる分野における二国間関係の強化を目的としたものである。アルクミン副大統領は、ボリビアのメルコスール加盟を強調した。

(9)ペルーとの関係

 10日、ペルーのアルバレス大統領は、パス新政権は「ボリビアにおける社会主義と暗黒時代の終焉」を意味すると述べ、二国間関係の改善を期待していると語った。

(10)ドイツとの関係

 10日、ドイツのヴァデフル外相は、パス大統領と、リチウム、希土類、投資に関するドイツの関心について会談した。同外相は、ボリビアですでに活動しているオーストラリアとドイツのコンソーシアムがリチウム鉱床の探査を計画していると述べた。また、投資の安全確保の必要性を強調した。同外相は、サンタクルスのカマチョ県知事氏とも会談し、連邦制国家モデルについて話し合った。

(11)ベネズエラとの関係

 11日、在ボリビアベネズエラ大使館は、今後の新たな手続きとアポスティーユの停止を発表した。今後は10月30日までに開始された手続きとパスポートの交付のみ対応する。

(12)イスラエルとの関係

 11日、イスラエルのサーアール外相はパス大統領と会談し、2年間の外交断絶を経て、二国間関係の回復を発表した。

(13)OASの決定

 13日、米州機構(OAS)ラムディン事務総長は、同機構が、行政機関および立法機関の強化を通じて、ボリビアが危機を克服するための包括的な支援を行う用意があると述べた。

(14)インドとの関係

 13日、ララ副大統領は、二国間関係の強化と技術・社会開発のための協力促進を目的として、インドのロヒット・ヴァドワナ大使を訪問した。ヴァドワナ大使は、信頼、革新、相互発展に基づく二国間関係の強化を図り、デジタルトランスフォーメーションと制度強化の過程にインドがボリビアに同行する意向を再確認した。

(15)欧州連合との関係

 19日、欧州連合(EU)およびチーム・ヨーロッパ加盟国(公的開発銀行を含む)の大使らは、アラマヨ外相との会談後、パス大統領が主導する今後の新たな段階において、EUがボリビアの主要パートナーとなることを表明した。

(16)COP30におけるボリビア

 19日、ララ副大統領とフスティニアーノ開発企画大臣は、COP30の議長に指名されているコレア・ド・ラゴ大使と会談するため、ブラジルのベレン市を訪れた。フスティニアーノ大臣は気候変動対策の資金調達の重要性を強調したが、関連規制の改善が必要であることを認めた。

(17)イベロアメリカ諸国外相会議

 26日、アラマヨ外相は、オンラインで開催されたイベロアメリカ諸国外相会議に出席し、多国間主義へのコミットメントを再確認するとともに、次期国連事務総長がイベロアメリカ諸国出身者となるよう支持する立場を表明した。

(18)イランとの合意と軍の新役割

 27日、パス大統領は、ボリビア軍事組織(FFAA)が「新たな段階」に入り、「イデオロギー的秩序」を優先しないことを表明し、イラン共和国と締結した協力協定などについて、「全く情報が得られていない」と疑問を呈した。2023年7月にMAS政権下で防衛と安全保障の協力拡大を図るために署名された覚書であったが、パス大統領は、軍が新たなアプローチを取り、「新たな段階」へと移行し、その任務にアマゾンの保護、保護地域、国の貯水池の保護を含めることで、「カーボンクレジット」を通じて経済面での持続可能性を確保すると新たな方針を述べた。
 

3 日本との関係

 10日、堀井外務副大臣(特派大使)は、パス大統領とアラマヨ外相とサンタクルスにおいて会談した。会談では、経済安定化のためのJICAによる約1億ドルの融資の継続を支持し、パス大統領は立法議会での承認を得るため、融資の申請期限延長を要請した。
 17日、アラマヨ外相は、二国間の友好と協力関係をさらに深めることを目的として、小野村大使と会談した。