ボリビア内政・外交(2025年10月)

令和7年11月1日

1 内政

(1)2025年大統領選挙関連


ア 無効票キャンペーン
 5日、エボ・モラレス前大統領の支持団体は、決選投票に向けて無効票キャンペーンを開始した。当初、モラレス前大統領は「投票先は各自で決めるべき」と述べていたにもかかわらず、8月の総選挙に引き続き、無効票を呼びかけることとなった。モラレス前大統領は現在、両大統領候補が右派であることから、これらの層にとっては「決選投票は存在しない」と主張している。
イ 世論調査結果(Red Unoテレビ局)
 10日、キャプチュラ・コンサルティングが実施し、Red Unoテレビ局が発表した世論調査結果は以下のとおり。キロガLIBRE候補(42.9%)、パスPDC候補(38.7%)、未定(10%)、無効票(5.58%)、白票(2.6%)
ウ 世論調査結果(UNITELテレビ局)
 10日、IPSOS – Ciesmoriが実施し、UNITELテレビ局が発表した世論調査結果は以下のとおり。キロガLIBRE候補(44.9%)、パスPDC候補(36.5%)、未定(9.3%)、無効票(5.6%)、白票(3.7%)
エ ロドリゲスAP候補の発言
 14日、ロドリゲスAP候補は、「大衆派と左派の結束に専心する」と述べ、さらにエボ・モラレス元大統領の指導部とはまったく関係がないこと、また同元大統領とは直接的な関係もないことを強調した。
オ 決選投票の暫定結果
 19日、最高選挙裁判所(TSE)の予備速報開票システム SIREPRE の予備結果が発表され、キリスト教民主党(PDC)のロドリゴ・パス候補の当選が確実となった。開票率約 98% の時点で、パス候補は 54.6% の得票率を獲得し、45.4%のキロガ候補を 9 ポイント近く上回った。米国国務省、アルゼンチン、エクアドル、チリ、パラグアイ、ウルグアイなど各国大統領が、パス大統領の誕生に祝福をした。
カ 決選投票結果に対する国際的な反響
(ア)マルコ・ルビオ米国務長官は、パス次期大統領の選挙勝利を祝賀するプレスリリースを発表。二国間投資の促進と国際犯罪組織との闘いにおける関係改善に向け、             協力する用意があることを表明した。
(イ)アルゼンチンのミレイ大統領は、ボリビアの新大統領を祝福し、ボリビアは経済開放に向けて再び自由世界に入るだろうと述べた。
(ウ)ブラジルのルーラ大統領はパス次期大統領を祝福し、二国間関係は引き続き自国政府の優先事項であると述べた。
(エ)ペルーのヘリ大統領は、ビデオ通話でパス次期大統領を祝福した。
(オ)チリのボリック大統領は、パス次期大統領を祝福し、両国間の協力へのコミットメントを再確認した。
(カ)パラグアイ政府は、ソーシャルメディアでの声明を通じて、パス次期大統領が率いるボリビアの新政府を祝福した。
(キ)ウルグアイ外務省はコミュニケで、パス次期大統領への祝意を表明した。
(ク)エクアドル政府はパス次期大統領を祝福し、両国の協力、統合、友好関係の強化に向けた取り組みを継続する決意を表明した。
(ケ)ベネズエラのゴンサレス野党指導者、はパス次期大統領の誕生を祝福し、パスの勝利はボリビア政治における「変化への意志」の表れであると述べた。
(コ)パナマ政府とムリーノ大統領はパス次期大統領と電話会談を実施し、二国間の友好関係を再確認した。
(サ)スペインのペドロ・サンチェス大統領はパス次期大統領の選挙勝利を祝福した。同大統領は、強固かつ持続的な二国間協力の維持を望んでいると述べた。
(シ)中国外務省の報道官は記者会見で、「ボリビアは中国の戦略的パートナーである」と述べた。
(ス)ベネズエラのマチャド野党指導者はパス次期大統領にビデオ通話で祝意を伝えた。パス大統領は、ベネズエラの民主主義回復のための闘争に参加する意志があるとし、11月8日の就任式に彼女を招待した。

キ 国内での反響
(ア)ホルヘ・キロガLIBRE候補は、TSEの速報結果を受けて、PDCのパス候補の勝利を認めた。
(イ)アルセ大統領は、大統領選挙決選投票の結果について勝利したパス候補を祝福し、TSEの今選挙にかかる働きを称賛した。
(ウ)モラレス元大統領は、PDCの勝利を「エボ票」によるものと発表。同元大統領によれば、この結果はPDCへの支持というよりも、キロガ候補への拒否と、選挙プロセスから排除された支持者たちの憤りを反映しているという。
(エ)ドリア・メディーナUNIDAD元候補はSNSで、中道派と評するパス次期大統領への支持を表明した。
(オ)カマチョ・サンタクルス県知事は、パス次期大統領を祝福すると同時に、ボリビア国民を団結させ、一日も早く危機から脱却するよう同候補に要請した。
(カ)メサ元大統領は、パス次期大統領の勝利は「20年にわたる歴史的な政権の失敗に終わりを告げるもの」だと述べた。
 
  
ク  公式最終集計結果
  22日、TSEは決選投票の公式集計を100%完了し、パス候補率いるキリスト教民主党(PDC)が54.96%の得票率でボリビアの新大統領に選出されたことを発表した。
 

2 外交

(1)アンデス共同体理事会

 1日、第31回アンデス共同体外相理事会 定例会議において、ソサ外相は、アンデス共同体(CAN)加盟国に対し、この地域に影響を与える危険性に注意を払い、結束を維持するよう要請した。 同外相は、アンデス諸国に影響を及ぼす経済戦争につながる可能性のある米国の通商政策に言及した。また、ソサ大臣は、米国との最近の事件について、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領への支持と連帯を表明した。

(2)中国との関係

 2日、ルイス・アルセ大統領は、ソーシャルネットワークXを通じて、中華人民共和国の国民と習近平国家主席に建国76周年を祝賀した。アルセ大統領は、連帯と相互尊重に基づく二国間協力の議題を通じて、中国との結束を強調した。
24日、中国の習近平国家主席は、ロドリゴ・パス次期大統領に祝意を表明し、両国の深い友好関係を強調した。
31日、王亮駐ボリビア中国大使は、中国は今後もボリビアと協力し、二国間関係は相互利益のために「新たな段階」に到達すると確信していると述べた。 また、エドマン・ララ副大統領は、中国大使と会談し、中国のハン・ジェン副首相から祝辞を受けた。

(3)米国との関係

 15日、米国政府は、アメリカ大陸におけるパートナー拡大戦略の中でボリビアに言及した。これは、決選投票に進んだ2人の候補者が米国との関係強化を表明したことを受けたものである。米国は、今回の選挙を転換の機会と捉えている。 一方、エボ・モラレス前大統領は、社会運動は決して屈服せず、反植民地主義、反帝国主義の原則を守り続けると警告した。
23日、マルコ・ルビオ米国国務長官は、パス次期大統領と電話会談を行い、安全保障と経済的繁栄に関する二国間協力を強化する米国政府の意思を表明した。
29日、パス次期大統領は米国を訪問し、会談を行い、国内の燃料とドルの供給を確保すると発表した。ビジネスと資金調達の強化を図るため、さまざまな会談が行われる予定である。

(4)就任式招待国

 22日、パス次期大統領は、自国政府が「民主主義を原則とする」国々と国際関係を構築すると述べた。非民主主義の例としてベネズエラを挙げた。また、米国との関係を回復することを改めて表明した。 またパス次期大統領は、ニカラグア、キューバ、ベネズエラの代表者を就任式に招待しないことも確認した。

(5)米州ボリビア同盟

 24日、米州ボリバル同盟(ALBA-TCP)が、パス次期大統領の「親帝国主義的かつ反ラテンアメリカ的」な行動を理由に、ボリビアを同組織から除名したことが明らかになった。パス大統領はこの決定を軽視したが、ベネズエラ外相から厳しい批判を、28日、マドゥロ大統領は、米国との親密な関係から、次期大統領を「裏切り者」かつ「植民地主義者」と非難した。