海外安全対策情報(2025年7月~9月)

令和7年11月19日

1 社会・治安情勢

 ボリビア国内各地では、政治的要求に基づく各職業団体、労働組合、市民団体、学生等によるデモ行進、集会、道路封鎖等の抗議活動が頻繁に行われており、抗議活動では大きな音を出すためにダイナマイトの小片を爆発させることも多く、衝撃波で怪我人が発生することがあります。
 8月の大統領選挙では得票率から大統領が決まらず、10月19日の決選投票でロドリゴ・パス新大統領が選出されました。20年続いた反米左翼政権から正反対の親米政権への政権交代となりましたが、これまでのところ政治的な混乱が起きることは無く、新政権への期待感から平穏な社会・治安情勢が続いています。しかし新政権でも、前政権から続く外貨不足に伴うガソリン等の深刻な物資不足に関して、根本的な解決策を見出すのは難しい状況です。今後の政権運営によっては、前政権支持者やエボ・モラレス元大統領支持者による政府への抗議活動等が発生することも懸念されます。外出の際は最新情報の入手に努め、時間に余裕をもって行動するようにしてください。また、道路封鎖箇所やデモ等で多数の人が集まっている場所には近づかないようにしてください。

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向

(1)犯罪の傾向

 ラパス県エルアルト市においては、ケチャップ・砂かけ強盗、首締め強盗、置き引き、スリ及び偽警察官による犯罪が発生しているほか、拳銃や刃物を使用した強盗や女性を狙った強姦が発生しているため十分な警戒が必要です。サンタクルス県サンタクルス市においては、車やバイクで歩行者等に接近し、所持品を強奪する強盗事件が発生しています。
 エルアルトやサンタクルス等、都市部での一般的な防犯対策としては、市場・繁華街等人混みに行く際には多額の現金を持たず、貴重品はリュックサックなど目の届かないところには入れないようにし、またなるべく単独ではなく、複数人で行動することが重要です。また自身を狙っている不審者がいないか、周囲を見渡す等の警戒を怠らない意識も必要です。それでも万が一犯罪に遭遇した場合、犯人が刃物を所持している事例が多いので、無理な抵抗はしないようにしてください。そして被害後は可能な限り速やかに、警察へ被害届けをしてください。
 アルセ前大統領政権下で逮捕状が出されたため、モラレス元大統領が潜伏しているとされるコチャバンバ県チャパレ郡及び同郡に隣接するカラスコ郡においては、同元大統領支持派による反政府活動が続いています。コカの葉の大規模な違法栽培が行われている両郡では、元々麻薬関連の犯罪が多発している中で、反政府活動で警察機能が制限されており、非常に危険な状況となっています。またブラジル・パラグアイとの国境地帯では麻薬密輸組織による違法活動が多数報告されています。チャパレ郡、カラスコ郡やブラジル・パラグアイとの国境地帯は観光客が頻繁に訪れるような地域ではなく、これまで日本人を含めた外国人の被害報告はありませんが、麻薬密輸組織同士の抗争に伴う誘拐や殺人などの凶悪犯罪が多発しています。同地域を訪れる際には細心の注意が必要です。
 
(2)邦人被害事案
  
 8月中旬、ラパス市内の観光地キリキリ展望台で、観光中の日本人女性が偶然知り合った女性と談笑していたところ、麻薬取り締まり捜査中の警察を名乗る男性が登場。日本人女性は警察と称する男性から身分証の提示と財布を出すように言われ、隣の女性から「捜査に協力するべき」と言われるままに財布を差し出すと、財布を調べる間に米貨100ドルとデビットカードが盗まれていた。
  • 偽警察官手口の特徴は、偽警察官の登場前に偽警察官の仲間である女性(まれに男性)が被害者に接触して関係を構築。偽警察官登場後、仲間の女性が本物の警察官に対するような態度を取るので、被害者は偽警察官を本物と錯誤してしまうというもの。
  • 同事件で被害者は氏名、生年月日とパスポート番号を偽警察官に教えてしまったが、氏名、生年月日とパスポート番号だけでは悪用される心配は無い。
 
(3)邦人以外の被害事案
 
  1. 8月12日、サンタクルス市内の住宅内で3名の男性の他殺体が発見された。被害者らはブルガリア国籍、セルビア国籍、3人目は身分証が見つかっていないがタトゥーなどから外国籍とみられる。
  2. 8月19日、サンタクルス市内で犯罪取締部隊がブラジル国籍の男性を職務質問中、同男性から銃撃を受けた。犯人は逃走中。警察は、同犯人はブラジルマフィアから殺人を依頼され、サンタクルス市内に潜伏していたとみている。
  3. 8月21日、サンタクルス市内で男性2名が路上で銃殺された。同2名は(誘拐・脅迫事件発生状況に記載されている)7月に連続して発生した誘拐事件に関与していたとみられる他、麻薬、殺人、詐欺、誘拐などの犯罪歴があった。また8月25日にはサンタクルス市内の排水口で、手首を縛られた状態で死亡している男性が発見された。
  4. 9月中旬、サンタクルス市内で多発した麻薬関係の誘拐や殺人事件に関与しているとして、市内在住の男性宅に警察が向かったところ、銃撃戦になり警官1名が負傷した。この犯人は少なくとも昨年から続く13件の事件に関与しているとされ、自身への逮捕状を出したベニ県の裁判所所長殺害を殺し屋へ依頼した容疑もあり、同所長には警察の警護が就いている。
  5. 10月9日、オルロ発ラパス行きの長距離バス内で、車内で仲良くなった人から飲み物や食べ物をもらい、それらに含まれていた睡眠薬で眠らされた後、荷物の一部を盗まれる事件が発生。今年に入って同犯罪事例は7件目で、いずれもオルロ~ラパス間の長距離バス内で起きている。被害者は主に高齢者のボリビア人で、外国人観光客の被害は報告されていない。警察は、見ず知らずの人に対して警戒し、飲み物や食べ物を受け取らないよう呼び掛けている。
  6. ボリビア内務省は10月2日の「国際非暴力デー」に合わせて、暴力犯罪統計データを発表。今年上半期の一般犯罪は、昨年の同期と比べて全体的に減少。しかし窃盗・強盗罪は昨年の同時期より6.54%(214から273件)、殺人罪は146.63%(214件から528件)の増加となっている。

3 テロ・爆弾事件発生状況

 現在、特段の情報はありません。

4 誘拐・脅迫事件発生状況

  1. 7月22日、サンタクルス市内で、犯罪取締局の制服を着た男4人が麻薬取り締まり捜査を装い、43歳の男性を無理やり車両に乗せ誘拐。現在も行方不明。
  2. 7月29日、サンタクルス市内で61歳の男性が上記同様の方法で誘拐された。現在も行方不明。
  3. 8月19日、ラパス市内で29歳男性が複数の男性により無理矢理車両に押し込まれて誘拐されたが、翌日には警察に保護された。警察によると、誘拐状況が監視カメラに記録されており、映像から誘拐に使用された車両の所有者を特定し、迅速な犯人逮捕に至った。犯人らは麻薬犯罪歴があり、誘拐された男性が警察に犯人グループの情報を渡したことによる報復とみられている。

5 日本企業の安全に係わる諸問題

現在、特段の情報はありません。