ボリビア内政・外交(2025年6月)

令和7年7月1日

1 内政

(1)2025年大統領選挙・総選挙関連

ア 世論調査結果(UNITELテレビ局)
   1日、IPSOS CIESMORIが実施しUNITELテレビ局が発表した世論調査結果は以下のとおり。同調査は5月22日~26日の期間、全9県の都市部及び地方の2,500人を対象に実施された。ドリア・メディーナUNIDAD候補(19.1%)、キロガLIBRE候補(18.4%)、ロドリゲスAP候補(14.2%)、レイエスAPB-SÚMATE候補(7.9%)、パスPDC候補(4.3%)、フェルナンデスFP候補(3.7%)、デル・カスティージョMAS候補(2.3%)、コパMORENA候補(1.7%)タピアNGP候補(1.0%)、ロドリゲスADN候補(0.5%)、無効票(10.5%)、投票態度未定(10%)、白票(6.5%)。
イ 世論調査結果(El Debar紙)
   18日、SPIE CONSULTINGが実施しエル・デベール紙が発表した世論調査結果は以下のとおり。同調査は6月7日~1 4日の期間、全9県の都市部及び地方の2,500人を対象に実施された。ドリア・メディーナUNIDAD候補(24.02%)、キロガLIBTRE候補(22.07%)、ロドリゲスAP候補(14.69%)、レイエスAPB-SÚMATE候補(9.39%)、パスPDC候補(5.56%)、フェルナンデスFP候補(2.56%)、デル・カスティージョMAS候補(1.69%)、コパMORENA候補(1.41%)タピアNGP候補(0.65%)、ADN候補(当時未定、0.57%)、無効票(4.54%)、投票態度未定(3.01%)、白票(9.84%)。
ウ 大統領候補者
   5日、憲法裁判所(TCP)は、MTS(第三システム運動、人民同盟(AP)連合の一部)の問題を解決する憲法上の裁定を発表し、その後、最高選挙裁判所(TSE) は、アンドロニコ・ロドリゲス上院議長を候補者に擁立するAPの候補者登録を認める決定を下した。
 6日、Libertad y Progreso ADN(自由進歩同盟・国民民主行動同盟)は、パウロ・ロドリゲスの大統領候補指名を撤回し、代わりに、パベル・アラセナ(土木技師)を 候補者とすることを決定した。
 

(2)エボ・モラレス元大統領動向

ア 
 
 2日、憲法裁判所(TCP)長官は憲法判決1010/2023および007/2025の有効性を確認し、大統領を含む行政、立法、司法における選出者の任期を連続・不連続に関わらず2期までとし、3期目を禁止する判決を下した。
イ 

 
 同日、エボ・モラレス元大統領支持者の複数の社会団体が道路封鎖を開始し、初日の時点で少なくとも13地点での道路封鎖が実施され、交通や食糧・燃料を運ぶトラックの通行に影響が出た。警察はいくつかの地点の封鎖を解除することに成功したが、内務大臣はエボ派が8月の選挙を妨害しようとしていると非難している。
ウ 

 
 5日、PAN-BOL党のリーダーとエボ・モラレスの弁護士は、6月3日付の憲法裁判所決議0246/2025-CA/S(5月7日付の同党の法人格を無効とするTSEの決定の有効性を確認する)を認めないと発表。また、法務省は、テロ、公的な犯罪の扇動、公共サービスの安全に対する攻撃、交通機関の安全に対する攻撃、労働の自由に対する攻撃、憲法上の決議への不服従、国家財産の破壊または損傷、選挙犯罪の8つの犯罪について、エボ・モラレス元大統領を刑事告発した。
エ 
 
 9日、モラレス元大統領による道路封鎖が6つの県で継続、特にコチャバンバ県では道路封鎖が約40カ所に達したことから、国家警察と軍が秩序回復のため共同作戦を展開。
オ 
 
 12日、サンタクルスで、最高選挙裁判所(TSE)が「民主主義のための第4回会合」を主催し、大統領、副大統領を含む4つの国家機関の最高責任者、および選挙に出馬している候補者が参加した。この会合は、8月17日の選挙を保証するという主要目標に焦点を当てた13項目の文書で締めくくられた。
カ 
 
 14日、モラレス元大統領支持団体は、道路封鎖等の抗議デモ活動者と軍・警察・市民の衝突により6名が死亡したことを受け、道路封鎖の「人道的停止」を宣言。道路封鎖排除に伴う衝突による被害状況は、203名が負傷、死亡者6名(内警察4名、市民2名)。

(3)司法大臣の辞任、新大臣の就任

 14日、セサル・シレス司法大臣の辞任が公表された。16日、アルセ大統領は、ジェシカ・パオラ・サラビア・アトリスタインを新たに司法・透明性大臣に任命した。シレス元司法大臣は、最高裁判所判事を解任するための複数の裁判官による操作を行ったとして19日逮捕された。
 

2 外交

(1)パレスチナ・イスラエル・イランとの関係

 5月30日、ボリビア外務省は、イスラエル・パレスチナ地域での紛争激化以来、73人の観光客を含む120人のボリビア国民をイスラエルとパレスチナから避難させる手配を行ったと発表した。
 9日、ボリビア外務省は、イスラエル占領軍による人道支援船マドリーン号の拿捕を、国際法およびパレスチナ人民の基本的権利に対する重大な侵害であると強く非難する声明を発表した。
 13日、ボリビア外務省は、テヘランに対するイスラエルの爆撃を非難する声明を発表し、国家の主権を侵害する一方的な行為であると断じ、 この地域の暴力の激化を防ぐよう国際社会に緊急の呼びかけを行った。
 18日、ボリビア外務省は、イランとイスラエルの紛争に関する領事活動の状況について発表。6月13日より、ボリビア大使館(イスラエル在住のボリビア国民を支援)およびイラン大使館は、領事支援のための緊急電話番号を開設している。
 21日、ボリビア外務省は、「イスラエルの要請による米国による」イラン領内の施設への爆撃を強く非難する声明を発表した。同様に、アルセ大統領も、イランの「核施設に対する米国の恣意的な攻撃」を強く非難するSNS投稿を行った。

(2)米州ボリバル同盟との関係

 9日、米州ボリバル同盟(ALBA-TCP)は、ボリビア政府の平和と民主主義に向けた取り組みを評価し、憲法秩序と、自由と自己決定権をもって課題解決を図るボリビア国民の主権的権利に対する支持を改めて表明する声明を発表した。同同盟は、制度、社会的平和、多民族国家ボリビアの主権を尊重するよう呼びかけ、ボリビア国民の反植民地主義、先住民族、大衆主義の志向と、自らの運命を築く不可侵の権利を再確認した。

(3)中国との関係

 11日、ソサ外相とWang Liang駐中国大使は3つの覚書等に署名した:1)無償または無利子返済協力の促進、およびグローバル開発イニシアチブ関連資金へのアクセスに関する覚書、2)戦略的プロジェクトへの1億人民元(約1,390万米ドル)の寄付に関する協定、3)外交アカデミーへの機器の寄贈。また、緊急事態対応のための50万米ドルの寄付も発表された。署名式は、ボリビア独立200周年および中国・ボリビア国交40周年を祝う行事の一環として開催された。
 26日、Wang Liang駐中国大使はオマル・ユフラ下院議長を迎え、中国とラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の関係の進展、二国間協力等について話し合った。中国大使館の発表によると、両者はボリビア独立200周年と、中国抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年記念について意見交換を行った。
 

(4)ベネズエラとの関係

 28日、ボリビア外務省の発表によると、アルセ大統領が、麻疹の症例増加という緊急事態に対処するための戦略を調整するため、国際機関、友好国、多国間機関に対して積極的な外交を展開するよう要請したところ、ベネズエラが最初にこれに応じた。
 ベネズエラ政府から寄贈された10万回分のSRPワクチンは同日到着。アルセ大統領は感謝のメッセージを投稿した。
 

(5)ウィパラ旗の国際的承認

 30日、国連総会は、ボリビアとベネズエラが提出した決議を採択。ウィパラ旗を先住民族の文化的アイデンティティと価値観の象徴として認め、公共の場や機関での更なる活用を要請した。また、世界中の先住民族に対する差別の撲滅に向け、理解と対策の強化を呼びかけている。