2025年3月 ボリビア経済情勢

令和7年4月1日

1 経済指標など

      当月 前月(最終更新値)  累計  前年同月 (24年3月) 前年累計 
(1)   インフレ率  1.71% 1.26% 5.0% 0.46% 0.74%
(2)   都市部失業率  - 3.37% 
(2024年11月)
- 3.74% -
(3)  外貨準備高  -
19億7,600万
(2024年12月)
- 16億7,700万 -
(4)  対外債務  -
133億4,500万
(2024年9月)
- 133億7,700万 -
(5)  対内債務  -
199億7,300万
(2023年11月)
- - -
(6)  天然ガス輸出額  - 8,300万
(2025年2月)
- 1億6,100万 4億4,700万
(7)  鉱物資源全体の輸出額  -
2億6,000万
(2025年2月)
- 2億 -
(8)  燃料輸入額  -
2億
(2025年2月)
- 3億900万 7億700万
(9)  貿易収支  -
▲1億7,200万
(2025年2月)
3億3,000万
(2025年1~2月)
2億1,300万 5億6,400万
(10)  金輸出額  - 2,200万
(2025年2月)
- 7,500万 -
             
    ※累計:本年1月~当月(最終更新月)の累計          
 
※前年累計:前年1月~前年同月の累計
※金額通貨:USD(米ドル)
 

2 経済関連動向等

(1)2025年1月~2月のボリビア貿易収支データ

 ボリビア国家統計局(INE)の報告によれば、2025年1月~2月ボリビアの対外貿易は、輸出額が11億7,000万米ドル、輸入額が14億9,700万米ドルとなり、3億2,700万ドルの貿易赤字を記録した。この結果は、気候変動、国内の社会不安、政府が実施した輸出制限など、複数の要因に基づくものである。
 輸出総額は前年同期比で8%減少し、主に、石油・ガス(38%減)、製造業(26%減)、農業(8%減)などの主要部門の減少が要因となった
 他方、鉱物資源は輸出が42%増加し、これは国際価格の上昇により亜鉛と銀の輸出がそれぞれ26%と65%増加したことよるものである。
 輸入額も前年同期比で8%の減少し、主に原材料(輸送機器及びその部品36.7%減)と資本財(17.3%減)の減少が要因となっている。INEは、これらの減少は、主に国際輸送費や取引コストの増加、供給国経済のインフレ率上昇に起因すると説明している。

(2)燃料購入にかかる暗号通貨の利用

 3月11日、ドル不足によりボリビアが直面している燃料不足の緩和に向け、政府は最高政令5348号を発令し、ボリビア石油公社(YPFB)による公的金融機関およびその他金融機関からの外貨調達を承認した。併せて、国内市場における燃料供給を満たすことを目的として「暗号通貨」を用いた取引も許可した。
 なお、S&P Global Commodity Insightsによると、2024年7月に発見されたマヤヤ油田(ラパス)が、世界で同年に発見された油田・ガス田のトップ10にランクイン。ボリビア政府によれば、2028年より生産を開始し、ボリビアの燃料需要の8割をカバー可能となるとのことであるが、複数の専門家は政府が発表した潜在的な埋蔵量を確定するための追加掘削の未実施や、ガスを精製所まで輸送するためのガスパイプラインが未整備であるなどの理由から懐疑的な見方を示している。

(3)燃料不足緩和に向けた10の対策

 3月12日、アルセ大統領は、全国レベルでの燃料不足を緩和するため、10の対策を実施すると発表した。また、炭化水素への補助金廃止や通貨の切り下げ措置は行わないとしつつも、ボリビアが一時的なドルの流動性不足に陥っていることは認めた。なお、政府が発表した10の対策は以下のとおり。
(1)行政機関の公用車両の使用を50%削減する。
(2)ガソリンスタンドでの燃料供給可能拠点数をを50%から80%に増加する。
(3)国家炭化水素庁(ANH)は、国内各給油所の公式情報を配信するモバイルアプリケーションを導入し、各給油所での燃料販売状況に関するリアルタイム情報を提供する。
(4)公共交通機関への燃料供給を行う特定のガソリンスタンドを設定する。
(5)農業部門への燃料供給を優先的に行うプログラムを実施する。
(6)すべての基本サービスおよび医療サービス、自然災害などの緊急事態への燃料供給を保証する。
(7)すべての県において、民間・公共部門の継続的な労働時間を確保しつつ、必要と考える場合は在宅勤務の選択を認める。
(8)各県の教育省の評価に従って、オンライン授業の導入を許可する。
(9)ラパスでは、ミ・テレフェリコ(ロープウェイ)の開館時間を午前5時から午後11時まで延長する。
(10)国境、給油所、貯蔵タンクの管理を強化し、燃料の漏出を防止する。

(4)原子力研究炉の建設

 ボリビア原子力機構(ABEN)によって当国エルアルト市に建設中である、原子力技術研究開発センター(CIDTN)の原子力研究炉(RNI)は、ボリビア建国200周年を記念する2025年中に稼働を開始する見込みであり、鉱業、農業、保健、環境管理などあらゆる分野で利用される予定である。
 この原子炉が稼働すれば、核レベルの精度での土壌分析、照射による作物の品種改良、がん治療用の放射性医薬品の生産、戦略的な流域の水質管理をすることが可能になる。本プロジェクトは現在、重要な局面を迎えており、今後国際的な専門家と協力のうえボリビアの専門家研修の実施、運用開始前の機器の最終組み立てと技術テストが進められる予定である。

(5)ボリビアの2025年1月~3月累計インフレ率

 INEによれば、2025年3月までのインフレ率は累計5%を記録し、過去33年間で最も高い数値となっている。政府は2025年の年間インフレ率を7.5%と予測しているものの、3月までですでにその数値の67%に達している状況である。
 なお、ボリビア中央銀行(BCB)の財務諸表によると、2024年の通貨発行量は昨年比20%増(669億7,700万Bsから803億1,000万Bsとなり、133億3,300万Bsの増加)となっている。これは過剰な公共支出による財政赤字を埋める必要性が増加したことによるものであり、一部の経済アナリストは、経済で流通する通貨の量が増加すると、通貨のさらなる切り下げとインフレリスクの発生につながると指摘している。

(6)ボリビア企業のFOODEX参加

 3月11日~14日にかけて日本で開催されたFOODEX2025(アジア最大級の食品・飲料展)にボリビア企業6社が参加し、「オーガニックな食品」をコンセプトに、キヌア、栗、蜂蜜、フリーズドライ・フルーツなど多様な製品を紹介した。
なお、参加企業6社は以下のとおり。
Lipez Gourmet、Andean Forest Food Biotech、the Bolivian Food Company (EBA)、Central de Cooperativas Agropecuarias Operacion Tierra R.L.(Cecaot)、キヌア生産者協会(Anapqui)、アンデス食品企業(ANFE)