ボリビア内政・外交(2025年3月)

令和7年4月1日

1 内政

(1)モラレス元大統領の動向

 3月2日、モラレス元大統領は「勝利のための戦線党(FPV)」との合意は、まだ出馬を意味するものではないため、エボ派のMAS党員に対してFPVへの党員登録を控えるよう述べた。
 3月5日、最高選挙裁判所(TSE)は、モラレス氏のMAS党からの離党を正式に決定した。また、TSEはMAS党の2334人(MAS党の過激派総数の0.2%)の離党も登録した。
 3月10日、MAS党のアルセ派とエボ派が、ラパスのMAS党事務所のひとつをめぐって衝突が発生。アルセ派グループはFPV党がモラレス氏の選挙キャンペーンに利用するのを阻止するために事務所を占拠したが、エボ派グループも反撃したことで、暴力事件となり、これらの事務所の所有権をめぐって議論がされている。
 3月13日、TSEは、FPV党とPAN-BOL党が2020年の選挙で得票率3%を達成できなかったため、政党としての法的地位がないという判決を下した。TSEは両党に対し、5日以内に上訴を提出するよう通知し、その後、TSEは10日以内に判決を下すとしている。

(2)総選挙関連

 3月4日、外務省とTSEは、選挙人員と機材の確保を通じて、海外での投票を保証する協定に署名した。
 3月7日、総選挙に関する法律案の分析を担当する委員会のひとつが、討論の義務付けと男女平等に関する法律案を承認。また、同委員会は、予備選挙結果の伝達システムを確保するための法案を承認した。

(3)アルセ大統領の動向

 3月14日、アルゼンチンメディア「La letura P」は、コチャバンバの新聞「Los Tiempos」を運営するヴァルディヴィア企業グループ、アルセ大統領の親族、パラグアイのBotrading社の3者が関与する汚職疑惑について報道した。
 3月31日、MAS-IPSPは第4回全国党大会を開催し、規約の半分以上を変更した。大きな変更点は、大統領選候補者になるために必要な年功序列の年数を引き下げたこと、また、モラレス氏の名前が党員名簿から削除され、その代わりに政治的手段の創設組織が承認されたことである。4月11日には臨時総会が開かれ、総選挙に出馬する大統領・副大統領候補の二名が選出される予定。

(4)野党側選挙動向

 3月7日、大統領予備候補のメディーナUN党首は、野党連合の候補者を決定するアンケート前にクエジャルSC国立大学長、グラナド元ラパス市長、ベルス前上院議員と選挙協定に署名すると発表した。
 同日、メディーナ氏は、野党連合の立候補者を決定する調査を近日中に決定すると発表。その費用(約5万米ドル)は、同氏とキロガ元大統領が負担する。
 3月8日、クエジャルSC国立大学長が大統領選から撤退し、メディーナ氏を支持すると発表した。
 3月13日、予備候補の一人であったブランコ・マリンコビッチ実業家が選挙戦からの撤退を表明した。同氏はキロガ元大統領を支持し、MAS党を打ち負かすことのできる候補者を中心に団結するよう呼びかけた。
 3月13日、大統領選候補のレィエス・コチャバンバ市長が政治団体であるCONDEPAと提携し、ラパスに選挙事務所を開設した。また、JICAからの融資(当館注:「新型コロナウイルス機器対応のための緊急支援借款」のこと)についても言及し、「TSE主催の第3回政治サミットにおいて、この融資を可決し、TREPと海外投票の保証に使うことで両院議長も含めて政治的に合意されたにも関わらず、日本のJICAからの融資でさえ議会で承認されていない。」と苦言を呈した。また、レイェス氏は、IMFからの融資に頼るというキロガ元大統領の立場を批判し、新たな負債の獲得に反対を表明した。
 3月19日、レイェス市長は、大統領選におけるチュン神父との連携を発表し、世論調査の結果に従って立候補を決めるとした。

(5)カマチョ・サンタクルス県知事の裁判

 3月9日、カマチョ県知事の弁護側は、違憲訴訟の認容が通知されたこと、また、この判決を国際条約に沿うように修正するよう米州人権委員会が勧告したことから、憲法裁判所(TCP)がカマチョ県知事にかかるテロ嫌疑を違憲と宣言することを期待すると述べた。政府は、地方裁判所刑事法廷(Tribunal de Sentencia)がTCPの決定を待たずに、4月から5月の間に判決を出すだろうと見込んでいる。
 3月17日、カマチョ県知事は、野党連合の予備候補者から辞退を表明した。同知事は、今後も野党連合の一員であり、(野党連合アンケート調査の)勝者を支持すると述べた。

(6)大雨による災害に対して国家非常事態宣言

 3月26日、アルセ大統領は、ベニ県・パンド県を中心とした200以上の市町村に洪水等の影響を及ぼしている激しい雨のため、「国家非常事態宣言」を発表した。また、31日に全国自治協議会を招集した。
 

(7)世論調査結果

ア Caputura Consulting社による結果
 3月27日、Caputura Consulting社による世論調査の結果が発表された。同調査は1,500人の男女を対象に9つの県庁所在地の47市町村でインタビュー調査されたもの。
主要政治家支持率:
 ロドリゲス上院議長  :18%
 メディーナ国民統一戦線党首 :17%
 キロガ元大統領 :16%
 レイェス・コチャバンバ市長 :13%
 チュン神父 :11%
 アルセ大統領 : 1%
 どの候補者に投票するかわからない :14%
 投票しない : 4%
地方支持率トップ:
 サンタクルス県、ベニ県、チュキサカ県  :キロガ元大統領
 ラパス県、オルロ県 :ロドリゲス上院議長
 ポトシ県、パンド県、タリハ県 :メディーナ国民統一戦線党首

イ パンテラ・リサーチ社による結果
 3月31日、実業家のクラウレ氏は、パンテラ・リサーチ社に委託した世論調査結果を発表した。
 この調査によると、最適な候補者は、インフレ、燃料不足、汚職、失業、貧困を解決するための大きな方向転換を提示できる人物となった。野党候補者全員が異なる支持層にアピールしているため、もし彼らが別々に出馬すれば、野党勢力は分断される。一方、彼らのうちの1人が単独で出馬すれば、MAS候補の25%に対して56%の票を集めることができる。
主要政治家支持率:
 ロドリゲス上院議長 :25%
 未定 :20%
 メディーナ国民統一戦線党首 :16%
 キロガ元大統領 :15%
 チュン神父 :13%
 レイェス・コチャバンバ市長 :11%
 

2 外交

(1)ラテンアメリカ統合連合(ALADI)との関係

 3月1日、ボリビアとALADIは7月8日から10日までサンタクルスで開催される「ALADI 2025 EXPO」の実現に向けて、開催協定に署名した。

(2)ウルグアイとの関係

 3月1日、アルセ大統領は、ウルグアイで開催されたオルシ大統領の就任式に出席。アルセ大統領は、「ウルグアイ国民を包摂と持続可能な発展の道へと導くためには、社会正義に対するオルシ大統領のコミットメントが不可欠である」と述べた。

(3)OAS選挙に対するボリビアの立場

 3月4日、ボリビアを含むブラジル、チリ、コロンビア、ウルグアイの大統領は、3月10日に実施される米州機構事務総長選挙において、スリナムのアルベルト・ラムディン外相の立候補を支持すると発表した。
 3月10日、スリナム出身のラムディン外相がOASの新事務総長に就任。
 3月11日、ボリビア外務省は声明を発出、ソサ外相はOAS事務総長の「就任式」にて、「2019年のボリビアの政治危機における『前事務総長』の疑わしい役割を想起し、今後の選挙観測における陰謀と干渉という新たな嘆かわしい歴史が認められるだろう」と述べた。また、OAS新政権に対し、多国間主義と対話を強化し、外部介入を伴わない協力を推進するよう求めた。

(4)フランスとの関係

 3月7日、ルース駐ボリビア仏大使がソサ外相を訪問。両者は、環境保護や女性外交の促進といった共通の優先事項を確認しあったとされる。

(5)国連総会での投票権喪失

 3月12日、ディエゴ・パリーボリビア国連大使は、ボリビアが国連への分担金を支払っておらず、そのために総会の投票権を失ったとして自身の辞任を発表した。

(6)イスラエルとパレスチナとの関係

 3月18日、ボリビア外務省は、イスラエル国家がガザ地区とヨルダン川西岸地区で行っている無差別爆撃と軍事行動を非難する声明を発表した。ボリビアは、パレスチナへの人道支援の封鎖に反対し、侵略の即時停止、恒久的な停戦の再開、およびパレスチナの政治犯と同様に拘束されているイスラエル国民の釈放を要求する声を上げるとした。
 3月30日、「パレスチナの土地の日」である同日、ボリビア外務省はXにパレスチナの人々との連帯を掲載し、イスラエルの占領と暴力を非難した。

(7)中国との関係

 3月18日、中国大使館は、ボリビアAhora El Pueblo(MAS党機関紙)に王亮大使の寄稿文を掲載し、「2025年度の両会(全国両会)」の閉幕について言及。同大使は、ボリビアのような国が独自の発展の道を選択できるよう支援するという中国のビジョンを強調した。

(8)インドとの関係

 3月20日、ソサ外相はインドを訪問し、ジャイシャンカール外相と会談し、より公正な多極化世界の構築(パレスチナのビジョンを含む)、エネルギー(リチウム、再生可能エネルギー、原子力)、保健(医薬品・医療機器へのアクセス)、政治(BRICS、新開発銀行への加盟)における協力について協議した。

(9)チリとの関係

 3月23日、アルセ大統領は「海の日」の祝賀行事の中で、モラレス元大統領が創設した「国家海洋請求権局(DIREMAR)」の解散を発表した 。また、国際司法裁判所でのチリに対する訴訟に対する評価の開始、チリとの外交関係における「新たな段階」を発表した。

(10)外務省年次報告書

 3月25日、外務省は2024年最終報告を発表した。同報告書では、ボリビアがBRICSの準加盟国としての承認されたこと、メルコスールの正式加盟、チリとの二国間対話の推進、パレスチナ問題へのコミットメント、ボリビア初となるG20サミットへの出席などが成果として挙げられている。

(11)IAEA訪問

 3月25日、国際原子力機関(IAEA)が派遣した代表団が、保障措置協定に基づく検証活動の一環として、ソサ外相を訪問した。

(12)アジア地震に対する声明

 3月28日、ボリビア外務省は、ミャンマー、タイ、インド、中国で発生した地震について、被災者への連帯の意をXに投稿した。

(13)ALBA-TCP会議

 3月30日、ALBA-TCP政治評議会の第25回会合がベネズエラで開催され、ソサ外相が出席した。