ボリビア内政・外交(2025年2月)
令和7年3月3日
1 内政
(1)大統領選挙動向
2月2日、ロドリゴ・パス上院議員(CC党)が大統領選への立候補を表明。2月5日、最高選挙裁判所(TSE)は「集え!ボリビアのための自治党(Autonomía Para Bolivia:APB-Súmate)」に対して、8月の総選挙に参加できることを承認した。
(2)モラレス元大統領の立候補について
2月2日、モラレス氏の立候補の可能性について、同氏の弁護士は、「モラレス氏は大統領選挙に立候補する資格があり、全ての要件を満たしている」と述べた。2月6日、モラレス氏は各地域の支持者との会合にて、大統領選挙へ立候補すべく、立候補登録期間の期限目前に約10万人を引き連れてラパスに向かうと発表した。なお、TSEは、2月5日に立候補者の登録期間を2月12日~4月18日と発表している。
(3)閣僚交代
2月12日、アルセ大統領は、ウアンカ生産性開発・複合経済大臣を交代させ、新たにゼノン・ママニ氏を後任に任命した。(4)総選挙実施日
「2月10日、コチャバンバ県庁、キジャコジョ市役所、カトリック教会、ウルクピニャ民俗友愛協会は、TSEと会談し、総選挙の日程を8月21日に変更するよう要請した。これに対して12日、TSEは総選挙実施日である8月17日の変更は日程上変更不可と報告した。(5)世論調査
ア 2月11日、政治雑誌『Poder y placer』が委託したCaptura Consulting社の調査結果(1月23日から2月7日までにかけて、中心地とエル・アルト市で850人を対象に実施)が明らかになったところ、各候補者の支持率以下のとおり。キロガ元大統領 :19%
メディナ国民統一戦線党首 :16%
レィエス・コチャバンバ市長 :13%
チュン神父 :13%
モラレス元大統領 : 8%
マリンコビッチ実業家 : 2%
アルセ大統領 : 2%
無回答または未定 :19%
イ モラレス氏がおらず、ロドリゲス上院議員議長が候補者と想定した場合の結果、下記候補者のポイントが数ポイント上昇。(括弧内は上記ア支持率)
キロガ元大統領 :22%(19%)
チュン神父 :14%(13%)
レィエス・コチャバンバ市長 :14%(13%)
ロドリゲス上院議長 :10%
マリンコビッチ実業家 : 3%( 2%)
ウ 野党連合への支持を表明した候補者だけを考慮に入れた場合の結果
キロガ元大統領 :27%
メディナ国民統一戦線党首 :21%
カマチョ・サンタクルス県知事 : 9%
この連合の候補者には投票しない :25%
未定 :11%
エ キロガ元大統領、メディナ国民統一戦線党首、ロドリゲス上院議長を除いた場合
レィエス・コチャバンバ市長 :22%
チュン神父 :17%
カマチョ・サンタクルス県知事 :12%
モラレス元大統領 : 8%
アルセ大統領 : 3%
オ アルセ大統領、モラレス元大統領、ロドリゲス上院議長を除いた場合
メディナ国民統一戦線党首 :25%
レィエス・コチャバンバ市長 :19%
チュン神父 :17%
エドゥアルド・ロドリゲス元大統領 : 3%
エドゥアルド・カスティージョ内務大臣 : 1%
(6)野党代表選
2月4日、実業家のマルセロ・クラウレ氏は野党連合からの候補者を決める選挙に対し、資金を提供する用意があることを発表。これについてメディナ国民統一戦線党首は、デジタルによる予備選挙は不正な操作の危険性があるため、世論調査を好むと述べ、メサ元大統領は、クラウレ氏の考えを支持せず、野党連合は、そのメンバーによって合意された世論調査を実施することを希望していると述べた。(7)新政党(モレナ)の設立
2月12日、エバ・コパ エルアルト市長は、MORENA(Movimiento de Renovación Nacional)党がTSEより法的資格を得たと報告された。2 外交
(1)パレスチナとの関係
1月31日、オランダで、ベリーズ、ボリビア、キューバ、コロンビア、ホンジュラス、マレーシア、ナミビア、セネガル、南アフリカの代表が、イスラエルによるパレスチナに対する国際犯罪に対して、法的・外交的行動を調整するためにハーグ・グループを結成した。2月3日、ボリビア外務省は、ヨルダン川西岸地区北部におけるイスラエル軍によるパレスチナ人に対する「残忍な」侵略行為を強く非難した。
(2)米州ボリバル(ALBA-TCP)との関係
2月3日、アルセ大統領は、ボリバル同盟第12回臨時首脳会議に参加した。アルセ大統領はSNSにコメントを投稿し、移民問題について、アメリカの強制送還政策を批判した上で、国連が移民を人権と宣言することを提案した。(3)メキシコとの関係
2月3日、アルセ大統領は、米国政府の関税措置に直面するメキシコ大統領への支持をXにて表明した。(4)キューバとの関係
2月3日、アルセ大統領は、米国政府が発表した封鎖強化措置に関して、キューバ国民との連帯をXにて表明し、偽情報キャンペーンに裏打ちされた干渉政策を拒否すると述べた。(5)米国との関係
2月5日、ボリビア外務省は、米国からのボリビア人の集団強制送還の可能性を否定したが、アルセ大統領は、海外にいるボリビア人の状況を注意深くフォローするよう指示した。また、ソサ外務大臣は、ボリビア人移民に対し、領事館に出向き、援助を受け、移民としての権利を保証してもらうよう求めた。2月20日、ソサ外務大臣とペレス次官(領事・官房担当)は、ボリビア政府が在米大使館・領事館のネットワークを通じて、米国内のさまざまな移民センターに収容されている127人のボリビア人の状況を常に注視していることを明らかにした。また、今後数週間以内に強制送還されることが確定しているのは3人だけでとした。
(6)スイスとの関係
2月4日、スイスのイグナツィオ・カシス外相がボリビアを公式訪問し外相会談を行った。ボリビア外務省によると、スイス外相の訪問は二国間関係が始まって以来、54年間で初のことであり、両外相は、協力、市場開放、航空サービス協定の更新、森林火災、文化財の本国送還、両国に居住する市民の社会保障、コカの葉の重大な外交課題について話し合った。(7)中国との関係
2月6日、在ボリビア中国大使館は、声明を発出し、王亮駐ボリビア中国大使がソサ外相と新たに会談し、前回の会談で合意した「一帯一路」構想の推進、外交関係樹立40周年の祝賀について強調した。2月7日、下院の一部委員会で中国のコンソーシアムCBC (CATL、BRUNP、CMOC)とのリチウム採掘契約法案が承認された。
2月8日、王亮駐ボリビア中国大使が国営アルパカ布会社ヤカナを訪問。大使館のコミュニケによると、中国への輸出について話し合ったという。
2月21日、王亮駐ボリビア中国大使はボリビア標準化品質研究所を訪問し、「一帯一路」とボリビアとの技術標準化・品質管理面での連携を推進するプロジェクトについて講演した。
(8)インドとの関係
2月6日、ボリビアとインドは、相互協力の戦略的問題を追求するための共同委員会の設立に関する4年更新可能な基本合意書に調印した。また、インドは消防用品と医薬品を寄贈した。(9)アルゼンチンとの関係
2月11日、ソサ外相は、アルゼンチン政府がボリビアとの国境に建設し始めた有刺鉄線フェンスについて「フェンスを正式な方法で設置する必要であり、法的枠組み内では常に誰もが自由に通過する権利がある」と述べた。(10)イランとの関係
2月11日、ボリビア外務省はイランの建国記念日に祝辞を送った。また、アルセ大統領はイランのイスラム革命勝利46周年に際し祝辞を送り、一方的且つ不当な国際制裁に対するイランの抵抗に感謝の意を表し、相互協力をさらに強化することを再確認する意を込めた。(11)ペルーとの関係
2月24日、ボリビア・ペルー外相会談が開催された。その中で、チチカカ湖の共有天然資源の保護制度や、サン・ロレンソ-エクストレマ間の国境を跨ぐ道路の開通についても協議した。3 日本との関係
2月19日、ボリビア政府と諸政党によるハイレベル会合にて、ボリビア中央政府は、日本の「新型コロナウィルス感染症対応緊急支援借款」を、在外投票の実施に活用することを検討している旨述べた。
2月21日、ソサ外務大臣と小野村駐ボリビア日本大使は、令和6年度対ボリビア無償資金協力・経済社会開発計画(医療器材の供与)にかかる署名式を行った。