2025年1月 ボリビア経済情勢

令和7年2月3日

1 経済指標など

      当月(25年1月) 前月(最終更新値)  累計  前年同月 (24年1月) 2024年累計 
(1)   インフレ率  1.95% 1.06% 1.95% 0.08% 9.97%
(2)   都市部失業率  - 3.37%
(2024年11月)
- 4.56% -
(3)  外貨準備高  -
19億7,600万
(2024年12月)
- 16億1,600万 19億7,600万
(4)  対外債務 
132億9,800万
(2024年7月)
- 133億9,800万 -
(5)  対内債務 
199億7,300万
(2023年11月)
- 199億7,300万 -
(6)  天然ガス輸出額  -
1億1,300万
(2024年11月)
- 1億5,300万 -
(7)  鉱物資源全体の輸出額  -
2億9,200万
(2024年11月)
- 1億9,500万 -
(8)  燃料輸入額  -
2億2,400万
(2024年11月)
- 1億7,700万 -
(9)  貿易収支  -
▲4,300万
(2024年11月)
- ▲1億8,400万 -
(10)  金輸出額  -
2,900万
(2024年11月)
- 3,800万 -
             
    ※累計:本年1月~当月(最終更新月)の累計          
 
※前年累計:2024年1月~12月の累計
※金額通貨:USD(米ドル)

 

 

2 経済関連動向等

(1)2024年の経済成長

 世界銀行が発表した世界経済見通しの最新版によると、ボリビアの2024年の国内総生産(GDP)成長率は1.4%、2025年および2026年は1.5%の成長率との予測。2024年のラテンアメリカおよびカリブ海地域の平均成長率は2.2%、2025年は2.5%、2026年は2.6%の成長を予測。同地域の経済リスクとして、ラニーニャ現象による干ばつ、財政不安定、中国の成長鈍化による原材料需要減少などを挙げている。
 

(2)2024年11月までの対外貿易データ

 ボリビア国家統計局(INE)の対外貿易データ報告によると、2024年1月から11月までの同国の対外輸出額は前年同期比19%減、輸入は16%減となった。
 なお、2023年1月から11月の輸出総額は101億7,080万米ドル、輸入総額は105億2,280万米ドル、累計貿易収支は3億5,700万米ドルの赤字。2024年同期は82億4,740万米ドル、輸入総額は88億4,040万米ドル、累計貿易収支は5億9,300万米ドルの赤字。
 2024年1月~11月までの同国主要輸出入品目は以下のとおり。
輸入:ディーゼル・ガソリン(24億7,000万米ドル)、加工産業用品(23億5,008万米ドル)、次いで資本財(10億9,020万米ドル)
輸出:主要輸出品目は天然ガス(15億500万米ドル)、亜鉛鉱石(12億6,320万米ドル)、次いで大豆派生品(8億9,940万米ドル)
 

(3)2024年ボリビア新車輸入台数

 ボリビア自動車会議所(CAB)の報告によると、2024年のボリビアの新車輸入台数は29,500台であり、前年(51,000台)に比べて42%減。この減少要因としては、国内のドル不足およびそれに伴う手数料の高騰とされる。

(4)Fitch Ratings社による信用格付けの引き下げ

 1月24日、米国の信用格付け会社であるFitch Ratings社(以下、フィッチ)はボリビアの格付けを「CCC」から「CCC-」に引き下げた。同社はボリビアの主なリスクとして、外外貨準備高の減少、インフレ率の上昇、経済に影響を及ぼす社会不安を挙げつつ、経済・財政政策上の効果的な是正措置が講じられていないことから、今後数年間で対外債務の返済不能に陥るリスクが高まり続けているとの見方を示している。
 他方、モンテネグロ経済財務相は、「国家政府として、フィッチの評価全体を受け入れることはできない」と述べ、同社の報告書がボリビア経済の現状を十分に反映していないと主張し、見解の相違を表明した。同相によれば、「ボリビアが抱えるのは、支払不能の問題ではなく、流動性の問題」であり、現在も債務返済を履行・維持しているため、フィッチの評価手法に疑問を呈したうえで、本報告書がボリビアに関する不当な悲観論を助長していると主張した。

(5)アルセ大統領

 1月23日、アルセ大統領はボリビア多民族国の建国記念日演説の中で、ボリビア経済について、現在の所得再分配と輸入代替工業化に基づく経済モデルを擁護すべきであると強調した。同大統領は課題として、投機とインフレおよび議会による対外融資承認阻止を挙げた。 
 また、経済財務省のプレスリリースによれば、同経済モデルを導入した2006年以降、2019年までの同国の平均経済成長率は、導入前(1985年-2005年)に比べて1.7%上昇(3.0%→4.7%)し、コロナ後も2021年から2023年の間に平均4.3%の成長率を記録した。「この拡大は単なるGDPの増加だけではなく、公共投資と内需を優先する経済アプローチの成功を反映している」と主張している。

(6)中国・ロシア企業とのリチウム契約否決

 ボリビア下院議会の多元経済委員会で、ボリビアリチウム公社(YLB)がロシア企業および中国企業連合と締結したリチウム契約を満場一致で否決した。その理由について、技術的及び財政的側面に関する契約内容の透明性の欠如を指摘している。
 本契約締結を巡っては、複数の経済団体からも契約内容の不明瞭さに関する指摘が上がっている。ミレニアム財団の分析によれば、本契約ではボリビア側がほとんどのリスクを負い、不利な立場に置かれており、契約期間も実態に即していない(プロジェクトを完了するには不十分)との見解を示している。

(7)小麦粉の輸入関税撤廃

 1月8日、ボリビア政府は2025年8月31日まで小麦および小麦粉の輸入関税を免除すると発表した。本措置は2024年8月14日、同年12月31日までを期限として承認されていたが、経済情勢の継続に伴い、国内市場における製品供給を保証し、パンの生産コストを削減するため、政府は本措置の延長を決定した。
 なお、上記期間中に1万8,000トン以上の小麦および小麦粉が輸入され、主な輸入先はアンデス共同体(CAN)、メルコスール、米国、カナダなどである。