2024年12月 ボリビア経済情勢

令和7年2月1日

1 経済指標など

      当月  前月(最終更新値)  累計  前年同月 (23年12月) 前年累計 
(1)   インフレ率  1.06% 1.45% 9.97% - -
(2)   都市部失業率  - 3.41%
(2024年6月)
- - -
(3)  外貨準備高  - 19億7,000万
(2024年10月)
- - -
(4)  対外債務  134億3,000万
(2024年5月)
- - -
(5)  対内債務  199億7,300万
(2023年11月)
- - 199億7,300万
(2023年1月~10月)
(6)  天然ガス輸出額  - 1億1,300万
(2024年11月)
- - -
(7)  鉱物資源全体の輸出額  - 2億9,200万
(2024年11月)
- 2億1,000万 -
(8)  燃料輸入額  - 2億2,400万
(2024年11月)
- 2億5,900万 -
(9)  貿易収支  - ▲4,300万
(2024年11月)
- 2億1,400万 ▲5億7,200万
(10)  金輸出額  - 2,900万
(2024年11月)
- 7,800万 -
             
    ※累計:本年1月~当月(最終更新月)の累計          
  ※前年累計:前年1月~前年の当月の累計

注:上記情報は2025年1月時点データ


 

2 経済関連動向等

(1)2024年ボリビアのカントリーリスク

 国際格付け機関であるJPモルガンの発表によると、ボリビアは2024年のEMBI(新興国債券指数)で2,065ポイントを記録し、ベネズエラに次いでラテンアメリカ地域で2番目にカントリーリスクの高い国となった。
 

(2)2024年の成長率見通し

 12月18日、ラテンアメリカ・カリブ海経済委員会(ECLAC)が発表した報告書の中で、同地域の2024年成長率を2.2%、2025年は2,4%になると予測している。ボリビアについては、2024年の成長率を1.7%、2025年は2.1%と見込んでいる。同委員会によれば、同地域のインフレ率は低下傾向にあるものの、ボリビアのインフレ率は9月現在(6.2%)ですでに南米平均(4.3%)を上回っているほか、同国経済の指標悪化を反映し、カントリーリスクの上昇についても言及している。
なお、ボリビア国内のエコノミストや民間企業の経営者が集まる会議で行われた経済状況分析では、2024年の経済成長率は1.4~2%、インフレ率は最大16%と予想されており、家計の購買力が低下していることも指摘された。
 

(3)アルセ大統領の20224年ボリビア経済評価

 12月23日、アルセ大統領は、今年が自身の政権において最も困難かつ複雑な年であったとしながらも、ボリビア経済が不況に陥っていることを否定し、同国は依然として適度なインフレを保ち、成長しているとの見解を示した。そのうえで、流動性の低下と外貨不足の要因として、立法議会における12億2,800万米ドル以上の海外借款の承認阻止を挙げたほか、投機、密輸、道路封鎖などの要因が同国の経済パフォーマンスに影響を与えていると指摘した。
 また、来年の同国経済は、輸入代替工業化、外貨の節約、国内供給の保証など2025年国家一般会計予算(PGE)に規定されたインセンティブに基づく、リチウム産業開発プロジェクト、ムトゥン製鉄所およびその他鉱業プロジェクト、炭化水素の探査といった政府の取り組みによって、安定回復する見通しであると述べた。

 

(4)国家一般会計予算(PGE)2025法案

 ボリビアの2025年国家一般会計予算(PGE)は、2,965億6,600万ボリビア-ノス(2024年比1.14%増)であり、そのうち13.22%が地方自治体に分配され(2.5%減)、84%が中央政府によって管理・支出される予定である。PGEの前提として、ボリビア政府は2025年GDP成長率を3.51%、インフレ率を7.5%と見込んでいる。
 他方、同法案は、様々なセクターや経済アナリストによって否決され、サンタクルス商工・サービス・観光商工会議所(CAINCO)は、インフレ率の上昇、財政赤字の拡大、内外債務の拡大を問題として指摘した。また、全国商工会議所(CNC)は、ボリビア政府が経済の真の問題に取り組まず、先延ばしにしているだけだと警告している。

 

(5)リチウム工業化

 12月3日、ボリビアリチウム公社(YLB)は2024年1月に開始した第2回国際公募において高評価を得た外国企業3社;Eau Lithium PTY Ltd.(オーストラリアのEAU Mining Pty社とドイツのVulcan Energy Resources社の提携)、Tecpetrol S.A.(アルゼンチン:イタリア資本で設立されたTechintグループの子会社)、Actaris Bolivia(フランスのGeolith社の現地パートナー)と、コイパサ塩田(オルロ県)、エンペクサ塩田、パストス・グランデス塩田(ポトシ県)における蒸発岩資源の利用技術試験に関する協定に調印した。これらの企業は、今後90日間にわたりボリビアの塩田で技術を評価するために初期投資を行い、その検証段階を経て、ボリビア政府と具体的な契約交渉を行うことになる。

 

(6)2024年のボリビア観光産業

 ボリビアの観光事業会社や旅行代理店は、ドル不足と度重なる道路封鎖の影響を受けている。中でも、ツアーオペレーターが特に大きな打撃を受けており、ボリビア国内で事業を展開する100社のうち半数が今年閉鎖したと報道されている。
 ボリビア観光協会によると、国際観光客の数は2019年の150万人から2024年75万人へと、5年間で50%減少している。同協会は、この減少の原因として火災、封鎖、ドル不足、燃料不足、法的な不安定さ、警察の弱体化を挙げており、観光省の創設、オープンスカイ政策の実施、燃料の確保などを政府へ要求している。

 

(7)ボリビア、ガス輸出国からガス輸入国へ

 投資銀行BancTrust & Co.のレポートによると、ボリビアは、枯渇した埋蔵量を補充する措置を講じなかった場合、国内消費が日量1400万立方メートル(MMmcd)から1,600万立方メートル(MMmcd)に増加する10年後までに、天然ガスの純輸入国になる可能性があるとしている。ガス生産能力の低下は輸出収入の減少を意味し、2023年には20億米ドルまで減少しているほか、外貨準備の枯渇と国内政治紛争はボリビア経済に圧力をかけていると指摘している。