2024年11月 ボリビア経済情勢

令和6年12月2日

1 経済指標など

      当月  前月(最終更新値)  累計  前年同月 (23年11月) 前年累計 
(1)   インフレ率  1.45% 1.64% 8.82% ▲0.003% 1.48%
(2)   都市部失業率  - 3.41%
(2024年6月)
- 3.83% -
(3)  外貨準備高  19億7,000万
(2024年10月)
- - - -
(4)  対外債務  134億3,000万
(2024年5月)
- - -
(5)  対内債務  199億7,300万
(2023年11月)
- - 199億7,300万
(2023年1月~11月)
(6)  天然ガス輸出額  1億1,300万 1億700万
(2024年10月)
15億100万
(2024年1月~11月)
1億5,200万 18億8,300万
(7)  鉱物資源全体の輸出額  2億9,200万 3億900万
(2024年10月)
- 2億800万 -
(8)  燃料輸入額  2億2,400万 3億900万
(2024年10月)
20億3,100万
(2024年1月~9月)
2億9,000万 24億3,100万
(9)  貿易収支  ▲4,300万 7,400万
(2024年10月)
▲5億,400万
(2024年1月~11月)
2億2,900万 ▲3億5,800万
(10)  金輸出額  2,900万 6,000万
(2024年10月)
5億7,900万
(2024年1月~9月)
1億5,100万 24億700万
             
    ※累計:本年1月~当月(最終更新月)の累計          
  ※前年累計:前年1月~前年の当月の累計

注:上記情報は2024年12月時点データ


 

2 経済関連動向等

(1)2024年第2四半期のGDP成長率

 11月2日の国家統計研究所(INE)の発表によると、2024年1月から6月のGDPは前年同期比2.58%の成長を記録。2024年同期の経済成長を最も後押しした分野は、電気、ガス、水道、その他のサービス。
 

(2)ボリビアのメルコスール加盟

 11月5日、ボリビア外務省は、南米南部共同市場(メルコスール)加盟国へのボリビア製品のアクセス条件を改善する経済補完協定第36号(ACE 36)の追加議定書2件に署名した。第1議定書は、アンデス共同体内の国々からの原材料および投入物の原産地証明を容易にするもの。第2議定書は、一時輸入または還付制度(関税の払い戻し)により輸入された原材料を使用した製品について、関税優遇措置を2028年まで延長するもの。
 

(3)炭化水素部門の危機

 11月4日、サンタクルス州燃料小売業者協会(Asosur)は、YPFBが燃料割当量を約束の3分の1に削減し、需要を満たすことが不可能となったことを受け、再び「非常事態」を宣言した。リオス元炭化水素大臣は、「道路封鎖が国内の燃料不足に拍車をかけている」と指摘するも、当地メディアは根本的な問題は外貨不足であり、国内生産量の減少に伴い、国内市場に供給するのに十分な燃料の購入が妨げられていることが主な要因と報道。
 

(4)コチャバンバ県での道路封鎖による損失

 11月7日、ボリビア民間企業連盟会頭は、24日間の道路封鎖により22億ドルの損失が発生したと報告。同道路封鎖は10月14日から始まり、11月6日まで継続された。
 

(5)10月のインフレ

 11月7日の国家統計局(INE)の報告によると、2024年10月の消費者物価指数は、前月比で1.64%の増加、1月から10月までの累積は7.26%増となった。政府は物価指数の上昇は3週間以上続いた道路封鎖に起因していると指摘。
 

(6)中央銀行の金準備高の使用に関して

 11月7日、ボリビア中央銀行(BCB)は理事会決議148/2024を発行し、国際準備金管理規定を修正。今次修正により、BCBは最低22トンの金準備を維持しなければならないが、6か月ごとに金が補充されるのであれば、その金を売却できるとした。しかしながら、11日、BCBは経済アナリスト等らの批判を受け、同理事会決議を破棄した。
BCBによると、11月7日時点で外貨準備高は19億7,000万米ドルに達しており、うち19億1,400万米ドル(97%)は「22トン以上」の金で、1億2,100万ドルは外貨、4,000万米ドルは特別引出権(SDR)およびIMFの準備金相当額。
 

(7)通貨発行

 11月11日、国営契約システム(Sicoes)に掲載された国際入札の公示により、BCBが全て (5種類)の紙幣を増刷する意向であることが明らかになった。増刷紙幣の総額は70億ドル相当となる。
 

(8)燃料輸入の自由化

 11月13日、ボリビア政府は、例外的に個人及び邦人による国内市場での販売を目的とした燃料の輸入を許可する最高政令5271号を承認した。同政令は、個人による自家用燃料輸入を認めるSD5218号を拡大するもの。ボリビア石油公社 (YPFB) は、引き続き国内市場で販売するための燃料を輸入し、補助金価格で販売する。
 YPFBは近隣5ヶ国の7社の供給業者リストを提供しており、11月19日現在、認可申請を行った42社のうち16社の民間企業が直接ディーゼルを輸入、さらに2社が特殊ガソリンを輸入。合計2,000万リットルの燃料のうち、すでに100万リットル以上がこれらの企業によって自社消費用に輸入されている。
 YPFBは民間企業による国内向け燃料販売に関して、「燃料は主に生産部門向けであり、政府は引き続き公共交通機関に補助金付き燃料を販売する」と明らかにした。
 

(9)2024年9月までの対外貿易

 11月17日付の報道によれば、2024年9月のボリビアの貿易収支は6,900万ドル、9か月間の累計貿易収支は3億2,900万ドルの赤字。ドル不足と並行市場でのドル入手の困難さが輸出を抑制していることが主な原因と指摘。他方、輸入はさらに深刻であり、累計輸出額は67億8,800万ドルに達し、2023年の同時期の83億9,200万ドル比で19%減となった。 また、同期間における輸入額は16%減少した。
 

(10)カントリーリスク

 JPモルガン作成の新興市場債券指数(EMBI)によると、11月15日時点でのボリビアのカントリーリスクは1,942ポイントで、ベネズエラに次いで中南米で2番目に低い数値となった。

(11)リチウムの工業化

 11月26日、ボリビアリチウム公社(YLB)と中国企業香港CBCは、ポトシ県ウユニ塩原にEDL技術を用いた炭酸リチウム生産工場2棟を建設する契約に署名した。投資額は10億3,000万ドル。本契約はリチウム資源の生産に関する契約としては2件目。