ボリビア内政・外交(2024年10月)
令和6年11月1日
1 内政
(1)モラレス派による大規模抗議運動と政府による対応
10月2日、タリハ県検察庁は、強姦、児童虐待の容疑でモラレス元大統領への捜査を開始。10月14日より、モラレス元大統領支持派による道路封鎖がコチャバンバ県、サンタクルス県で発生(当館注:モラレス派は、この抗議運動の目的は、2025年ボリビア大統領選挙の立候補者としてエボ・モラレス元大統領を承認させることにある旨主張している。)。
10月26日、外務省はプレスリリースを発出し、モラレス派による道路封鎖を糾弾。
10月27日、コチャバンバ県内の高速道路で モラレス元大統領の乗った車両が銃撃される事案が発生。モラレス元大統領は、政府による暗殺未遂と糾弾した。なお、この事案に対して、アルセ大統領及び外務省は、如何なる暴力行為は認められず、直ちに捜査を始める旨、声明を発出。翌28日、カスティージョ内相は、警察の作戦であったことを認めたが、元大統領一行が麻薬取締りの常設検問所で停止することを拒否した挙句、警察官を轢き、警察車両に発砲したと主張し、警察の行為を正当化した。
10月31日、アルセ大統領は、モラレス派による抗議運動についてビデオメッセージを発出。「我々は、国の安定を取り戻すため、すべての封鎖の即時解除を要求する。もしこの緊急の要求に耳を貸さないのであれば、55%以上の得票率で民主的に選出された我が政府は、ボリビア国民の利益を守るために憲法上の権限を行使するだろう」と最後通牒をモラレス派に対して行いつつ、他県の警察官をコチャバンバ県へ移送する指示を下した。
(2)司法選挙
10月31日、選挙管理裁判所(TSE)は、18日間に及ぶモラレス派による道路封鎖を理由に、司法選挙の実施日を12月15日に延期することを決定。「選挙管理裁判所本会議は、当初12月1日に予定されていた司法選挙の実施日を、社会不安に対応するため、15日に変更することを決議した」旨の声明を発出した。この通知により、司法選挙の実施は当初の予定より2週間遅れて実施されることとなった。(3)2025年大統領選に向けた動向
10月1日、ホルヘ・キロガ元大統領はチョンチョコロ刑務所に予防拘禁されているカマチョ・サンタクルス県知事を訪問し、同知事への連帯を表明した。なお、一部報道によると、キロガ元大統領の今回の訪問では2025年大統領選に向けた連携の可能性について話し合われたとされる。(4)国勢調査の結果に基づく議席再配分の動き
10月1日、選挙管理裁判所は、国勢調査の結果に基づき、議席配分法案の内容を決定した。サンタクルス県の議席数が1増、対照的にチュキサカ県が1減となる。その他各県の議席数には変更が無い見込み(ラパス、サンタクルス県:29、コチャバンバ県:19、ポトシ県:13、チュキサカ県、タリハ県、オルロ県:9、ベニ県:8、パンド県:5)。(5)ボリビア国家警察長官及び幹部の任命
10月14日、アルセ大統領は暫定的ではあるが、ボリビア国家警察長官と幹部の就任式を行った。新長官にはアウグスト・フアン・ルッソ・サンドバル氏が就任する。2 外交
(1)メキシコとの関係
10月1日、ソサ外務大臣はシェインバウム墨大統領就任式にボリビア代表として出席した。なお、アルセ大統領はボリビア国内における森林火災対応のため出席を見送った。(2)日本との関係
10月2日、ボリビア外務省は石破総理就任に際してX(旧Twitter)に以下の祝辞メッセージを投稿した。「ボリビア外務省は、日本政府の石破茂新首相に祝意を表し、政権における最大の成功を祈るとともに、兄弟国である両国の二国間関係を深める意志を再確認する。」
(3)中国との関係
10月1日、アルセ大統領とボリビア外務省は、中華人民共和国建国75周年を祝う祝辞コメントをXに投稿した。10月16日、北京にて、6年ぶりのハイレベル政治対話「第10回政策協議」が開催された。この政策協議にはエルメル・カタリーナ外務次官が出席し、ボリビア産チアのアジア諸国への輸出に関する議定書の承認に向けた最終プロセスや、その他の貿易問題など、両国間で交渉中の協定の状況に関してフォローアップを行った他、来年のボリビア建国200周年と両国国交樹立40周年であることを踏まえた連携についても議論した。
10月28日、王守文・国際通商交渉官(中国商務省)兼副大臣はボリビアを訪問し、両国友好関係と経済・技術協力の強化に向けた重要な一歩として、モンターニョ公共事業大臣と経済・技術協力協定に調印した。この協定によると「国境管理設備支援プロジェクト」の資金として1億元(約1,450万米ドル)の設備寄贈が含まれており、移動式検査チェックポイント・ユニット2台、移動式コンテナ・車両検査システム・ユニット2台、ロボット検査犬、CT(コンピューター断層撮影)手荷物検査システムの納入が含まれる。